マスター・オブ・パペッツ #2
【ニンジャ】 ・ある日突然ニンジャになる ・ニンジャになると身体能力が非常に強まり、神秘的な力すらも身につける ・ニンジャネームを名乗る 【何故ニンジャ化現象が?】 ・インターネット等で世が乱れているので ・キンカク・テンプルから過去のニンジャの魂が降り注いでいるので
2021-05-27 21:00:01【憑依型ニンジャ】 ・もとは普通の人 ・突然強くなるので乱暴になったり狂ったり破滅したりし易い ・カラテの心得があると役に立つ ・昔よりは社会の中に居場所がある。ただし依然として闇の存在 【リアルニンジャ】 ・修業によってニンジャになった ・神話時代から生き続ける者も ・だいたい強い
2021-05-27 21:05:00【カタナ・オブ・リバプール】 ・本社は英国リバプール ・トップはエリザベート・バサラCEO ・ネオサイタマでは治安部隊KATANAを展開 ・月破砕後の世界で頭角を現した暗黒メガコーポ ・プロダクトは全体的に黒くてカッコいい ・略称KOL 【マークスリー】 ・狩人 ・KOLの美少年型バイオ・ホムンクルス
2021-05-27 21:08:00【これまでのあらすじ】 ニンジャスレイヤー狩りの儀式「ストラグル・オブ・カリュドーン」の参加者、マークスリーは、カタナ社によって作られた人造人間である。彼はニンジャスレイヤーの弱点を探るため、関係が疑われる店「ピザタキ」に目をつけた。潜入した彼は美しいコトブキと出会い……。
2021-05-27 21:16:06入り組んだビルの裏壁と高架と防壁に四方を囲まれた墓地公園は、ネオサイタマの街区の狭間にあり、誰からも忘れ去られていた。錆びた滑り台の裏に建ち並ぶ墓石には「無縁仏」と漢字で書かれており、備えられたマンジュウやダンゴは完全に干からびていた。吹き込む風に揺れる柳の枝は恐ろしい。 1
2021-05-27 21:21:15仁王立ちするマスラダは、錆びたブランコに座るフィルギアを前にしていた。「……それがストラグル・オブ・カリュドーンの基本ルール」フィルギアはブランコを軽く揺らしながら、マスラダに語った。「積極的に探し回って倒しに行くのもいいが、どちらにしろ、始まっちまえば、お互いの居場所は判る」 2
2021-05-27 21:23:51「奴らは自分の番が来るまで隠れ潜んでいる。そういう事か」「ああ、そうだ」フィルギアはブランコを止めた。「生き残るためには、まずは全員倒す事だが……」「不十分だ」マスラダの目つきが険しくなった。「後ろでのうのうと見物している連中に思い知らせる必要がある」「まあ……そりゃ……」 3
2021-05-27 21:27:33フィルギアは懐からシャボン・ストローを出し、噴いた。墓場の風がシャボン玉を吹き流す。マスラダは尋ねる。「それで?シナリイとは何者だ」「昔の知り合いさ。……お前が作ったオリガミの正体は、奴にもわかっていない」「おれはオリガミを作っていない」「お前がカラテして、生じた。同じさ」 4
2021-05-27 21:31:24「……」マスラダは俯き、拳を握った。フィルギアは考えをめぐらし、言葉にしていった。「俺のほうでも調べちゃみるが……とにかく、生じたオリガミは動かせず、壊せず、消えもしないし……次の狩人を倒した時にも、新しいものが出来るんだろうよ」 5
2021-05-27 21:34:22シーズン4 第3話 【マスター・オブ・パペッツ】#2 pic.twitter.com/R4z6u7ydNO
2021-05-27 21:35:08「どうしました?」コトブキの言葉に、マークスリーは我に返った。カートンボックスを落としそうになり、タキが慌てる。「オイ!」「アッ……これは、失礼を」片手の力でカートンを支えたマークスリーは、カウンターの裏へそれを運んだ。「お構いなく、なんですよ」コトブキが気遣った。 6
2021-05-27 21:41:17「こちらこそ、どうか気になさらず」マークスリーは咳払いした。「ただ、僕自身がそうしたいから、しているまでです。感謝も不要です。僕はただ、レディに手を差し伸べることを規範として……その」「なんて奥ゆかしいのでしょう。わたし、コトブキといいます」「ア……僕は……ジョンです」 7
