GS系まとめ

兄弟組・青春組メインっぽいよ
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椎葉 @siiba66

「――文化祭でダンス?なんで俺が…」「これ今めっちゃ流行ってて、でもちょー難しいんスよ。で、踊れそうなの嵐さんくらいしかいねーかなーって」「ヤだ」「即答とかヒデェ! やりましょーよー、絶対話題になるし!つーかするし!したら柔道部の知名度も上がって一石二鳥、みたいな?」⇒

2011-08-03 12:16:19
椎葉 @siiba66

⇒「……」「(あと一押し…!)ほら、美奈子さんも見てみたくね?嵐さんが踊るの」「んー…言われてみれば確かに、見てみたいかも」「――やる」「よっしゃあああ! じゃあ明日から特訓スね! DVD渡すんで、見てくださいよ!」「分かった分かった、新名はしゃぎすぎ」

2011-08-03 12:17:57
椎葉 @siiba66

【もう一度、もう二度と、君を離したりしない】熱いのは抱きしめた腕だったか、それとも彼女のほうだったか。「に、」苦しそうな彼女の声を遮るように、その唇を塞いだ。此処に辿り着くまで、回り道をしすぎた。だけどもう、迷わない。自分に正直に、この先君だけを、守っていくから。

2011-08-03 15:31:29
椎葉 @siiba66

【覚悟は出来ている】――卒業式。明日からあの人は、此処にいない。親友という仮面を被って過ごした、この1年半。昨夜死ぬほど考えた。眠れなくなるくらい、あの人で一杯だった。――もう、自分に嘘はつけない。だったら手段はただひとつ。当たって砕けたって構わない。掻っ攫いに、行ってやる。

2011-08-03 15:34:21
椎葉 @siiba66

【死にそうに幸せ】その時の俺は、とんでもなく間抜けな顔をしていたに違いない。自分の耳も目も疑った。感覚の全てが遠ざかったみたいだった。だって。だって。届かないと思っていたのに、アンタは目の前で、俺が好きだと言って笑うんだ。夢じゃ、ない?――伸ばした手には確かな温もりが、触れた。

2011-08-03 15:36:27
椎葉 @siiba66

【甘えるってどうすればいい?】繋いだ手が、不意にぎゅっと握られた。「――嵐くん?」少し背の高い彼を見上げてみれば、何か考えている顔。そっと手を離して、もう一度――今度は指を絡めてみた。はっとした彼に、ただ笑ってみせる。どんな時も、側にいるから、だから――。

2011-08-03 16:07:32
椎葉 @siiba66

【気がつけばお前のことばかり考えてる】例えば、練習を見つめる真剣な顔だとか。柔道場を見回して、一生懸命な顔だとか。一緒に出かけたときの、楽しそうな笑顔だとか。――家にひとりでいても、浮かんでくるいろんな表情。どう考えても重症だ。自覚せざるをえない。彼女しか見えていないんだ、と。

2011-08-03 16:12:56
椎葉 @siiba66

【どこか遠くに二人で逃げたい】「ニーナ、あのね…男の人って、」――嗚呼、またか。彼女は度々『親友』の俺をデートに誘ってはそう言って、答え難い問いを投げかける。俺の意思なんて、無関係に、無邪気に。――その度に壊したくなる。その華奢な手を掴んで、どこか遠くまで攫えたら、いいのに。

2011-08-04 17:30:17
椎葉 @siiba66

【闇にさらわれたかのよう】「あの人のことが好きなの! …デショ?」似ていない声真似でわざと明るく振舞えば、彼女がはっと顔を上げた。ああ、もう、そんな顔をしないでほしい。泣きたいのはこっちだ。親友でいてあげるよ。そんな心にもないことを言ってまで、彼女の側にいたがる俺は、まるで道化。

2011-08-04 17:32:25
椎葉 @siiba66

【ばか。たったその一言だけ。】攫う覚悟をしておきながら、いっそ完膚なきまでに振ってくんないか、なんて。心の奥でそんなヘタレ思考があったことは否定しない。でも、受け入れられた事実に気が抜けたのも確かで。――だったら早く言ってくれよ。代わりに小さく吐いた悪態は、愛の言葉のようだった。

2011-08-04 17:35:02
椎葉 @siiba66

【朝になった、夢じゃなかった/ニーナ】瞼を差した陽光に、目が覚めた。あれ、俺カーテン閉め忘れたっけ。はっきりしない意識の中、ゆるゆると記憶を辿り――不意に腕の中を確かめる。そこには見慣れた彼女の、初めて見る寝顔。ああ、そうだ、昨夜は。嬉しくなって、その額にそっとキスを落とした。

2011-08-04 17:38:56
椎葉 @siiba66

【もう待てない/嵐】「嵐くん…?」夕暮れの柔道場で、ふたりきり。どうしてこうなったんだったか。気づけば壁際、彼女を腕の中に閉じ込めていた。揺れる瞳に、俺が映る。なんて酷い顔。自覚していても、もう止まらなかった。「――好きだ」告げて、答えも待たずに唇を塞いで。ただ全てが欲しかった。

2011-08-04 17:42:11
椎葉 @siiba66

【どうしたら俺のものになる?/コウ】顔つきも悪けりゃ態度だって酷い。それなのに纏わりついてくるこいつに、自惚れて良いのか分からない。心の奥で、確かに手に入れたいと願っているのに。花火大会の帰り道、そっと繋いだ手は柔らかくて温かかった。本当に俺が、幸せにできるのなら、どんなにか。

