(おかんまとめ32)朝の三分小説~おかん~(戸隠の思い出編)

おかん517からおかん533まで。  復活の寺田よしのり編を挟んでいるのでわかりにくくなっていますが、ストーリーは猿の温泉編からの続きです。寺田よしのり編はそれ自体独立した小編なので、仕方ないですね。多分、劇場版みたいなものなんでしょう。  さて、話はボンボ・ウボンの能力で温泉に飛ばされたおかんが奴隷労働から脱出したのが前回。  今回、おかんはさだみつを助けるために修行をするべく、戸隠の里に来たところからスタートします。  すごい。すごく少年漫画っぽくなってきましたね。おかんはかつて14歳の時にも戸隠の里に来たことがあるらしく、そこで忍者の修行をしていたという過去が明かされます。 続きを読む
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カメックスシ @agodenderu

おかん517 これまでのおかん ムーンライトさだみつが長野市長ボンボ・ウボンに捕まり高等教育を受けさせられる事になった。 ムーンライトさだみつを奪還したいが実力不足のおかんは修業の為、戸隠の里に来たのだった。 「中学生以来だなここは、師匠元気かな」 おかんは過去に思いを巡らせるのだった。

2017-11-27 06:56:25
カメックスシ @agodenderu

おかん518 安賀多おかん十四歳の秋の事だった。 おかんは公立中学校の新学期が始まってわずか三日目で学校を抜け出して旅に出た。 「やっぱりあんな所にいたら鳥インフルエンザにならぁ。しかし、これからどうしようかな」 全く宛のない一人旅、とりあえず武田信玄の隠し財産を探す事に決めた。

2017-11-28 06:56:23
カメックスシ @agodenderu

おかん519 おかんは山で遭難していた。 「なんてことだ、ベイブレードは方位磁石の代わりにならなかったのか。でもどうせ死ぬなら最後に松茸食べよう」 おかんは松茸を探し始めた。 死と向き合う事で覚醒した嗅覚はすぐに遠くの松茸を発見。手にとろうとした所で偶然にも忍者と手が重なってしまった。

2017-11-29 06:55:02
カメックスシ @agodenderu

おかん520 「おっと松茸は拙者が先に見つけたござるよ」 本来なら忍者を倒して保健所に連れていく所だがここは下手に出た。 「わかった、松茸はやるから人のいる場所へ連れて行ってくれ」 という流れでおかんは戸隠の里に来たのだった。 戸隠は忍者とそばの聖地だ。しばらくはここで暮らそうと思った。

2017-11-30 06:57:48
カメックスシ @agodenderu

おかん521 しばらく戸隠で暮らしたいと忍者に相談するとこんな提案があった。 「それなら忍者マスターの元で働きながら忍術を教えてもらうといいござるよ」 「私が忍術?」 「忍者になれば飲食店で代金を支払わずに店から出てもばれないでござるよ」 「忍者すげぇ、その忍者マスターって奴紹介してよ」

2017-12-01 06:56:37
カメックスシ @agodenderu

おかん522 忍者に教えて貰った通り、忍者マスターがよく水浴びしているという鏡池に向かっている最中の事だ。 学校帰りの子供の忍者達が会話していた。 「マスターって国語も教えてくれるのかな」 「あの人日本語話せるし大丈夫でしょ」 おかんは通報覚悟で子供達に忍者マスターについて聞くか悩んだ。

2017-12-04 06:58:45
カメックスシ @agodenderu

おかん523 おかんは決心した。 「お前達のマスターとやらに合わせてもらおう、もしくは心臓を差し出してもらおう」 子供達は一瞬考えたが 「お姉ちゃんマスターの友達なんだね、いいよついて来なよ」 おかん達は溶岩の上をワニに乗って移動して、古びた日本家屋に来ていた。 「ここが忍者屋敷だよ」

2017-12-05 06:59:26
カメックスシ @agodenderu

おかん524 忍者屋敷の中は普通の和室だった。 「マスター、小学生が来ましたよー」 と子供達は宣言すると部屋の掛け軸をめくった。するとそこだけ壁がなく隣の部屋に行ける。ここはからくり屋敷なのだ。仕掛を次々奥へと進むと金髪のデカイ男がいた。 「あっマスター」 「よう子供達、とお客さんか」

