元々は、海外で「生理用品を買えない層がいる」という話が日本に持ち込まれ「日本にもそういう人たちはいる」という形で発展したものだ。
2021-07-04 14:44:58>国際NGOのプラン・インターナショナルでは、2017年にイギリスで初めて「Period Poverty (生理の貧困)」の調査を実施。この調査で、回答者の10%が「生理用品を買えなかったことがある」と答えている。
ただ、人種間の収入格差が大きい海外ならまだしも、日本において生理用品を買うための月数百円の支出すら不可能、という人は(絶対にいないとは言わないが)あまりいないだろう。
2021-07-04 14:45:06つまり本来は「貧困」が原因ではないはずの問題が「貧困」と言われることで、この問題の本質を見えにくくしてしまっている恐れがある。
2021-07-04 14:45:12そもそも「生理の貧困」の定義が海外と日本では違う
日本版の「生理の貧困」に関する調査を見る時に特に注意しなければいけないのは、発端となった海外の調査のように「生理用品を購入できなかったことがある」という人の割合ではなく、「生理用品の購入をためらったことがある」という人の割合を調査したものが多いという点だ。
2021-07-04 14:45:28海外の調査では、「生理の貧困とは生理用品を購入または利用できない状態」だと定義しているので、日本の場合とは「生理の貧困」の定義そのものが異なることになる。
2021-07-04 14:45:37例えば、「高額な食べ物の購入をためらったことがあるか」と聞かれれば私はあるし、何なら今でもためらうことはある。 しかしそれだけで「貧困」だと定義してしまうと、日本人の大半が該当してしまうことになるのではないか。 だが日本人の大半が「食事の貧困」などと言われてはいない。
2021-07-04 14:45:45もちろん「食べ物を入手できない」という状態が「貧困」なのは確かだ。しかし、「入手できない」わけではなく気持ちの上でためらった経験が一度でもあるだけで「貧困」と定義してしまうのは果たしてどうなのか、という観点が「生理の貧困」の議論では全くと言っていいほど見過ごされてしまっている。
2021-07-04 14:45:51一応、日本でも海外の調査と同じように「生理用品を買えなかったことがある」という学生の割合を調査したアンケートはある。 それによると約6%の学生が該当すると回答していた。 (なおこれはコロナ禍の影響の調査であり、潜在的な「生理の貧困」の調査ではないので要注意) www3.nhk.or.jp/news/html/2021…
2021-07-04 14:46:01あくまで学生のグループによるSNS上で行われたアンケート調査であることや、回答人数が671人と少なめであることなどから、その結果を「実態」と呼ぶには追加の調査が必要だと思われるが、コロナ禍の影響で収入源を失なった学生も少なくないことを考えると、6%という数字にあまり違和感は無いだろう。
2021-07-04 14:46:08その6%に該当する学生は恐らく生理用品以外の生活必需品の購入にも苦労しているだろうし、「貧困」と言っても差支えないのではと思う。
2021-07-04 14:46:14しかしながら、食べ物など生理用品以外の場合には「貧困」に当てはまらないような、「購入をためらったことがある」というケースも「貧困」に認定してしまうのは、むしろ逆に金銭的支援が必要な人の姿や実態を霞ませてしまうことに繋がる。
2021-07-04 14:46:19その上さらに海外とは違う「生理の貧困」の定義を用いて「日本は世界の中でも生理の貧困問題が深刻」などと主張するのは明らかにミスリードであり、議論の方法としてかなり問題があると言わざるを得ない。
2021-07-04 14:46:24それは本当に「貧困」なのか?
例えば、生理用品を入手できない、もしくは入手をためらった理由について「親が買ってくれないから」と答える人が少なくないことがアンケートから分かっている。 www3.nhk.or.jp/news/html/2021…
2021-07-04 14:46:34もちろん、本当に家庭の経済的理由から数百円の支出すらままならず、生理用品を買えないケースもゼロではないだろうが、多くは保護者の無理解やネグレクトによるものだ。 つまり根本的な原因は他にあり、経済的な「貧困」だけが生理用品を買えない直接の原因ではない。
2021-07-04 14:46:45「流行りの服やコスメを買うお金はあるけど、生理用品を買うお金は無い」という女子高生がメディアで紹介され、SNS等で論争になったこともあった。 gendai.ismedia.jp/articles/-/809…
2021-07-04 14:47:01