関東圏の生涯被曝量をできるだけがんばって計算してみた

前のまとめの続きhttp://togetter.com/li/172594 木下黄太氏と関東圏は避難した方が良いのか議論したかったのに。 仕方が無いので、独力でできるだけ考えてみました。 僕的な結論は「俺は放射線が怖いからって関東から避難しない」 まぁ最終的には個人の自由ですが、これくらいの情報が与えられた上で、「選択の自由」が得られるべき。「チェルノブイリの第3区です、逃げてください」じゃぁ、避難したい人も混乱しますよ?意味わからん。 続きを読む
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naka-take @Yuhki_Nakatake

木下黄太氏のブログ 『福島第一原発を考えます』の「首都圏(関東)土壌調査結果、関東全域で放射性物質に汚染されています。」の記事に触発されて、関東圏での生涯被曝量を考えてみます。 http://t.co/AP1wLLT

2011-08-10 15:28:06
naka-take @Yuhki_Nakatake

線量の低いところで考えても仕方が無いので、「いわゆるホットスポット」(←この言い方、個人的には大っ嫌いですが)で考えます。 僕もいずれは東京で職探ししなきゃいかんので、気合も入ります。娘もいるし。http://t.co/iXk5iS7

2011-08-10 15:29:30
naka-take @Yuhki_Nakatake

「いわゆるホットスポット」では、0.6μSv/時間くらいの空間線量が計測されていますので、この値を代表値として、今回の福島第一原発事故により増えた、関東圏での生涯被曝量を考えて、木下氏が言うように避難が必要なのか考えてみます(結構大真面目)

2011-08-10 15:30:02
naka-take @Yuhki_Nakatake

よくある勘違い、というか、計算間違いは、この0.6μSv/時間を、そのまま生涯に当てはめて、24時間365日に換算すると5.256mSv/年、人生80年と考えて80x5.256=420mSv、なんて計算です。

2011-08-10 15:30:28
naka-take @Yuhki_Nakatake

こういう計算をしてしまうと、つい最近、食品安全委員会から『生涯100mSvまでなら許容範囲とする』なんていう提言が出ちゃったところですし、「100mSvを超えるっダメだっ東京から脱出しなきゃぁあああ!!!1」なんて考えてしまうかもhttp://t.co/WXPgN0E

2011-08-10 15:31:21
naka-take @Yuhki_Nakatake

これは一見至極まっとうにみえますが、隠れた仮定として『今後とも空間線量が一定である』という前提を置いています。これはおかしな仮定です。実際、事故から4ヶ月経ちましたが、緩やかながら「一律に空間線量は落ちてます」。これを条件に入れないとhttp://t.co/jJhAmeA

2011-08-10 15:32:06
naka-take @Yuhki_Nakatake

健康に影響が出ないと考えられる生涯100mSvを80年で割って、一年当たり1.25mSvと計算するのも同様の間違いです。放射性セシウムは土壌に沈着しますが、水平方向へ希釈され、垂直方向に移動し、地面により放射線が遮蔽されます。ですので、空間線量は減ります。

2011-08-10 15:32:46
naka-take @Yuhki_Nakatake

では、どれくらいの割合で減っていくのか、が疑問です。ですが、昔の人は偉いもので、ちゃんとチェルノブイリ事故のときに、どれくらいの割合で空間線量が減ったのか、が国連などによって調べられています。 国連の発表@2008http://t.co/AuIxA6g

2011-08-10 15:33:24
naka-take @Yuhki_Nakatake

113ページのB62項にチェルノブイリ事故由来の放射線量の経年変化が解説されています。

2011-08-10 15:34:41
naka-take @Yuhki_Nakatake

「汚染地域の住民が生涯で受けるセシウム137由来の外部被曝の吸収線量を100とすると、事故の起きた1986年に25、1987-1995年の間に40、1996-2005年の間に15を受けたと見積もられる。今後2006-2056年の間に予想される被曝量は20である 」とあります。

