ペーター・コンヴィチュニー オペラ演出アカデミーinびわ湖 講義日誌

世界的オペラ演出家ペーター・コンヴィチュニー氏による、日本の若い演出家と歌手たちのためのアカデミーが、プッチーニ≪ラ・ボエーム≫を題材に2011年8月3日~12日にびわ湖ホールで開催されました(びわ湖ホール・昭和音楽大学の共催)。その簡単な講義日誌です。 (追記)「   」内は、蔵原順子氏通訳によるコンヴィチュニー氏の言葉を、できるだけそのまま生かしてまとめたものです。その後部に余裕ある場合の書込みは記録者のコメントです。「感想」の項は記録者の感想です。
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Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 1日目(0) 本日の進度:べノアが奥さんの愚痴を言いだしたあたりまで。以下(1)~(4)でラフにK氏発言覚書。#PKA11

2011-08-13 23:15:04
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 1日目(1) 《ラ・ボエーム》について「人々のお互いに疎外しあう気持ちが、さまざまな恋人たちの愛の成就を邪魔しています。ミミは病で亡くなるのではなく、人間同士の間に生じた冷たさによって死ぬのです。」#PKA11

2011-08-13 23:15:15
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 1日目(2) 時代背景「19世紀末というのは様々な既存「形式」が壊れた時代です。足元の世界が崩れる不安を自分の中で消化できず、メランコリー、神経症的な病気にかかる人が増えました。そこからフロイト思想や多くの芸術も生まれましたが。」#PKA11

2011-08-13 23:15:28
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 1日目(3) ロドルフォ「彼はメランコリーを抱える人間。彼には「死」に対する不安が大きな役割を占めていて、死に向かっていく女性にどう寄り添えばいいのかわからない。それでも「彼女を愛していない」というわけではないから話は複雑」#PKA11

2011-08-13 23:15:51
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 1日目(4) 若き芸術家たち「彼らは、新しい時代の自分たちのアートを創り出そうとするが、「モダンすぎて売れないから引き取れない」と否定され、挫折感を抱えている。親しい仲間同士では遠慮のなさから直接にいらだちをぶつけ合ってしまう。」#PKA11

2011-08-13 23:16:03
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 1日目(感想)認められない上に貧しい若者たちのフラストレーションが強いほどに、物資到着後の浮かれた展開のコメディ性が際立つ。男子(と呼びたくなる!)四人の喜劇的チームプレーのおかげで、音楽はよりいきいきと!#PKA11

2011-08-13 23:16:13
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(0) 本日の進度:2幕に軽く入る・ロドルフォがミミのネックレスのおねだりをかわしたあたりまで。以下(1)~(9)でラフにK氏発言覚書。#PKA11

2011-08-13 23:16:23
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(1) べノア「『まるで大砲で!』とMcに股間に懐中電灯を挟まれぎょっとするが、皆に乗せられ「男同士の話」ができる気に。得意げに『若い頃には…』と始めた時には四人は『ひっかかった!』と」男同士の絆確認はやっぱり下ネタ?(笑)#PKA11

2011-08-13 23:16:34
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(2) 家主撃退「明日にも叩き出され路頭に迷うかもという不安に苦しむ四人は、家主への憎しみすら覚え、家賃を踏倒すために犯罪まがいに走るほど追い詰められている。喜劇的に見えるが、彼らの存在の根幹にかかわる深刻な問題を扱う場面」#PKA11

2011-08-13 23:16:44
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(3) ミミとロドルフォの関係開始「この関係では、Rが常にMの病気について不安を感じそれが次第に増幅していくのが最初から示される。Rはメランコリックな不安の人。三幕で彼はMの病への怯えを語るが、それを彼は最初から持っている」#PKA11

2011-08-13 23:16:54
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(4-1) Non so piu cosa son, cosa faccio「MはRの前で自分で蝋燭を吹消して、やってから自分で自分の積極さにどぎまぎ。Rはびっくりするけどむしろ興奮して自分も吹消す。どんどん高揚する→ #PKA11

2011-08-13 23:17:05
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(4-2) →音楽に合わせ、二人も自分で自分の行動がわからない程盛り上がっていく。」いよいよの瞬間、Rが蝋燭を寝台に置いて目をそらした隙に、MがRの手を取る。再びのMからの行動にRは驚きつつも『冷たい手ですね』と… #PKA11