2011-08-04 17:45:11
椎葉 @siiba66

【寂しいときに限って居ない/嵐】しん、と静まり返った柔道場。まだ真新しい其処は、畳の匂いに満ちている。まだ2人きりの部員ながら、手に入れた部室。けれど今日此処には1人きり。「…今日は、一体大…だったよね」呟く声が、吸い込まれていく。2人でさえ広い部室は今、彼女の手に余っていた。

2011-08-18 18:14:36
椎葉 @siiba66

【晴れの日も雨の日も/青春組】「お疲れっした!」賑やかな声が、響く。部員の増えた2年目の柔道部。有望株を入れて、団体戦にも出られるようになって。主将の顔は、去年よりずっと生き生きしている。なんだかんだ言いながらも、新名だって楽しそうだ。思わず零れた笑みに、2人が振り返った。

2011-08-18 18:16:36
椎葉 @siiba66

【孤独を分けあったふたり/新名】それは偶然の産物だった。落ち込んでいた彼が、泣いていた彼女を見つけてしまった。知らない相手なら通り過ぎもできようけれど、如何せん顔見知り――というには親密すぎて。選択したのは、校舎裏での背中合わせ。微かに伝わる温もりは確かに、優しかった。

2011-08-18 18:18:34
椎葉 @siiba66

【夢でしかお前に会えない/親友ルカ】手を伸ばして目を覚ましたら、視界に映ったのは見慣れたWBの天井だった。まだ薄暗い、夜明け前。ぱたんと腕を落として、深く溜息を吐く。――本当は、いつだって一番近くで笑っていて欲しいのに。言わない強さなのか言えない弱さなのか。本当は、分かっている。

2011-08-18 18:26:45
椎葉 @siiba66

【どうしても分かりあえない/コウ】「何乗るんだ?」いつもの問いに、彼女はにんまりと笑って言った。「メリーゴーランド!」――げんなりと落とした溜息もまるで意に介さない彼女は、実に楽しそうで、反応を面白がられているんじゃ、とさえ思う。それでも拒絶しない自分が結局、一番甘いのだけれど。

2011-08-18 18:30:35
椎葉 @siiba66

【きらきらとまばゆい光/ルカ】夏は余計にきらきらして見えるの。海辺ではしゃぐ彼女が不意にそう言った。何がと問えば、どうやら自身の髪のことらしい。――そうやって笑う彼女のほうが、自分には余程眩しく見えるのだけれど。いつもならさらりと紡げる台詞が、何となく口に出来なかった。

2011-08-18 18:33:00
椎葉 @siiba66

【戦い、終わって/嵐】「一本!」高らかに響く審判の声。クリアだった頭に少しずつ普段のノイズが戻ってくる。綺麗に決まった勝負。そんなふうに勝った時、真っ先に目に入るのはいつも、あいつの笑顔だ。「お疲れさま、嵐くん!」その笑顔が見られるなら、声が聞けるなら――次も勝ちたいと、思った。

2011-08-20 15:31:55
椎葉 @siiba66

【崩れた均衡/青春組】ゆっくりと歩く帰り道、隣には誰も居ない。最近は3人で帰ることが多くて、だから尚更、ひとつだけ伸びた影が、寂しげに揺れる。でも分かっている。それを招いたのが他でもない自分である事。親友からの電話を、先刻の2人の様子を思い出して――ぽたりと一滴、夕陽に落ちた。

2011-08-20 15:35:15
椎葉 @siiba66

【桜舞い散る/新名】春は、好きだった。あの人と出会った季節だから。あの人が笑ってくれた季節だから。ひらりとハートのような形の花弁がまたひとつ、目の前を通り過ぎていく。「――卒業、か」明日からあの人は居ない。それがさよならじゃないと分かっていても、胸に宿る切なさは誤魔化せなかった。

2011-08-20 15:39:53
椎葉 @siiba66

【たまには弱音も吐いていいよ/コウ】大きな手は、守るように私の手を包んで。本当はもっと早い歩調は、私に合わせてくれて。そんな優しい貴方を知ってるから、「――ルカは、大丈夫だよ」凄く弟思いな事も知ってるから。温もりを分け合うようにそっと重ねた手は、震えながら強く握り返された。

2011-08-20 16:00:27
椎葉 @siiba66

【帰り道、ささやかな/ルカ】「――なんか、楽しそうだね?」いつもの帰り道、いつもの喫茶店。向かい合う彼はなんだかやけにご機嫌に見えた。「そう?」答える語尾も妙に跳ねている。なんだろう。首を傾げる私に、彼は柔らかく、彫刻のように美しく、微笑んで。「オマエといるときはいつもだよ」

2011-08-20 16:03:07
椎葉 @siiba66

【二人で見る景色/コウ】もう何度目になるか分からない。からんと鳴る下駄の音と、響く虫の声。繋いだ手は花火の余韻を残すように、少し熱い。言葉のない帰り道。何度も繰り返して、その度不安になって――でも。小さな頭を見下ろすと、見上げる視線とぶつかった。――嗚呼、その度に訪れる、幸せ。

2011-08-20 16:07:32