2017-12-06 06:57:38
カメックスシ @agodenderu

おかん525 「あんたマスターなのか」 「見ての通り、家の中で迷子になったマスターだ」 マスターはアメリカ人だったし自分の忍者屋敷で迷子になっていた。 「こう見えても頑張りますんで私を弟子にしてください」 対しておかんはどんな人が師匠でも自分が無銭飲食出来るようになればいいと考えていた。

2017-12-07 06:56:36
カメックスシ @agodenderu

おかん526 「えっ弟子入り」 「いかにも」 と言っておかんは「師匠です」と書かれたたすきをアメリカ人にかけた。 「うーん、なんか本当に自分が師匠な気がするぞ」 「そのたすき、よく似合っておるぞ」 「ああ、もう師匠でいいや。俺はアメリカ人のピャークよろしくな」 ここに師弟関係者が成立した。

2017-12-08 06:59:11
カメックスシ @agodenderu

おかん527 おかんが一番最初にさせられた修業はコーヒー豆の入った重たい袋を持って家を出入りすることだった。 「じゃあこの袋を彦兵衛の家で忍者ハーブと交換してもらってね」 「この家出る方法よく分からないんですけど」 「これも修業さ」 おかんは一時間くらいかかって忍者屋敷から抜け出した。

2017-12-11 06:57:29
カメックスシ @agodenderu

おかん528 彦兵衛は一度に大量の忍者ハーブを吸い込んで痙攣していた。 「これってもしかしてヤバイやつなんじゃ」 その時忍者の神は言った。 「おかんよ、真の忍者を目指すならそこは気にしてはいけない」 「それもそうだな」 おかんは修業に打ち込み、ついにコーヒーを入れさせて貰える事になった。

2017-12-12 06:56:10
カメックスシ @agodenderu

おかん529 コーヒーを入れ続けて一ヶ月。おかんのコーヒーは師匠のに比べると何か物足りない。一体師匠とは何が違うのか。師匠がコーヒーを淹れている所を覗いて見ると、忍者ハーブの粉末を混ぜていた。 「これってヤバイアレなんじゃ」 それに対しコーヒーの神は言った。 「旨かったらいいんじゃね」

2017-12-13 06:58:47
カメックスシ @agodenderu

おかん530 おかんは師匠のコーヒーについて深く考えない事にした。 やがて秋が訪れた。 「おかんよ、今年の秋祭りは忍者カフェの出店をやるぞ」 と師匠が妙に張り切っているので忍者カフェをする事にした。 当日は忍者装束を着て接客をしていたが、明らかに客の方が本物の忍者な気がするのだった。

2017-12-14 07:03:33
カメックスシ @agodenderu

おかん531 コーヒーを飲んだ本物の忍者達は忍者ハーブを摂取しすぎて痙攣していた。 「しまった、夢を入れすぎたか」 とか師匠が言っている。おかんは聞かなかった事にした。 そんな中、一人痙攣せずにコーヒーを飲んでいる老人がいた。 「あなたはもしや忍者マスターでは」 師匠が驚いた顔で言った。

2017-12-15 06:57:43
カメックスシ @agodenderu

おかん532 「いかにも、わしが忍者マスターじゃ」 「やはりそうでしたか」 「ちょっと待った」 この老人が忍者マスターだったら困るのはおかんだった。 「この爺さんが忍者マスターなら師匠はなんなのさ」 「えっ俺か、からくり忍者屋敷喫茶のマスターだけど」 「忍者マスターじゃなかったのか」

2017-12-18 06:53:41
カメックスシ @agodenderu

おかん533 師匠は忍者に憧れて戸隠に移住したカリフォルニア育ちだった。 「コーヒー淹れるの上手くなったしもう何でもいいよ」 「さてわしはこれで」 忍者マスターが無銭飲食をしようと 椅子から飛び離れた所で痙攣して倒れてしまった。 「やっぱり忍者ハーブを入れすぎたな」 「戸隠の思い出編」完

2017-12-19 07:00:35