北条久奈たんの語る諸外国の議会制度と日本の衆参両院制
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Yamanami_ZAION
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つまり、政府提出法案が国会に出た段階ですでに原案について与党内で合意がなされしかも全議員にそれに賛成する党議拘束がかかってるのだから、国会の審議を通じて妥協案をつくっていくなんてことが起こるはずがないのよね
2011-08-10 19:46:09
じゃあ、どこで妥協案をつくっているのかというと、総務会での了承前。つまり自民党の各部会で所属議員と官僚やらの折衝が行われて、そこですでに妥協案が作られてるわけで、逆に言うと国会にあげられた段階でやることは何もないわけです
2011-08-10 19:47:41
ここで野党の仕事は何かというと、法案を引っ掛けること。つまり法案をたなざらしにしてできるだけ時間を稼ぐこととなる。原案通り可決するか否決するかしか仕事がないのだから当然。そしてその戦術を可能にしたのが、内閣と国会との関係、そして国会の制度の二つにある
2011-08-10 19:49:30
まず、国会と内閣との関係でいうと、参議院について言及した際にも書いたように、内閣には国会に対し法案の審議を促進させる手段というものを持っていないのよね。つまり、国会がどのような重要法案であってもたなざらしにしておこうと思えば何時まででもたなざらしにすることができる。
2011-08-10 19:51:08
さらに、日本の国会は会期制を取り会期の終わりまでに議決がなされない法案は審議未了で廃案となってしまう。つまりたなざらしにすればするほど廃案となってしまう危険性が高まるわけで、ここから言わば法案を人質にとって、政府与党から譲歩を引き出すのが野党の戦略だったわけね。
2011-08-10 19:53:46
.@h_firecat その点については国会の審議を通じてという意味でならイエス。しかし実質的にはノー。なぜなら、重要法案をたなざらしにすることで別の法案について政府与党の譲歩を国会外で迫ることができたから。いわゆる国対政治ってやつだな。
2011-08-10 20:15:10
間あくとしゃべる内容忘れるというか、何しゃべろうとしてたんだったか抜けてしまってしゃべることがないので終わり。質問があればどーぞ
2011-08-10 20:17:32
@Hisana_ 逆に棚晒し戦略を取らざるを得なかった、ってことか。その伝統が今もずっと続いてるのね。。。 てか衆参のねじれは当初から想定されていたのかしら?
2011-08-10 20:22:08
.@h_firecat とてもいい質問かしら。実を言うと初期の参議院の最大会派は緑風会なのよね。緑風会には党議拘束がなかった。つまり、与党が過半数を押さえてなかったという意味で、国会はねじれからスタートしていたと言える。
2011-08-10 20:26:58
.@h_firecat じゃあ、なぜその時に現在のような国政の停滞が起こらなかったかだけども、緑風会は政府案に是々非々の立場を取った。また、その当時内閣には法案の修正権が確保されていたというのもある。それゆえ、そこでは実質的な修正審議が行われていたと言える。
2011-08-10 20:27:15
.@h_firecat ところが、参議院が党派対立の場に変わることで、緑風会の勢力は減少し自民党が過半数を得るに至って参議院のいわゆるカーボンコピー化がなったと言えるわけだわさ。それ以降は知ってのとおりね。
2011-08-10 20:27:34
火猫さんがとてもいい質問をくれたので、さらに少し続けようか。衆参のねじれが想定されていたのかという質問、これはひっくるめていうと「そもそも現行憲法体制下ではどのような政治制度が志向されていたのか」という問題にいいかえることができる。
2011-08-10 20:35:00
実を言うと、現行憲法が想定していた政治制度とはウエストミンスター型の議院内閣制とアメリカ型の分権的議会との折衷的制度だったのよね。この両方の特徴を併せ持った制度を憲法は志向していたと言える
2011-08-10 20:36:41
@Hisana_ 結局参議院の変質(と書いていいのかわからんけど)が原因か。最近までgdgdにならなかったことのほうがすごいな・・・
2011-08-10 20:37:43
これはどういうことか。つまり議院内閣制の観点からいえば、衆議院と内閣との政治的意思の一致を予定していた。だからこそ内閣に解散権がある。参議院にはそのような縛りはない。これは参議院がアメリカの議会のように行政と独立した立場にあって変換型の機能を果たすことが想定されていたと言える。
2011-08-10 20:38:52
初期の国会はこの要請にある程度こたえていたと言えるかしら。参議院における緑風会の活動もそうだけれども、衆議院においても議員による立法活動というのは行われていた。議院内閣制でありながら議員にローメーカーであることを求めたこの制度はそれなりにうまく機能していたと言えるかしら
2011-08-10 20:40:28
虻蜂取らず状態? RT @Hisana_:実を言うと、現行憲法が想定していた政治制度とはウエストミンスター型の議院内閣制とアメリカ型の分権的議会との折衷的制度だったのよね。この両方の特徴を併せ持った制度を憲法は志向していたと言える
2011-08-10 20:40:48
これはまず制度的な側面でいうならば、国会法において、議員の法案発議権が初期にはほぼ制限されていなかったことが大きい。つまり議員個人の自律的な立法活動を可能にしていた。さらにその当時は政党が分立気味で、党の議員に対する縛りが強くなかったことも大きい。
2011-08-10 20:42:10
そして慣習的な面でいうならば、やはり貴族院の流れをくむ参議院の態度によるところが大きい。戦前の貴族院が会派ごとにまとまっていたとはいえ、緩やかなつながりであり、基本的に政府案には是々非々で対応してきた伝統が初期の参議院には残っていたわけね。
2011-08-10 20:43:20
しかしながら、この流れというのは55年体制の成立とともに終焉を迎える。自民社会という二大政党の誕生、自民党内における事前審査制度の導入、国会法の改正による議員立法発議権の制約、参議院の政党化。これらすべてが国会審議を形骸化に追いやったわけだな。
2011-08-10 20:45:22
ただこれは悪いことではないことだけは注意してほしい。政府内閣からすれば、自分の提出した法案が予期せぬところで修正されてしまうことは避けたい。与党からすれば法案の作成段階から与党議員が関与できる事前審査制度は大きな影響力を発揮しうる手段となる。
2011-08-10 20:46:34
つまり、55年体制下において、国会審議で行われることが想定されていた法の調整修正作業が与党段階で行われるようになったということなのよね。その意味で日本の政治家が仕事をしていなかったわけではないし、必要な仕事がなされなかったわけでもない。
2011-08-10 20:47:59
まぁ、55年体制というのは時代にあっていてそれなりにうまくやっていた制度だったわけよ。だから、もともとの憲法が想定していた状態から乖離していたところでそんなに悪いことではないのよね。むしろ時代に合わせて制度を変えたってことでいいことだと思う。
2011-08-10 20:49:34
問題は、時代も制度も変わってしまったこの時期にいまだに国会審議がうまくなされないことにあるわけ。じゃあ、なんで今の国会審議が低調なのかってことを考えるにあたって諸外国の制度に当たることは大切なことだし、今までの日本の制度がどのようなものであったかを理解しておくことも重要になる。
2011-08-10 20:50:43