2011-08-10 15:34:48
naka-take @Yuhki_Nakatake

つまり、今年の空間線量が25mSvであれば、今回の事故に起因する、生涯で受ける被曝量は、100mSvと予想されます。福島でも20mSv/年の基準が設けられているのは、ここら辺も関係してるのかもしれません。

2011-08-10 15:36:17
naka-take @Yuhki_Nakatake

また、同じ報告書の117ページに、周辺国の137Csによる相対的な外部被曝量と時間依存のグラフが載ってます。これを見てもらうとわかるように、周辺国でも、事故現場周辺と「変わらない割合」で空間線量が落ちることが分かっています。

2011-08-10 15:36:56
naka-take @Yuhki_Nakatake

プロットを元に、エクセルに近似式を出させると、だいたいY=1/Xの式になります。今年を100%とすると、1年後は70% 、2年後は45% 、3年後は30% 、4年後は20% 、10年後は12% 、20年後は6.5% 、70年後は今年の2%くらいになる計算です

2011-08-10 15:37:51
naka-take @Yuhki_Nakatake

さて、もう一回戻ってみて、都内の「いわゆるホットスポット」の値はいくらかだったというと、5mSv/1年目、でした。国連の報告書から、これは生涯の被曝量の25%と見積もられるので、生涯でも20mSvくらいの被曝量にとどまると予想されます。

2011-08-10 15:38:50
naka-take @Yuhki_Nakatake

しかも、今現在の空間線量は、セシウム137由来のものだけではありません。物理学的半減期が2年くらいのセシウム134からも、ガンマ線が出ています。大体のベクレル比は137:134=1:1と知られています(木下氏のブログにもデータは出てる)。

2011-08-10 15:39:05
naka-take @Yuhki_Nakatake

および、原子炉内で生成されるセシウム137とセシウム134のベクレル比は、1:0.4~1.5の範囲にとどまることが知られてますhttp://t.co/6MMK532

2011-08-13 15:41:10
naka-take @Yuhki_Nakatake

セシウム137と134がそれぞれどれくらいの放射線を出しているのか、を調べるのはちょっと骨です。というのも、この『0.6μSv/時間』というのが、どのような計測器で測られて、どのような近似換算を行ったかを知る必要があるからです。

2011-08-10 15:39:29
naka-take @Yuhki_Nakatake

ガイガーカウンタなどは、空間中の大体のエネルギーを電気信号に変えているだけなので、厳密にSvを算出しようと思うと、線源が何で、距離はいくらで、汚染面積がどれくらいで、といったパラメータを決めないと計算できないのです。

2011-08-10 15:39:41
naka-take @Yuhki_Nakatake

ですが、ここではざっくし行きます。厳密に計算するとなるとhttp://t.co/Sm26Mp6あたりのエネルギースペクトル依存の機種側の計測効率曲線から、考えないといけませんが、幸いなことに調べてある資料がありました。

2011-08-13 15:41:25
naka-take @Yuhki_Nakatake

実測値、理論値ともにセシウム134とセシウム137の空間線量(単位はSv)への寄与率は、ベクレル比が一定だと、1:2.7であると計算されます http://t.co/fLUkYH8 http://t.co/7VskgcO

2011-08-13 15:41:37
naka-take @Yuhki_Nakatake

まぁ実際はベクレル比は厳密に1:1じゃないかもしれませんし、木下氏ブログのデータを見渡すと、セシウム134は少ないようです。セシウム134は半減期が2年くらいなので、事故から5ヶ月たった今、当初の0.85倍くらいになってるはずですし、計算しやすいように丸めて1:2とします。

2011-08-13 15:42:18
naka-take @Yuhki_Nakatake

「いわゆるホットスポット」の放射線量は0.6μSv/時間だったので、0.6*1/3=0.2μSv/時間がセシウム137由来、0.4μSv/時間がセシウム134由来、と仮定します。http://t.co/7yyTVU5に、早川先生のまとめも大体そうなってます。