2021-05-27 21:45:32「ジョン=サン?その素敵な身なりは、地方性が豊かですね。グレートブリテン諸地域のミックスでしょうか」「ああ、まあ、色々と……。わかるのですか」「わたし、服装には詳しいのです!」二人のやり取りを、タキは苦虫を噛み潰したような顔で見ている。「旅行者かい!」奥の席から声がした。 8
2021-05-27 21:48:47「こっちで一杯付き合う気はないかい?そこの……イック!美少年」黒髪の女がケモビールのジョッキを掲げた。「アタシは……イック!レッドハッグと呼びな……ヒヒヒ!」「あのファッキング・ネエチャンめ」タキは唸った。「中途半端に意識持ち堪えやがって。つぶれて寝ちまえばいいのに」 9
2021-05-27 21:53:06「やめとけ、やめとけ!」同席の重サイバネ者が……否、ロボットが、彼女をなだめる。「後でどうせなんにも覚えてねえぞ、このやり取りも」「そりゃないね!泥酔者の……イック!言い訳を真に受けちゃいけないよ。ごまかしてるだけだ。アタシにゃわかる。アイツもね……ニンジャスレイヤー=サンも」10
2021-05-27 21:56:43「今、何と?」マークスリーがツカツカと彼女のもとに向かってゆく。「おう、なんだ、どうした」同席のロボットが驚く。マークスリーはロボットを見る。椅子に乗っているロボットに腰から下が無い。「これか?メンテ中でな。俺はノブザメE。凄いAIの持ち主なんだ。凄いだろ……」「今、何と」 11
2021-05-27 21:59:13「ああ……違うね。アイツ、名前を変えたんだよ。ややこしいッたらありゃしない」レッドハッグはジョッキをドスンと置いた。「こんな店に来ちまってさあ」「こんな店とは何だ!何日も居座りやがって!」タキが抗議した。「そろそろ出禁にするぞ!ニンジャだからってナメやがるとな……」 12
2021-05-27 22:01:29「よいではないですか。長旅と聞きましたし……無銭飲食でもないんですから」「この店の品格にそぐわねえんだよ」タキはぼやいた。レッドハッグとノブザメEは少し前にこのピザタキをフラリと訪れた。流れ者で、ネオサイタマでなにか仕事をし、報酬の受け取り手続きの為に滞在している。 13
2021-05-27 22:05:47レッドハッグは昔の知り合いである「サツバツナイト」が今もネオサイタマに居るのか、知りたがっていた。タキは情報を売り、国際探偵として方々を行き来する立場を教えたが、彼とピザタキの者達に一応の面識がある事は一旦伏せた。まして、マスラダとの関係は厳かに秘した。今は特にまずい。 14
2021-05-27 22:08:48ストラグル・オブ・カリュドーンに巻き込まれて以来、マスラダは直接このピザタキに足を向ける事はない。彼はIRCで連絡を時折入れてくるが、ネオサイタマを転々として、行方を詳しく知らせはしない。実際、狩人のニンジャにこの店が攻撃を受けでもすれば、より難儀な事態となるからだ。 15
2021-05-27 22:13:27タキはマスラダの「ニンジャスレイヤー」としての仕事を仲介する立場だが、依頼の経路を複雑化させ、符丁を用いるシステムに変えた。これにより依頼の処理が煩雑化し、迷惑が増えている。彼はマスラダに請求する情報処理手数料の増額を検討していた。 16
2021-05-27 22:16:25「ニンジャスレイヤーをご存知なのですか?」マークスリーはレッドハッグに詰め寄った。「知ってる。知ってる」レッドハッグは恍惚と頷いた。「だけど今は違う名前だよ……本当に美少年だねえ……一杯付き合いな……」突っ伏して、動かなくなった。「ちッ……!下賤な」マークスリーは呟いた。 17
2021-05-27 22:19:47「すまんな」ノブザメEは詫びた。「だけど、もう静かになったから。こうなるともうダメだ。よかったぜ」「ジョン=サン、お前よォ。ニンジャスレイヤーとかいう奴を探してるのか?」タキはマークスリーの背中に声をかけた。マークスリーは振り返った。タキはじっと見た。 18
2021-05-27 22:22:23マークスリーの冷たい目に感情がよぎった。タキの横で、コトブキもマークスリーを見ている。マークスリーは咳払いし、言葉を発しようとした……。ガガピー!ガガガガピー!その時、店内スピーカーから激しい雑音!ガガガガ!「ファッキング・ディックヘッド!」タキが叫んだ。「直したの先週だぜ!」19
2021-05-27 22:25:28