ガルパン大河

ガルパンで大河ドラマな雰囲気で書いたらどうなるかと思いついて書いたものです。 怪文書や奇聞みたいなものです。 台詞は熊本弁と茨城弁が主になっています。
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葛城マサカズ@原稿は低速にて進行中 @katuragimasaku

「母上、申し訳なか!」 西住みほは自宅である西住邸の庭で土下座し、謝っていた。 みほの頭を下げる先には障子戸が閉められた西住家の当主である西住しほの部屋がある。そこに在室している当主であり母親のしほへ、みほは謝っているのだ。 #ガルパン大河

2021-05-22 22:16:33
葛城マサカズ@原稿は低速にて進行中 @katuragimasaku

「母上や姉上を恨んではおらんです。ばってん、西住流の流儀はうちには合わんのです」 障子戸の向こうからは返事が無い。 大それた事をしていると自覚しているみほの心境を表すように空は灰色の曇り空だ。 #ガルパン大河

2021-05-22 19:15:29
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「うちゃよう考えて、出て行く言を決めました。親不孝を許してくれん」 曇り空に雷がごろごろと鳴る。 みほには母上である、しほの怒りを表しているように思え身震いする。 「これにて御免」 頭を下げながら立ち上がったみほは西住邸より出て行く。 #ガルパン大河

2021-05-22 19:28:14
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「行ってしもうた・・・」 離れて見ていたみほの姉であるまほ 彼女は寂し気な目で家を出る妹の背中を見つめる。 「・・・・」 部屋の中で座したまま娘みほの挨拶を聞いていた当主しほ 彼女の顔は唇を固く閉ざし瞼を伏せていたが、目元は苦悶と言える悩ましさが出ていた。 #ガルパン大河

2021-05-22 19:32:49
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まさに逃げるようにみほは西住邸から離れて行く。 熊本の街をみほは行く。 「逸見殿・・・」 みほは街の路上で逸見エリカと遭遇する。 気まずい顔をするみほに対してエリカは怒りの顔を向ける。 「何処へ行く?副大将」 エリカが問うと曇り空に稲光が走った。 #ガルパン大河

2021-05-22 19:39:34
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副大将と言われたみほ 彼女は戦車道と言われる武術において、熊本藩の藩校である黒森峰館の戦車道で副大将を務めてた。 「・・・藩を出て、別ん地で暮す」 「あら、逃ぐるんか、脱藩は大罪ばい」 エリカは辛辣だった。 「藩主細川様から、お許しば頂いとる」 #ガルパン大河

2021-05-22 19:53:56
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「なら、行きなっせ。戦車には関わらんで」 「はい」 みほは睨むエリカから逃げるように去る。 その様子を辻の影で見ていた娘が居た。赤星小梅である。エリカとは違い寂しげにみほの姿を見送っていた。 #ガルパン大河

2021-05-22 20:05:22
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小梅はみほを追いかけて伝える事があった。 だが、怒気を放つエリカの前を通るが憚られた。 「御達者で・・・」 小梅が呟くように言ってみほを見送った。 みほが熊本を出て行く決心をせざる得なくなった理由はなんであろうか? #ガルパン大河

2021-05-22 20:10:57
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戦国乱世が徳川幕府による治世になり、各藩は互いを戦車道で競うようになった。 戦車による女子の武道が戦国時代を知る武士達の荒々しい気風を鎮めた。 その由緒から今も戦車道は各藩で続き、全国試合が年に一度開かれていた。 #ガルパン大河

2021-05-22 20:15:13
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その全国試合でみほは黒森峰の副大将として参戦 姉のまほが大将であった。 決勝戦においてみほは、滑って川に落ちた味方の戦車を助ける行動に出た。 この時に助けたのが赤星小梅である。 #ガルパン大河

2021-05-22 20:19:50
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小梅を助けられたが、試合には負けてしまった。 一歩まで届いた優勝を逃した事は大きな悔恨となって黒森峰と熊本藩の響く。 「情けで負けおって」「今の西住家は弱か」 西住家への風当たりは強くなった。 噂では大名や幕府内でも熊本藩への侮蔑が広がっているらしいとされた。 #ガルパン大河

2021-05-22 20:25:44
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「あたのせいで、優勝ば逃した!」 エリカはみほへ直に責めたてた。慕うまほの為に優勝をすると決意しただけに、まほの妹とはいえみほが招いた結果に怒りが収まらないのだ。 「すみまっせん、すみまっせん」 みほは頭を下げ謝るしかなかった。 #ガルパン大河

2021-05-22 21:32:56
葛城マサカズ@原稿は低速にて進行中 @katuragimasaku

黒森峰館の皆もほみへ冷たい態度を取っていた。 みほは自責の念が強くなった。 「事情は承知しておる。しばらく何処かで暮すが良かろう」 みほは藩主の細川公へ藩を出る事を願い出た。 細川はみほが置かれている事情を知っていた為に藩を出る事を許した。 #ガルパン大河

2021-05-22 21:40:42
葛城マサカズ@原稿は低速にて進行中 @katuragimasaku

「行く当てはあるのか?」 細川公はみほへ尋ねる。 「遠縁ば頼りに」 みほは答えるが頼れる遠縁は無い。 「それでは心許なかろう。水戸藩の藩校に紹介状を出して進ぜよう」 「有り難き幸せ」 #ガルパン大河

2021-05-22 21:48:55
葛城マサカズ@原稿は低速にて進行中 @katuragimasaku

こうして、みほは藩主の許しと紹介状を貰い水戸藩へ向かう。 藩庁へ挨拶と紹介状を渡すと、みほは水戸藩大洗女子館へ行くように指示を受ける。 細川公の紹介状には「戦車道とは縁遠き藩校で過ごさせてやってほしい」と書かれていたからだ。 #ガルパン大河

2021-05-22 21:54:17
葛城マサカズ@原稿は低速にて進行中 @katuragimasaku

「あれが肥後がら来だ娘が?」 大洗女子館生徒組長の角谷杏が藩校に来たみほの姿をみつけると、副組長の小山柚子へ尋ねる。 「そうばい。西住みほさんやなあ」 「そうが」 杏は遠くから、おずおずと登校するみほを眺める。 #ガルパン大河

2021-05-22 22:07:42
葛城マサカズ@原稿は低速にて進行中 @katuragimasaku

「組長、あの西住流の娘に頼るのが?」 大洗生徒組の二人目の副組長である河嶋桃が杏に尋ねる。 「そうだよ。彼女しかいねえ」 「どうも頼りにならねえ」 三人が何か思惑を抱えていた。 そうとは知らず西住みほは大洗女子館での生活を始めるのであった。 #ガルパン大河

2021-05-22 22:13:46