@sinarisamaによるVJ論2:EBDに向けた構造的アプローチ。
- sinarisama
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以前、しなさまVJ論とかいうわたくし独自の演出体系をまとめたことがあったのです。(↑参照)
しかしながら、チンプンカンプンというか「ナニ言ってんのかわかんねぇぞゴルァ」的な感じも無きにしもあらずで、尚且つ結構時間も経ってますので。新しくわたくしとお知り合いになれた方々に向けて、初心者向けの内容に絞って書いてみました。
EBD(エビデンス・ベースド・ドラマツルギ:科学的根拠に基づいた演出法)を志す方にとっては至極常識的な内容になっていると思います。
ここにはベテランVJなら誰でも知ってる当たり前の事しか書いてませんが、わたくしが不勉強なせいか その当たり前の内容でさえも真正面から書いたテキストを見つけられなかったので、自分で書いてみた訳です。
誰にもナメられないVJになる為には、自分がVJに対して真摯であることが必要です。ここにはその初歩が載っています。
感情曲線やら、グルーヴの把握やら、コントロール等の上級編は、また日をおいて書きますのでお待ちください。
【VJ考:0】ここからは、先日のVJ-Sessionでお逢いできた「最近VJを志した方々」に向けて しなさまがどのようにして今に至ったかをお話しします。合わないと思えば無視していただければ結構ですし、もしも得心が行ったらならば参考にして下さい。
2011-08-08 16:32:58【VJ考:1】わたくしは元々 動画編集を得意とする場末のパーティスタッフに過ぎず、単なる裏方の人間です。イベント演出等に直接関わった事はありませんでした。しかし今は、オーガナイザー様からはゲストDJと同等と思しき待遇を賜り、懇意にしていただいております。有り難いことです。
2011-08-08 16:34:31【VJ考:2】こういった話をする時に、「懇意にしていただけるVJとはなんだろう」と考えるのですが、ある程度得心の行きやすい結論が出たのでお話しします。結論から申し上げますと、「それは安心して任せられる職人である」ということです。
2011-08-08 16:35:19【VJ考:3】わたくしは、映像作家の片手間にVJを行う方々が天才肌であると感じております。天才とは天才であり、極めて限定した環境でのみ その才能は輝きますが、一方で、どのハコでも自分の演出スタイルを固持しようと拘る傾向が もしかしたらあるのかもしれません。
2011-08-08 16:36:22【VJ考:4】「確立した演出スタイルに拘る」のはアーティストとしては望ましい特質ですが、オファーをする側にとっては ときに扱いづらいと感じるかもしれません。逆に、世渡りの巧いVJは、需要の変化を敏感に感じ取り、多岐な要求に応じるべく準備を終えています。
2011-08-08 16:37:21【VJ考:5】VJについて無勉強だったわたくしが、当時所属していたパーティのオーガナイザーから初めて「VJを頼む」と頼まれてから 現場デビューまでには5日間しかありませんでした。今から思うと無茶振りなのですが、限られた時間でやれる事はやったと思います。
2011-08-08 16:38:20【VJ考:6】機材を揃え、担当する音楽への理解を深め、動画素材を作りこみました。限りなくシミュレーションを行い、どの曲展開にも対応できるよう備えました。そしてある程度の経験を積むと、自分に共感覚と思しき能力が身に付いていると分かりました。
2011-08-08 16:39:00【VJ考:7】共感覚は云わば直感的な連想能力です。例えば共感覚者が音を聞けば、脳裏に色彩や造形が生まれます。共感覚は誰でも持っています。「ウメボシを思い浮かべて」と言われて唾液が出るのもそれです。訓練を積めばどんなジャンルにも対応させられます。
2011-08-08 16:39:50【VJ考:8】VJさんによっては独自の共感覚を駆使して「この音には→この絵」という、映像で音を模写するスタイルの方が居られます。それはそれで良いのですが、イベント全体を俯瞰して観ると、VJの演出結果が脈絡が無く不揃いなパッチワークになりかねません。
2011-08-08 16:40:22【VJ考:9】もう1ランク上のVJ演出を目指すならば、時間帯やアーティストの傾向を想定して、演出に用いる素材の大分類を、あらかじめ大まかに作っておくことが必要です。地味な作業ですが、これが出来ている人とそうでない人の演出は一目で分かります。
2011-08-08 16:41:09【VJ考:A】天才とはアートであり、職人とはサイエンスです。乱暴な言い方をすればアートは「これがアートだ」と言えば成立します。しかしながらサイエンスにはエビデンス(科学的根拠)が必要です。職人VJを目指すならば、エビデンスに基づいたテクノロジーを意図的に駆使しなければなりません。
2011-08-08 16:41:48【VJ考:B】VJがテクノロジーを運用するためには、意味情報刺激による快楽と、色彩・構成刺激による快楽を区別しなければなりません。でなければ「単にシッチャカメッチャカに絵を切り替えているだけ」と思われても仕方ありません。わたくし達はその危険を常に恐れましょう。
2011-08-08 16:42:32【VJ考:C】その絵は面白いのか、何故面白いのか、誰にとってもそれは面白いのか、今の演出素材としてそれは相応しいか、投影した後で根拠を問われた時に明確に答えられるのか、を常に考える訓練をしましょう。世の中に溢れる全ての絵が、わたくし達の為に用意された素材の宝箱に見えてきます。
2011-08-08 16:43:10【VJ考:D】映像の著作権がどうたら、という意見もありますが 特にオーガナイザー様からの指定が無い限りキャプってパッカンパッカン使えば良いと思います。文句を云うのは常にカネを払わず現場にも来ない奴等ばかりです。お客さんは映像の出自など気にしません。これはわたくしが断言します。
2011-08-08 16:43:44【VJ考:E】VJはオーガナイザー様の希望を叶えるランプの精です。四次元ポケットを備えたドラえもんです。現場において「準備してないからできません」は恥です。わたくし達は万能の職人であって、「この人に任せたら安心だ」と思わせなければなりません。詐欺師の手法を学びましょう。
2011-08-08 16:44:20【VJ考:F】イベントにおいて、足りないパズルのピースを現場で捏造し「偶然ピースが揃ったよ、良かったね」と、いけしゃあしゃあと云ってのける。それがVJです。ここまでできて初めて、イベントマンとして最低ラインを超えたと言えるのではないでしょうか。一緒に頑張りましょう。おしまい。
2011-08-08 16:45:16「宇宙一おもしろいVJ」を目指すならば、更にその上位概念を運用する必要があるのですが それは誰にも教えません。今までにヒントは幾つも出してきました。 わたくしが死んだら記憶箱を残しますので 鍵は勝手に探して下さい。
2011-08-08 16:52:48日を改めて、お客さんのグルーヴを読み取ったり操ったり云々カンヌンというVJ考を書いてみたい気もするが、需要あるかなぁ。
2011-08-08 17:48:11