2021年5月21日

「死体は純粋に『不気味』なのだ」人間の死体の扱われ方の歴史の話

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道民の人@新刊ひなび旅館本9月へ延期 @North_ern2

fantia.jp/fanclubs/34782 「廃墟」「ひなびた風景」「異界」を主題に、日本各地の風景と人の姿、誰かの記憶を記録している旅の者。廃墟/街並み/近代建築/旅館/医院/民俗学など。19年初の個展開催。原稿依頼等承ります(連絡はDM/メールへ polaris453121@gmail.com)

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道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

仲良しのネコが死んで遺体になったら威嚇し始めるネコか…。これ、もしかしたら昔の人が死体を恐れていたことと同根のものじゃないか。日本でも縄文時代からついこの間の昭和まで、死体を恐れる風習が根強くあった。たとえ肉親や思い入れのある人物の「遺体」でも、忌避、恐怖の対象だった。(続く)

2021-05-19 18:58:38
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

人は、身近な人の死体(遺体)に対して大なり小なり思い入れがある。一方で、死体という物体を「生者」と同等に扱うのはごく最近になってからで、歴史上では死体は「捨てる」「壊す」など、一見蔑ろにしたような処理がなされた期間のほうが圧倒的に長い。これは何も野垂れ死にや病死した者に限らない。

2021-05-19 19:02:08
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

死体は純粋に「不気味」なのだ。さっきまで生きていた人間が突如動かなくなる。物言わぬそれは次第に腐り落ちていく。この奇妙な現象に対して、昔の人は「肉体」と「魂」が別のものだと考えて納得したようだ。死体からは魂が離れたので、もはや「本人」ではない。いくら壊れようが気にしないのだ。

2021-05-19 19:03:49
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

死体には強い力があるとされ、高貴な身分の者や、特殊な死に方(自殺や事故死)は特に恐れられた。魂の器が抜け殻になっていては「悪いもの」が入って蘇るかもしれない。ゆえに様々な「破壊処理」が施された。むろん、死体を放っておくと極めて不衛生だという物理的な問題や知識もあっただろうが。

2021-05-19 19:07:05
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

縄文時代には既に屈葬という死体の埋め方があった。これは死体が墓穴から蘇ることを防ぐため、または悪いものが入らないようにするためとも説明される。ごく最近まで、土葬される死体を縄で縛った状態(背骨が折れるほどキツく縛る土地もあった)で棺桶に入れるという事例が日本各地にあったくらいだ。

2021-05-19 19:09:47
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縄文時代の遺跡からは、墓地ではなく貝塚から人骨が出土することもあり、古くから洞窟や岩山、離島の浜辺といった場所に死体を捨てて野ざらしにし、骨になった段階でもう一度別の場所に葬る(その場に置きっぱなしにして終わる例もある)葬り方は日本だけでなく世界各地にあった。これを風葬という。

2021-05-19 19:11:44
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古墳時代には、古墳の中の玄室に葬った死者が骨になった頃にわざわざもう一度墓を開いて棺から死体を取り出し、粉々に破壊する習慣もあった。これもまた「死体が蘇る」ことを恐れ、死体そのものを破壊して防ごうとしたためで、「古代の日本にはゾンビがいた」と言えば鮮烈に感じる。

2021-05-19 19:13:32
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

同じく古代であれば、貴族が行っていた殯(もがり)の習慣もある。死者の近親者が遺体を納めた棺とともに小屋に入り、死体が腐って白骨化するのを見届けながら共に暮らすという奇怪な風習だ。これもまた、死者が確実に死んだことを見届けるためのもの、または死者の魂を慰めるためだったとされている。

2021-05-19 19:16:57
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

中世から西日本に多かった「両墓制」という葬送儀礼は、この死体と魂が別の物だとする考えの行き着いたものとされている。両墓制とは、簡単に言うと死体を葬る墓(ウメバカなどと呼ばれる)と、墓参に行く墓(マイリバカなどと呼ばれる)の二つの墓があるという変わった習慣だ。

