ナコ @nakotic の #twnovel 全部

ナコ@文学フリマ東京Q-01 @nakotic

春の妖精がどんどこしょすると、地面から新芽が生えてきます。夏の妖精がどんどこしょすると、道の向こうに陽炎ができます。秋の妖精がどんどこしょすると、枯れた葉っぱが一枚落ちます。冬の妖精がどんどこしょすると、朝に霜柱ができます。どれも大事などんどこしょです。 #twnovel

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冬の精はとても小さいので、いつもは物陰に隠れています。風が吹く時に飛んで行って、北風をますます冷たくしたりするのです。真夜中は空気が冷たくなるので、地面をどんどこしょして氷を張らせたり霜柱を生やしたりします。最近はどんどこしょする場所も随分と少なくなりました。 #twnovel

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「お客様の求めるものを一歩も二歩も先取りして提供して行くことで、競合他社を出し抜くことができるのです」。ほほう。ためになる本を読みました。早速出し抜こう、と、ホームセンターでコンロと鍋を買います。たとえカモといえども、ネギだけ背負っていてはいけない時代なのです。#twnovel

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君のための家を作ろう。寒がりだから中をふかふかにして、怖がりだから出入り口に戸をつけておこう。さみしんぼうだから反対側の出入り口はすぐ出られるようにカーテンをつけよう。これが君のおうち。気に入ったなら、ずっとここに住んでおくれ、わんわん。　#twnovel　

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ネギを背負うと歓迎されるって聞いたので、アヒル隊長はネギを背中にくくりつけてもらいました。うん、ちょっとネギくさい。そのまま川を流れて行きます。誰が歓迎してくれるかなあ。どうしてネギなのかなあ。ネギくさいなあ。どんぶらどんぶら。　#twnovel　

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毎月15日は囲碁の日。空き地に大きな碁盤を描いて、白猫や黒猫が集まります。猫を使って囲碁をするのです。たまに猫がどこかに行ってしまったり、勝手に移動したり、黒猫が寝返りをしたらお腹が白かったりすりのでなかなかうまく進みません。今月も勝敗つかず。　#twnovel　

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グラとコロは色々あって、大きい卵を割ったりして、グラタンの中身に衣をつけてコロッケにしました。おいしいねえ。さくさくだねえ。キャベツと一緒にパンに挟んで食べるとおいしいです。よし、グラタンみたいなコロッケみたいなバーガーみたいなものを作って売ろう！（情熱大陸） #twnovel

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古い朝が来た。どのくらい古いかというと、私が小学生の頃の朝。毎朝の空気がきらきらしていた頃の朝。私が生まれた日の朝。朝日が全てを祝福をしてくれた。方舟にオリーブの枝をくわえた鳥が帰ってきた朝。初めて生命が誕生した朝。世界ができた日の朝。おはよう。良い朝だね。 #twnovel

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あまりにも寒いのでホットコーヒーを買った。とても君と手なんて繋げないからだ。　#twnovel　

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しっぽの素を買ってきた。薬局では軟膏が並ぶ棚の下から二段目にある。朝晩尾てい骨に塗ってくださいとある。人差し指に取って、丁寧に擦り込んでいる。そろそろ私のしっぽは生えてくるだろうか。長くて素敵なしっぽだといい。　#twnovel　

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僕には帰る家があるのです、とナメクジ。ぬるぬるが街路灯に照らされてぬらっと光っています。そんなに、素敵な家なの？ええ、とても。ああ、迎えに来てくれたんだ。触覚が指す方を見ると、そこには立派なカタツムリが。僕は貝の家に住んで、カタツムリになります。さよなら。 #twnovel

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「十月ハ神様ガイナクテ、酒ガ飲メルゾー」手のひらサイズの何かがぐでんぐでんになっています。「ハヤク神様ト十月ノ出雲ニ行ケルヨウニ成リタイ…」小さいけど、自棄酒の飲みっぷりは神様並。「十月ハ月が綺麗ナノニ、神様ト見レナイノ悲シイ…」早く神様になりたい、とのこと。 #twnovel

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「真剣なのと真剣じゃないの、どちらがいいですか？」「そりゃ、真剣な方が」「そうですかね？」「だってふぐ刺しでしょう？真剣に捌いてくださいよ」「いや、真剣すぎるとふぐがまずくなるんです」「まさか」「…嘘です。ちょっとふざけてみたかっただけなんです」「そうですか」 #twnovel