2011-08-13 15:42:48
naka-take @Yuhki_Nakatake

そうすると、最初の1年を同じとすると、初年度は5mSv/年、1年後は1.66x0.7+3.33x0.7x(1/2)^(1/2.06)=2.75mSv、2年後は1.66x0.45+3.33x0.45x(1/2)^(2/2.06)=1.51mSv等と計算されます。

2011-08-13 15:43:05
naka-take @Yuhki_Nakatake

3年後には0.86mSv、4年後には0.51mSvと計算されます。10年後は0.21mSv・・・となり、生涯では9.9mSv、大体10mSvと計算できました。 なので、外部被曝を考えた場合、今の関東では「生涯100mSvなんて受けるのは到底無理」と予想されます。

2011-08-13 15:43:19
naka-take @Yuhki_Nakatake

なお、フランスのIRSNは、もうちょっと防護的な考えで被曝量の推移を見積もっています。 http://t.co/XfuQ9yg IRSNによると、事故の起きた初年度で生涯の12.5%分を被曝、10年でさらに35%、そこから60年で50%強、としています。

2011-08-10 15:41:49
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コメント

宇治金時 @uzikin 2011年8月10日
第三者の検算等色々必要とは思いますが、とりあえずお疲れさまでした。非常に展開の仕方が論理的で素晴らしいです。
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genjitsu.jp @genjitsujp 2011年8月10日
Bq(ベクレル)もGy(グレイ)も物理で計算できるが、Sv(シーベルト)は物理だけで決められない(=恣意性が入りやすい)。その換算に疑いを持っている。
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水上春奈@サウロンの口P @tarlyon 2011年8月10日
Gy→Svの換算で特殊な係数が必要なのは、幼児・小児への影響の計算と、内部被曝の計算ですね。外部被曝であれば関係するのは放射線の種類による違いのみです。で、外部被曝の場合、今回の仮定では皮膚付着はほとんど考えなくて良いので遠くまで飛ぶγ線と仮定して問題ないわけです。内部被曝による影響はこのモデルでは外部被曝に比べて小さいと考えられるので数倍の差があったとしても結論の大筋は変わらないでしょう。
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てるくん @Teruchanka1 2011年8月10日
木下黄太氏って「原発事故で鼻血が増えた」とデマ流した人ですよね?人間、反省しないやつは何度も過ちを犯す、という反面教師にしましょう。そして「あの人」も絡んでくることを期待してます!
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yuhkan @yuhkan 2011年8月11日
コレは非常に興味深い計算。テレビなんかだと最後の結論数値しか出さなそうだが、経過を含めると納得できる。まあ気にするなと言うことか。問題は経過を聞く耳を持たない人の方が多いことか。
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珂允Ø襾鈴(3) @s_k_4_a_a 2011年8月11日
この調子で、関東圏で平均的な食物から摂取される放射能による内部被曝の線量もシミュレーションしてほしい。
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sivad @sivad 2011年8月11日
LNTモデルで考えると、被曝量x人数の総被曝量から、ごく大まかな被害数が見積もれますよ。一人当たり平均20mSvとするなら、被曝総数が仮に1000万人なら100mSvx200万人と同等です。0.5%のがん死増加とすれば、1万人のがん死が増加するという試算になりますね。
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kartis56 @kartis56 2011年8月11日
>0.5%のがん死増加   いや、癌死ではなくて癌発生率の増加だからその計算はおかしい。
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sivad @sivad 2011年8月11日
ICRPでは「100mSvの被ばくはがん死亡のリスクを0.55%上乗せ」となっていますね。 http://www.nsc.go.jp/info/20110520.html
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Akisute @take12024 2011年8月11日
LNT仮説は、大規模低度被曝の推測の役に立たない http://d.hatena.ne.jp/buvery/20110518 たしかLNT仮説を、大規模人口の低線量被曝に適用するのは誤りって ICRPもいってませんでした?
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sivad @sivad 2011年8月11日
公衆衛生的なモデルですし、0.1mSVを10億人、とかやるのは極端でしょうが、20mSvあれば目安にはなるんじゃないですか。そもそもSv換算自体ICRPのものですし。まあ国が従うとしているICRP基準で概算すると被害規模はこんな感じ、という、あくまで目安として考えてください。これを大きいとみるか小さいとみるかはその人次第です。
