2021.05.12-13 町田明広先生による「橋本左内」に関するツイート

町田　明広 @machi82175302

橋本左内は、「積極的開国論」を早くから主張し、ロシアと軍事同盟を結んで弱小国を併呑して、世界覇権を目指そうとする「未来攘夷」を標榜していた。その実現の前提として、カリスマ性があって有能との声望が高い慶喜を将軍継嗣に奉戴を企図し、春嶽とともに一橋派の形成に尽力した。

町田　明広 @machi82175302

橋本左内は、一橋慶喜の下で水戸斉昭・島津斉彬・松平春嶽に加えて、宇和島藩主伊達宗城や佐賀藩主鍋島閑叟といった、雄藩の賢侯を結集した挙国一致の幕政を企図した。この志向性は、安政の改革を推進した老中阿部正弘や島津斉彬の方針と合致していた。

町田　明広 @machi82175302

将軍継嗣問題の画期は、安政4年4月17日の老中阿部正弘の急逝。一橋派は大きな支柱を失い、松平春嶽は橋本左内に現状打開を期待し、藩政改革を主導する左内を8月20日に出府させ、侍講兼内用掛に任じ、各方面の入説、建白書案文作成を任せ、以後、春嶽と二人三脚で継嗣問題にまい進する。

町田　明広 @machi82175302

橋本左内の処刑について、周辺の多くの人物は軽微な罪、最大でも遠島レベルと楽観していた。しかし、刑死となったのは、井伊直弼が左内を大いに恐れた結果であろう。このあたり、いずれちゃんと論じたい。なお、執行は小伝馬町の牢獄内。小塚原刑場ではない。

町田　明広 @machi82175302

勘定奉行水野忠徳は、「井伊大老が橋本左内を殺したるの一事、以て徳川氏を亡ぼすに足れり」と、左内の死をことさら嘆き、大獄の過酷さを厳しく非難した。残念至極である。。左内を生かしておきたかった。

町田　明広 @machi82175302

西郷隆盛は橋本左内の悲報に、「橋本迄死刑に逢い候儀案外、悲憤千万堪え難き時世に御座候」（大久保利通他宛、万延元（1860）年2月28日）と、その刑死に驚きをもって接しており、激しい悲しみに打ちのめされ、その憤りは尋常なレベルでは到底なかった。

町田　明広 @machi82175302

志士としての西郷隆盛の成長は、橋本左内による感化の賜物であるとしても過言ではなかろう。西南戦争において、西郷は携帯していた革文庫の中に、将軍継嗣問題で一緒に奔走していたころ、慶喜の動静を西郷に詳細に報じた左内書簡（安政4年12月14日）を入れていた。西郷は、死ぬまで左内と共にあった。