クロネコと読むエチカ

@Yonus_Mendoxさんのつぶやきをまとめさせていただきました。進行中です。
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よぬす @Yonus_Mendox

「「十全な観念」[という語]で,それ自身において,そして,対象 objectum に対する関係なしに考察されるだけで,真なる観念のすべての特性,すなわち[真なる観念のすべての]内的規定を持つ観念をわたくしは知解する」(スピノザ『エティカ』第二部定義四)──意味がわからない.

2011-08-05 11:16:08
よぬす @Yonus_Mendox

スピノザの主張はだいたい予想できるが,厳密に読もうとするほどにわけがわからなくなってしまう.

2011-08-05 11:16:59
よぬす @Yonus_Mendox

「すべての特性,すなわち内的規定」は,「真なる観念」に属すると読まざるを得まい.では,「対象 objectum」はどこへ行ったのか.

2011-08-05 11:20:49
よぬす @Yonus_Mendox

この「対象」について思惟するためにこそ,「対象」との関係が担保された観念を考察するはずである.さらには,「対象」との関係が十全に──「最も完全に」と言ってもよろしかろう──担保されているからこそ,「対象」を顧慮することなしに,[十全な]観念のみを考察して足れりとできるはずである.

2011-08-05 11:23:29
よぬす @Yonus_Mendox

しかしながら,スピノザは「真なる観念の特性,すなわち[真なる観念の]内的規定」を「十全な観念」が持つと述べている.「十全な観念」ではなく,対象が持つと述べているなら解るのだが.

2011-08-05 11:29:04
よぬす @Yonus_Mendox

予断の域を出ないが,第一部公理六(「真なる観念は,[真なる観念が]それの観念であるようなそのものと一致すべきである」)を前提しているのかもしれない.「それの観念であるようなそのもの」とは, suum ideatum である.

2011-08-05 11:31:57
よぬす @Yonus_Mendox

この «suum ideatum» を第二部定義四における «objectum» と同一視できないだろうか.無理な解釈ではないと思う.以上を前提とすれば,第二部定義四は次のように説明される.

2011-08-05 11:33:26
よぬす @Yonus_Mendox

(1)われわれは対象を考察し,対象の特性ないし内的規定を知りたい.(2)対象と真なる観念とは一致すべきだから,真なる観念を考察すればよろしい.(3)対象の,すなわち真なる観念の特性ないし内的規定は,対象の十全な観念を(もし与えられれば)考察するだけですべて得られる.

2011-08-05 11:38:27
よぬす @Yonus_Mendox

だいたいは理解できたように思われるが,まだ曖昧さが残っているかもしれない場所はある.たとえば,「一致する」「対象」「特性」「内的規定」のスピノザ哲学ないし『エティカ』における意味は,充分に確定されたとは言われないように感じる.今後の勤行課題とする.一生掛かるかもしれないが.

2011-08-05 11:41:22
よぬす @Yonus_Mendox

「真なる観念」も解らないなあ.真だが十全ではない観念がおそらくあるはずだが,「[スピノザ哲学における]観念とは何か」という問いに踏み込みそうだからやめておこう. Parkinson, *Spinoza's theory of knowledge* に何か書いてあった気もする.

2011-08-05 11:44:32
よぬす @Yonus_Mendox

ところで,この当時に «objectum» をこういう意味で使うのだろうか.どういう意味か説明せよ,とはおっしゃらないで.

2011-08-05 11:48:41
よぬす @Yonus_Mendox

念のため,既存の訳を三通りほど確認してみよう.手許にある訳は, Wolfgang Bartuschat の独訳(PhB), Rolland Caillois の仏訳(folio essais), Bernard Pautrat の仏訳(Édition du Seuil)である.

2011-08-05 12:14:23
よぬす @Yonus_Mendox

W. G.: «Eine wahre Idee muß mit dem Gegenstand übereinstimmen, dessen Idee sie ist.»

2011-08-05 12:16:36
よぬす @Yonus_Mendox

R. C.: «Une idée vraie doit s'accorder avec l'objet qu'elle représente.»

2011-08-05 12:17:44
よぬす @Yonus_Mendox

B. P.: «L'idée vraie doit convenir avec ce dont elle est l'idée.»

2011-08-05 12:18:56
よぬす @Yonus_Mendox

W. G. と R. C. とが「対象」にあたる語を出している.なお,わたくしは B. P. の訳が最も堅実だと考える.

2011-08-05 12:21:03
よぬす @Yonus_Mendox

«Par idée adéquate, j'entends une idée qui, en tant qu'elle est considérée en soi, ...

2011-08-05 12:30:37
よぬす @Yonus_Mendox

... sans relation à un objet, à toutes les propiriétés ou présente tous les signes intrinsèques d'une idée vraie.» (第二部定義四, Caillois 訳)

2011-08-05 12:31:36
よぬす @Yonus_Mendox

「「十全な観念」[という語]でわたくしは,それ自身において考察されるだけで,対象ないしすべての特性に対して関係を有さない,すなわち,真なる観念の内的徴表すべてを現前させる観念を知解する」──ということか.原文をかく読むには無理があると思うけれども.

2011-08-05 12:35:18
よぬす @Yonus_Mendox

第一部命題一まで訳した.命題を理解するためには訳註が必要とされようが,どのようにリンクしようか悩んでいる.引用の最後に [notandum hujus propositionis] とでも書いておこうか.

2011-08-05 14:10:11
神学者ヨハネ @joustinos

@Yonus_Mendox 'suum ideatum' = 'objectum'に同意できたとして、それを前提に置くことで何故そのような説明が導出されるのかよく見えません。また、その説明で何を言わんとされているのかも良く分かりません。願わくは詳述して頂きたく……

2011-08-05 19:16:54
よぬす @Yonus_Mendox

ヨハネさんからご返信をいただいた.ああ説明不足......

2011-08-06 01:22:18
よぬす @Yonus_Mendox

@joustinos 第二部定義四を厳密に理解することが目的でございます.問題は,第一部公理六の「一致する」が何を意味するか,あるいは,第二部定義四の「十全な」とはどういうことか,という二点に尽きると考えますが,よろしゅうございましょうか......

2011-08-06 02:09:04
神学者ヨハネ @joustinos

@Yonus_Mendox それが目的である事は理解しているつもりですし、問題の所在も仰る通りだと思いますが、それでもあの説明は良く分かりませんでした。件の前提から何故にどのようにしてあの説明が導出出来るのか、仰る問題をどのように解明しおおせているのかがやはり判然としないのです。

2011-08-06 03:03:30
よぬす @Yonus_Mendox

@joustinos なるほど飛んでおりました.ありがとうございます.

2011-08-06 08:28:36
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