SHs大戦第一話「アークとメア」シンプル版 21/07/18完結

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本日からSHs大戦第一話を連載していきます。 感想は引用RTで実況タグつきで行っていただけると助かります。

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SHs大戦　第一話　「アークとメア」

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＜良く通る女性の声＞ 「あー……あー……あめんぼあかいなあいうえお。っと、いい時間だ。そろそろ始めようか」

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♦ ＜良く通る女性の声＞ 換歴74年4月2日午前11時33分。日本。方舟市。 他の都市と同様。住民たちに程よい安念と一滴の刺激を提供するこの街では今日もどこかで事件が起きている。 幹線道路に眼を向ければホラ。一台の路線バスが周囲の改造車を蹴散らし疾走中。

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巨大な鉄塊を避けようと無理に動くから。あちらこちらで事故発生の大惨事。 カーアクション映画さながらの状況を作り出したバスの内情はさてはて。

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♦ 「そうだそのまま黙って運転を続けろ。自分と、乗客の命が惜しければな」 運転席の男性に銃口を突きつけ嗜虐的に嗤う男はその視線を背後の乗客たちと彼の部下たちに移す。 「このバスは我ら簒奪の詩（バースジャック）が乗っ取った。次の停留所は予定を変更して空中都市埼玉ー埼玉に参ります」

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男のアナウンスに対する乗客たちの反応は様々で、 「自警団はまだこないの！？」 助けを求めるもの。

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「スゲーのだ！バスジャックなんて初めてなのだ！おじちゃんそのナイフ本物なのか？ちょっと触らせて欲しいのだ！」 「お嬢ちゃん、俺達真面目にバスジャックしてるからちょっと大人しくしててくれないかな……」 刺激的な展開に眼を輝かせ。占拠者をたじろがせるもの。

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「くそ。またありえん。絡みか。巻き込まれるのも今年で三度目だぞ……取引に遅れてしまう」 事態に慣れ。仕事の心配をするもの。 そして、

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「んがー……ごごご、スカー…………ずずず」 最奥の数人座席に一人で寝そべり堂々といびきをかき眠るもの。 「ボスー！この女こんな状況だってのに眠りこけてやがりますぜ。どうしやす？」 「ふん。どうもこの乗客たちは緊張感が足りていないようだ。ちょうどいい。見せしめにしてやれ」

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「そういうことなら……かまさせてもらいましょうかねえ。おいてめぇー！バスジャック中に呑気に寝てんじゃねーぞ！っつかいびきうるせーんだよ更年期のおっさんかぁ！？……ぁん？」 ボスの指示を受け騒音の元の至近でがなり立てる男は少女に対して違和感を覚えた。

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少女はホットパンツに胸の下で布が千切れたようなストラップを着た。非常に露出度が高い衣装だった。 その身体はよく鍛えられており健康的な印象がある。しかし、その各所に散らばる壮絶な傷跡が一抹の不穏さを醸し出している。

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だが、男が違和感を覚えたのは少女に似つかわしくない傷跡などではなかった。それよりももっと異質な、 「これ……尻尾か？ゆらゆら動いて……この女から生えてんのか？」

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男が見ているのは巨大で上下非対称のブーメランのごとし形状の尾。傷だらけの…鮫の尾。それがイビキをかき眠る少女の臀部から生え。彼女の呼吸と共にゆらゆらと揺れていた。 ソレが本物であるかどうか怪訝な顔の彼が手を伸ばした時だ。バスの一際大きな上下振動により少女の鼻提灯が割れたのだ。

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「んが！？あー……？誰だぁ。てめぇ……？」 少女は琥珀色の眠り眼を擦り、怪訝な顔で目の前の男を睨み付ける。 男は一旦たじろぐものの持ち直しナイフを眼前に突き付け吠えた。

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「は、起きたなら話が早えー！テメーは今人質なんだよ。それをいやというほど、今からわからせてや…「人の顔に唾飛ばしてんじゃねーーー！！」 いい終わる前に少女の拳が男の顔面を捉え。男の体は少女の背格好に見合わぬ膂力によって吹き飛ばされフロントガラスを突き破り車外へと放出された。

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少女が眠っていた時とは打って変って車内は静寂に包まれ。誰も彼もが彼女に目をやる。 「ったく。人が気持ちよく寝てたっつーのに何だってんだよ。つか何？もしかしてさっきのとかそことそこの刃物持ってるやつありえん。か？じゃ今バスジャック中？好きだなオイお前等そういうの」

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#SHs大戦 アークちゃん pic.twitter.com/gYU5cSnDa3

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白藍髪の少女が欠伸をしながらぽりぽりとむき出しになっている腹部を爪で掻く様に乗客たちも口数を取り戻す。 「アークだ」 「借金まみれのアーク」 「うるさいイビキはこいつだったのか」 「尻尾はコスプレなの？どうでもいいけど」

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バスジャックのリーダー格の男は見るからに不快そうに顔を歪めアークと呼ばれた少女を睨み付ける。 「我らをありえん。などと一緒に括るな。我らにはバースジャックという名がある」

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「お前等みんなありえん。呼び嫌がるよなー。でも残念。もう定着しちまってるし世間様はいちいち違いなんて気にしてくねーよ？それこそカルヴァリーぐらいデカくねえとなあ。あきらめろ。で、どうする？財布置いて逃げだしゃ見逃してやるけど」

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ありえん。とはこの換歴の世に遍く蔓延る反社会組織たちの総称である。彼らは特定の物事に強く執着し徒党を組み。法や公共の利益を無視して行動を起こす。そうして被害をまき散らした人間が増えることによって彼らを定義する名が生まれた。ありんえん。と。

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組織規模によってマジありえん。やホンマありえん。などとも称されるあんまりな公称は非行に走る若者の足止めになっていると言われたり言われなかったり。 ともあれアークの返答を侮辱として受け取ったのか。男は一層顔を険しくもう一人残った部下に指示を飛ばす。

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「え！？あ、はい！」 「のだー！？」 部下は戸惑いつつも子供にナイフ突きつけようとする。だがそれよりも早く。