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「サービス付きとサービス無し、どちらがいいですか」「そりゃ、あった方が」「そう思うでしょう？」と言って出てきた突き出しは、輪ゴムの束であった。「これは、いらないです」「でしょう？」「会社に行ったら箱で買ってありますし」「そういうものです」「そういうものですか」 #twnovel

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（　）←何も入っていません。ここは鳥の巣だったのです。気づいてほしい気持ちや、言いたいけど言いたくないこと、色々入っていたのですけど。「巣立っちゃった」「この鳥は他人に子供を育てさせるんだ」「他人に気持ちや言葉を受け止めさせて育てさせる」「大概変な鳥になる」 #twnovel

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世界？この街のこと？隣町まで？川の向こうに渡っても、まだ繋がってるの？うーん。そんなに遠くのとこまで、好きかどうかは分からないや。嫌いでもないかもしれないけど。でも、あなたがいて、川の向こうで生まれて、隣町に住んでるなら、世界ってとても素敵なところだと思うよ。 #twnovel

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ふるふると体を振るわせると、二人になって四人になって八人になって十六人になって、大きさは十六分の一になります。大勢だけどみんな私。小さいけれどみんな私。テレビを見て音楽を聞いて本を読んでお菓子を食べて踊って、布団の中で眠って起きるとまた一人の私になるのです。 #twnovel

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「大人になったら迎えにくるよ」置いて行かれるぬいぐるみたちが私の屋敷には溢れている。持ち主の目線から放たれた彼らは、日にあたったりお話をしたりして、長い年月を待っている。大丈夫、彼らにとっては何十年も一瞬だから。持ち主の手に抱かれたら一瞬でぬいぐるみに戻る。 #twnovel

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役に立たない番犬と毛刈りを拒否する羊とが、夜の道を歩いています。番犬はとても怖がりで、鳴き声もきゃいんという感じで、全然怖くないのです。羊は刈られるのが嫌で、もじゃもじゃです。もう牧場には戻れないので、二人で家出をするのです。ほんとうのおうちを目指して。 #twnovel

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鉢を買ったら妖精がついていた。見切り品になった鉢の中でしくしくと泣いているのだ。「このまま花も咲かずに捨てられると思ってました。ありがとうございます」義理堅い性格のようだ。日の当たるところに置いて水をやって、翌朝には花が咲いていた。君は、葉が食用なんだけどな。 #twnovel

ナコ@文学フリマ東京Q-01 @nakotic

日当たりの悪いところに咲いてしまった。芽が出た時からしまったと思っていた。土も水はけが悪くて根っこがいつも冷えてる。あの、この鉢ごと、あっち側の、日の良く当たるところに置いてくれないかな。そうしたらもっとよく繁るし、もっと緑色になるし、きれいな花も咲くしさ。 #twnovel

ナコ@文学フリマ東京Q-01 @nakotic

きりっと、きりっと。毛艶、よし。毛の流れ、完璧。ちょっと生えてきた冬毛、もふもふ。お髭、ぴーん。鏡の前でくるんと回って、尻尾のラインもばっちりです。別にデートって訳じゃなくて、いつものコースをいつものように歩いてくるだけですよ？いつもが大事なんです、と、猫氏。 #twnovel

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あの本が見当たらない。この段に入れたはずなのに、おかしいな。探せば探すほど分からなくなって、もしかしてよそに忘れてきちゃったかなあ、なんて思い始めた時。「こんなところに」でも、自分では絶対こんな場所には置かないし。きっとあいつかあいつだな、勝手に人の本を。 #twnovel

ナコ@文学フリマ東京Q-01 @nakotic

散歩しながら石を拾うのが日課です。これはいまいち。こっちはなかなか。石の中に何かが眠っているものがあって、そういうのを見つけたら持ち帰って毛布にくるみます。毛布を開くと石がない時があって、それは大抵月のきれいな晩の翌朝のことで、ほんのりいい匂いが残っています。 #twnovel

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庭先をそっと見に行きます。小さな椅子の上に、カントリーマアムを置いたのです。…昨日のままだ。バニラ味は嫌いなのかな、飲み物も置いたらいいのかな。それとも、この辺りにはコネコビトははいないのかな。「…ううむ」明日は瓶牛乳とココア味で待ち構えるつもりです。 #twnovel