2011-08-13 23:17:15
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(5) Mが蝋燭を吹消す「歴史的に受動的な立場を強いられてきた女性達に、もっと自由に行動的になってほしい。作品外要素からの解釈となるが、私は、女性であるMが求める愛を掴むため自ら行動するという、人間としての強さを描きたい。」#PKA11

2011-08-13 23:17:26
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(6) 冷たい手を「単なる愛の歌ではなく、世に受け入れられない貧乏芸術家としての自分の社会的現状へのいらだちも込められている。その絶望から救われたくて、現状解決する代りに「僕を受け入れて!」と愛を求める(危険な選択だけど)」#PKA11

2011-08-13 23:17:36
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(7) 四月の太陽はわたしのもの「(Rの「現状」を一瞥してから、真剣な面持ちで天を見上げ)Mは両腕を広げ、太陽のエネルギーを全身で受け止める。この力がなければ彼女ももう窓から飛び降りていたかもしれない」強い生命力/死の影 #PKA11

2011-08-13 23:17:47
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(8) 二重唱R「『あなたの中に、夢見た人を見る』Rだけでなく多くの男性が、こうして目の前の女性本人ではなく、自分の理想を投影した像を見ている」19世紀の男性像のひとつの典型だけど、今も?女性も?#PKA11

2011-08-13 23:18:03
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(9) 二重唱のすったもんだ「二人ともがとても高揚した気分なのだけれど、世間の存在や理性に抑えられて、心と裏腹のことを言ってしまうもどかしさを表現したい」常にないわくわく感に溢れた「駆け引き」になっています!#PKA11

2011-08-13 23:18:14
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(感想1)本日白眉はやはり『冷たい手を』。社会にはじかれた絶望感から切実に愛を求める男というのは相当に賛否を呼ぶ人物像。その「逃避の愛」「男の弱さ」の暴露、ひいては本作での「純粋な愛の否定」を受入れがたい人もいるだろうから #PKA11

2011-08-13 23:18:30
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(感想2)でも、弱い部分を見たくない人もいれば、「ここに私がいる!」という共感に救いを見る人も。それも芸術の大事な役割。なお今日の観客=オペラ関係者には「社会に受容されぬ」辛さは(K氏の言及通り)相当共感を呼んだ。う~んw #PKA11

2011-08-13 23:18:50
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 2日目(感想3)そして演出家のそうした踏込みが最終的に受入れられるかを決めるのは、結局音楽にも「そういう人/感情の存在」を信じさせるだけの説得力があるかどうか。少なくとも今日のびわ湖ホール練習室では、山本康寛はそれに成功していた。#PKA11

2011-08-13 23:19:02
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 3日目(0) 本日の進度:明日の朝にはアルチンドロは靴を買いにいくでしょう…の前に、ムゼッタ登場から合唱入れて復習でしょうか。以下(1)~(5)でラフにK氏発言覚書。#PKA11

2011-08-06 01:37:01
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 3日目(1) 二幕冒頭の混沌「この場面、プッチーニの音楽を聴いても、大勢の群衆の中に「島」のようにソリストたちの歌が存在しているのが分かる。合唱は島を取り巻く『波』だと思って動いて!」ムラなく、澱まず。#PKA11

2011-08-06 01:37:28
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 3日目(2-1) ロドルフォの不安「RはMが自分を愛している確信が欲しい。その不安が、恋人になったばかりのMに『幸福な男に疑いはつきもの』『僕なら永遠に許さない』など極端な言葉を口にさせる。」→ #PKA11

2011-08-06 01:37:48
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 3日目(2-2) →そしてMが愛を肯定すれば、Rは抱え込むように激しく抱きしめ放さない。爆発的エネルギーを有するMc&Msカップルの傍らで、1幕で提示されたRの抱える不安と不安定さが再び露見する場面。3幕への準備。#PKA11

2011-08-06 01:38:02
Miho Morioka 森岡実穂 @MoriokaM

コンヴィチュニーオペラ演出アカデミー 3日目(3-1) 演出の仕事とは「歌手が、登場人物の背景や考え方などを理解して考え、自分で考えて動けるようになれば、演出家の仕事はそれを整えるだけ。」→ #PKA11

2011-08-06 01:38:23
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