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naka-take @Yuhki_Nakatake 2011年8月11日
読んでいただいた方から、いくつか指摘がありました。外部被曝に関しては防護側に見積もっていて、土ぼこりによる内部被曝は逆に過小評価している模様。明日にでも訂正をし、まとめなおしますが、最終的な結論は変わりない範囲と概算されます。むしろ今の値より減りそうです。読んで頂いてありがとうございます。
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naka-take @Yuhki_Nakatake 2011年8月11日
http://www.jnes.go.jp/content/000011196.pdfに、発ガン・致死的なガンのリスクなどが一覧になっています。知る限り一番詳しいです。放射線によるガンの発症年齢の分布なども載っています。ガンによる死亡リスクは0.05~0.11/Svと見積もられることが多いです。京大の今中哲二教授の記事のTable3を参照ください http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/kek07-1.pdf
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sivad @sivad 2011年8月11日
考察と情報どうもありがとうございます。全員逃げろとは思いませんが、避難も比較考量の上で判断として別におかしくはない、という感想です。ただ福島のように放出と蓄積が続いているわけではないので、測定と除染がなにより大事でしょうね。
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sivad @sivad 2011年8月11日
今中さんではこういうのもありますね。チェルノブイリからの放射能汚染によりスウェーデンでガンが増えている?今中哲二http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No104/CNIC0602.pdfまあ基本はこちら「低線量被ばくによるがんリスク」http://smc-japan.org/?p=2037と思います。
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sivad @sivad 2011年8月11日
あとはやはり、専門がもっとも内部被曝に近い児玉先生ですかね。http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8f7f0d5f9d925ebfe7c57aa544efd862 http://famasaki.com/japan/20110729105723/ 関東でも適度に警戒感を持って、測定と除染を進め、放射性物質の拡散を防ぐのがなによりかなと思います。では。
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スズキ@トランジスタハウス @szkx 2011年8月12日
数字が出ることで、(反射的に)かえって不安になってしまう人は目を通すとよいと思う(コメント欄含めて)。ポイントは「防護的に計算」しているということ。
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naka-take @Yuhki_Nakatake 2011年8月13日
ご指摘を反映し、まとめなおしました。ちょっと長くなりましたが、分かりやすくなったと思います。下のほうに僕の主張のまとめや、注意点・問題点を箇条書きにしてます
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KazmaS @kazma_s 2011年8月19日
大勢に影響はないと思われますが、土ぼこり中の放射性物質の量は4倍に濃縮されている、とするIAEAのレポートがあるそうです。ご参考まで。 http://goo.gl/fSNCn 6頁、IAEA Safety Report Series No. 44
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KazmaS @kazma_s 2011年8月19日
↑ごめんなさいリンク間違えました。http://www.aesj.or.jp/aesj-symp/presentations/02-02_hattori.pdf こちらの6頁です
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ex_hmmt @ex_hmmt 2011年10月26日
自分でも妥当性を検証できる、という意味で科学的に良いまとめ(=第三者がさらに検討・検証する事で信頼性が高まる可能性がある。もちろん否定される可能性もある=要するに反証可能性を満たしている)。
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北村博昭 @Promised_Land12 2012年2月4日
大変、参考になりました。有難う御座います。
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Y S@マスク2枚は必要な方へ! @abo_abo 2012年4月3日
途中で目が拒否って(数字苦手)、まだ全部読めていませんが、ブックマーク。ありがとうございます。
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