2021-05-19 19:18:21
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

一度死体を埋めたっきりで二度とウメバカには行かない所もあれば、墓参の際はウメバカにも行くという所もあり、現在でも瀬戸内海の一部の島や西日本、中日本で続いているところがある。仏壇と墓参の関係性は、両墓制の後継的習慣だとする研究者もいる。

2021-05-19 19:21:50
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

近代になっても死体の傍らに刃物を置いて「魔」が寄りつかなくするだとか、そういった「死体」がよく見知った人から別の何かへと変わることへの忌避を連想させる風習は多々ある。そもそも死体を「葬る」ことは、死者が生者の人格を保ったまま、あるいは変質しても「浄い」存在にするためのプロセスだ。

2021-05-19 19:24:34
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

大昔から続く人間の根源的な恐怖や違和感の一つとして存在した死体への恐れ。ネコが、死んだ仲間のネコに対して、よく知った存在から死体となり、物言わぬ何かへ変質した「それ」を感じて威嚇したとしても不思議ではないと思う。むろん、それが「威嚇する」本当の理由かはわからないけれど。

2021-05-19 19:26:44
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

「死んだ人が還って来ても声をかけてはいけない。それは知っているその人ではない。会いたかったら○○の婆様に行きなさい」 東北のある港町で聞いた、いわゆる「イタコマチ」の伝承だが、ネコも死体が怖いのだろうか。ネコも死んだ仲間と会いたいだろうか?少しネコに訊いてみたくなった。 おしまい

2021-05-19 19:35:54
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

昨夜の死体の話だが、日本が多湿な温帯地域だから死体が腐敗し疫病の原因になり恐れられたという説もあるにはある。世界の乾燥地帯ではミイラ文化もよくあるし、防腐処理を施した死体と暮らす文化がある土地もある。中でも熱帯気候のはずのインドネシア、スラウェシ島のトラジャ族の事例は興味深い。

2021-05-20 08:09:28
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

トラジャ族は、家族が亡くなると防腐処理を施した死体と共に暮らし、「生きたもの」として扱う。普通に日常的会話を語りかけ、食事を共にし、「入浴」として死体の手入れをする。それが遺された者の死者への手向けであり、死を受け入れる時間でもある。長い時では数年にわたって暮らす。

2021-05-20 08:12:08
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

遺族が死を受け入れた時、死体は初めて墓に入る。だが、中にはその後も墓から定期的に死体を取り出して世話をする人もいるそうだ。死体と暮らす者といえば、中世ヨーロッパのカスティーリャ王国の女王フアナが急死した夫フィリップ美公の死体を伴って国内を彷徨った話が思い出される。

2021-05-20 08:20:11
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

「変わらない本人」を死体に見続けるか、腐り落ちた死体とは別に魂として本人が存在すると考えるかの違いだが、ネコはどっちなんだろうな。それとも…昔の人が死体を狙う「何か」を恐れたように、仲間の死体に入ろうとする「何か」に向かって威嚇してるのかもしれないね。

2021-05-20 08:28:01
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

何度も言うが、私の死体は荼毘にふしたのち、右半身は故郷の北の津軽海峡と函館山を望む海岸段丘の丘に、左半身は四国讃岐国の瀬戸内海と四国山地を遥かに望む山の中腹に埋めて下さい。(遺言)

2021-05-20 12:21:49
道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

どうも昔から死と、死に向き合う人の姿、死に対する風習に惹かれる。大学時代、寺社仏閣に行きまくる野望を抱いて北から京へ出たのに、数ヶ月もせず土日はほぼずっと大原や花脊、周山、丹波・丹後方面の古いお墓にばかり行っていた。今でも旅先では古いお墓を探している。人は消えても石は残るのだ。 pic.twitter.com/veUoPDvERW

2021-05-20 21:54:40
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道民の人@新刊ひなび旅館特集は9月へ延期 @North_ern2

