ストレイトロード:ルート140(57周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」をベースに、毎日1作ずつ投稿している掌編という名の習作。 今回は2801~2850+おまけ。終盤のリクエスト回数以外の共通テーマは「家」。なお各話の内容につながりはありません……多分。 今後も引き続き1日1組つぶやいていきます。 続きを読む
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

#一次創作発掘祭_ファンタジー #月燈祭 近未来ファンタジー冒険日記『ストレイトロード』 風を操る魔女がでかいモンスターと戦ったり、付き人を振り回したり。 毎日1ツイートの物語を発信しています(画像はまとめ本の最新巻)。そして今ちょうど新作を書いています。 通販: bakeya-gekkado.booth.pm pic.twitter.com/WuMkCyXmTq

2021-06-26 23:11:24
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

最近はオフラインの即売会どころかオンラインの方にも出てないので通販のアピールも久々です。 300文字SSのまとめもどこかで出したいけど……時間より予算より「表紙デザインまで頑張れる気力」が足りないので先送り中。

2021-06-26 23:15:53

今回の本編

Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

紹介された空き家は意外にも損傷がなく、窓からは付近の集落や草原を一望できる。住人不在が信じ難い程に状態がよかった。「本当にここでいいんですかい。夜は奴らが出ますぜ」「慣れてるから平気よ」案内してきた仲介者が藍の笑顔を疑っている。怪物の巣穴に近い家を買い取る時点で充分に怖いだろう。

2021-05-22 18:42:05
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140文字で描く練習、2801。空き家。

2021-05-22 18:42:06
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脱け殻のような集落だった。どの敷地も植物に埋もれているが、怪物の巣や爪跡は皆無。山沿いは危ないとの話が広まった頃に住民総出で移住した、との話は本当なのだろう。「やっぱり何もなさすぎる」藍が首をひねる。無人の畑や建物には必ず荒らす人間が来るはずだが、放置された全てが手つかずだった。

2021-05-23 18:53:38
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140文字で描く練習、2802。移住。

2021-05-23 18:53:38
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この集落は本当に放棄されたのか。「厄介な事情」の仮定は様々だが藍は敢えて口にせず、ただ環境の不自然さを尋ねた。仲介者の顔が青い。ところがそこへ電話の着信が割り込み、答えは有耶無耶のまま切り上げられてしまった。「そういえば、ここ電波入るのね」逃げる背中の震えを魔女は見逃さなかった。

2021-05-24 19:04:07
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140文字で描く練習、2803。有耶無耶(うやむや)。

2021-05-24 19:04:08
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『困ったことがあれば連絡ください』別荘の管理者が遠隔地から通信でサポートする形式は珍しくない。怪物が出没する前からそうだった、と言っても藍は振り向かず、信号が途切れた画面を凝視していた。「何か起きてもすぐには来ないのよね」パネルに映る彼女の顔には少しの悲観もない。何か企んでいる。

2021-05-25 19:16:03
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2804。遠隔地。

2021-05-25 19:16:04
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

高らかな鳴き声に叩き起こされた。車窓から見える物置小屋の上で雄鶏が仁王立ちしている。錯覚ではない。放し飼いでもされているのか。「あれの飼い主は」「もういないかもね」不機嫌そうな藍が鶏のいる場所の後方を指した。木材と金網の山が鶏小屋の成れの果てだと判明したのは日が昇ってからだった。

2021-05-26 18:55:56
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2805。雄鶏。 脱走でも解放でもなく、生き残った個体。

2021-05-26 18:55:56
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

棚に積もった埃を取り除き、色褪せた本が棚板と同化していることに気づいた直後、いつの間にか隣にいた藍にそれを奪われた。「ここに住んでた人の忘れ物かも」開いてみると鮮やかな絵画が現れた。添えられた説明は遠い異国の文字だ。名前も時代もわからない誰かの画集に、彼女はしばらく見入っていた。

2021-05-27 18:51:48
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2806。画集。

2021-05-27 18:51:48
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

その建物は外観より内装重視らしく、随所に技巧を凝らした造りが見られた。元々立派な屋敷に暮らす藍の感覚ではいまいちのようだが。「なんか不自然なの」客室を回っていた令嬢が階段の手前で足を止めた。「小さい家なのに無理やり豪華に見せようとしてる」手すりの端にかしずく天使を細い指がつつく。

2021-05-28 19:38:04
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2807。技巧。 使いどころを間違えると……

2021-05-28 19:38:05
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「なんでこんな不便すぎる場所に住もうと思ったのかしら!」探索が進むにつれ、藍の語調が強くなってくる。散らかった室内の様子から年代の推定はできる。危険な世界になる前だが、信仰や思想をうかがわせる道具や資料はない。当時どんな愚考の元にこの土地を切り開いたのかは解明できそうになかった。

2021-05-29 20:32:51
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2808。愚考。

2021-05-29 20:32:51
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

別荘ならもっといい場所がある。鉄道の駅に近いと逃げやすい。仲介者は藍ではなく私の目を見て条件変更を訴えてきた。だが私は頷けない。その権利がない。「これ足跡よ。一度ここに来てる、観察できるかも」藍の弾む声が彼を震わせる。客が現地まで足を運びたいと要求した時点で止めるべきだったのだ。

2021-05-30 19:39:12
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2809。現地。

2021-05-30 19:39:12
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「僕が話したって内緒にしてくれる?」「警察にも?」「絶対に」情報提供を知られたくないような事情は複数考えられる。口外しないよう求めながらその理由を明かさないのは、恐怖の対象か彼自身に問題があるからか。「内容を聞いてから考える」藍の一言が青年をさらに萎縮させた。さすがに割り込んだ。

2021-05-31 19:07:58
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2810。口外。

2021-05-31 19:07:58
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

ドアノブのざらついた感触が年月の経過と掃除の欠落を物語る。別荘は手入れされているとの証言に疑いを抱く間に、藍が部屋へ飛び込んだ。「ここに人がいて、いなくなった。それは確定」きっと床もドアと同じように砂埃を被っているのだろう。窓を開けてほしい、の一言の代わりにくしゃみが飛び出した。

2021-06-01 18:48:09
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、2811。ざらつく。

2021-06-01 18:48:09
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