自分になんらかの遺品や遺物から「残留思念」を読み取る能力があったなら、四国山地や中国地方の古い墓とか北海道の雪に埋もれた共同墓地なんかで毎日毎日 「貴方はどんな人生を生きて来たのか教えて下さい」 「聞いてどうすんだ?」 「趣味です」 ってやってると思う。

2021-05-21 12:17:35
Sachiko_i @Sachiko_Vo_Sop

チンパンジーに 『チンパンジーの生首(のように見える頭部模型)』 『チンパンジーの死体(のように見える、麻酔で眠らせた仲間)』 を見せると異常に怯える、というのを何かで読んだのを思い出した twitter.com/North_ern2/sta…

2021-05-20 22:40:48
ゆう @lpq5ICtO74ovMKs

私でも判りやすくて面白かった!でも私は土に戻りたいなぁ、一度は生きたからもう充分。次は一度死んで分解者に土にしてほしいの。家族にそう頼んではあるけど丸々はさすがに無理だよね(笑)死体遺棄になっちゃうしな〜 twitter.com/North_ern2/sta…

2021-05-20 20:54:20
弥冨 悠慶@赤狼一家【TomyLycan©】 @37564HOUND

興味深い事を仰ってる。 後で再度読んで、ゆっくり考えよう。 twitter.com/North_ern2/sta…

2021-05-20 18:07:04
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コメント

笹かま @voyageur105 2021年5月22日
今現在みたいに感染症が流行って遺体からの何かしらの感染が感覚的経験的に意識されたからでは?握手やハグが滅多にない、日本人の触れ合わない挨拶も含めて。動物的な勘での例としては最近、死姦するカラスを激写した写真と記事がネットにあることからもただの亡骸の時点では多くは忌避しないでしょう。肉食動物なら仲間でない亡骸は食料でもあるし。
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memo @kosmosgarden 2021年5月22日
身体(BODY)というと、生きていようが〈死体〉のことを指すようになったデカルト以降の西洋人。。。といったちょっと雑な話には違いないとしても、ああそれで!とようやく心身二元論がなぜ深刻な問題となってきたかが最近わかりました。
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枯れた雑草ワクチン推奨派 @sPEr54fuQYqCh3A 2021年5月22日
高温多湿の我が国だから、穢という文化で衛生観念が広まったのでは。 塩やしめ縄、禊も除菌だし。 死体という病原菌の繁殖地を忌避する文化なのも衛生観念から。
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CD @cleardice 2021年5月22日
死体があるということは近くに死ぬ原因があるということなのでまず警戒してかかるのは自然な行為だよなあ
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ettolrahc @ettolrahc2015 2021年5月22日
昔々から死体はすぐ埋めるなりする日本や中国等と、ミイラとして保存するエジプト等、やっぱ気候の違いなんだろうねぇ
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御順場😷第伍 @ngozJI0_0IL 2021年5月22日
東欧の吸血鬼伝説でも、疑いのある死体を掘り起こして首を跳ねたり杭打ちしたりと、損壊させるものね。近しいものがありそう。
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まあちゃん02 @eK0SV72lWxlYb8L 2021年5月22日
古墳時代・縄文時代の葬儀について知識が無いから面白く読めた。ツイート主さん、まとめ主さん、ありがとう。
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海の鷹(リツィート&いいね!制限中) @mochitsura 2021年5月22日
カール・フォン・コーゼルみたいな例もあるしなあ。なおエンバーミングにも限界がある模様。
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海の鷹(リツィート&いいね!制限中) @mochitsura 2021年5月22日
エドガー・アラン・ポーの作品には「美女再生」のテーマが繰り返して出てきますね。最愛の女は死を通して聖化するのかも知れません。
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たかみん/りんと🐏 @r_takamine 2021年5月23日
チンパンジーの例が興味深い。単純に寝てる仲間と麻酔で眠らされている仲間はなんか違うのか?
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蒼橘慎悟 @cingoP 2021年5月23日
仏教だと即身仏と言うのもあって、逆に死体になる事でより高いステージに…と言うのもありますね。その際、最後の食事的なものに漆を飲む事で、即身仏の内部崩壊を抑えてたりとか。
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