貴金属スペシャリスト 池水雄一によるツイートで読み解く「ブレトンウッズ体制の崩壊」

日本貴金属マーケット協会(JBMA)代表・貴金属スペシャリスト 池水雄一によるツイートで読み解く貴金属講座シリーズ。
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Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その1 ちょうど50年前の今日も日曜日でした。1971年8月15日ニクソン米大統領がテレビで米ドルとゴールドの交換の停止を突然発表し、第二次世界大戦直後1944年から続いたブレトンウッズ体制が、彼の宣言で一瞬の元に終わりを迎えました。ここから世界経済は一変しました。

2021-08-15 06:11:53
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その2 第二次大戦直後1944年7月1日から22日間米国ニューハンプシャー州のブレトンウッズで44ヵ国から730人の代表が戦後の国際経済体制に関して討議、できた合意がブレトンウッズ体制です。そこで設立された国際通貨基金(IMF)の名前を使って「IMF体制」とも呼ばれます。

2021-08-15 06:14:00
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その3 米ドルが基軸通貨として認められ、1トロイオンス(31.10345グラム)のゴールドは35米ドルと決められ、フランスフランや英国ポンド、スイスフランなどすべての通貨は米ドルとの間での交換レートが固定・保証され、実質的にゴールドとの交換が認められていたのです。

2021-08-15 06:15:49
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その4 ブレトンウッズ体制は完全な意味での「金本位制」ではありませんでした。肝心の米国でも1933年にルーズベルト大統領が、米国民のゴールド保有を法律で禁止し、ゴールドを決済手段として使えるのは国際的な中央銀行間の取引決済においてだけでした。

2021-08-15 07:41:56
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その5 ゴールドと米ドルを結びつけることで信頼を生み出し、ドルを基軸通貨とすることが、各国が合意できる体制だったということだったのでしょう。あくまで米国が各国の要望に応じてドルとゴールドを交換するという約束を守るという前提においてのみ有効な体制です。

2021-08-15 11:36:46
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その6 ドルとゴールドの交換という約束に米国が耐えきれなくなったのがちょうど50年前でした。ブレトンウッズ体制は戦後しばらくの間はその役割を十分に果たしました。しかし世界経済が復興し、世界の貿易や資金の移動が拡大していくとその体制に軋みが出て来ました。

2021-08-15 11:45:15
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その7 早くも1950年代には米国は朝鮮戦争、その後60年代にはベトナム戦争へと突入、ドルを印刷することによってそれらの戦争をファイナンスします。その結果物価は高騰、米ドルの購買力は大きく低下、国際基軸通貨としての米ドルの信頼は大きく損なわれるました。

2021-08-15 11:51:05
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その8 ドルへの信用が揺らぐ中、多くの国々がその保有している米ドルをゴールドに交換することを米国に求めるようになりました。米国の保有するゴールド準備は、当時の世界の中央銀行の保有する「マネタリー・ゴールド」の三分の二を占める2万トン以上ありました。

2021-08-15 12:02:40
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その9 世界各国から米国外にあったドルを米国に持ち込み、ゴールドの「引き出し」を進めた結果、2万トンあった米国のゴールドは8000トンまで減少、米国のゴールド支払い能力は限界に陥り、その結果がニクソン大統領のドルとゴールドの兌換停止宣言だったのです。

2021-08-15 16:29:41
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その10 このニクソン宣言により1971年8月15日以降、世界経済はそれまでと全く違うものになりました。すべての通貨は「不換通貨=fiat money」となり、もはや保有しているゴールドの量に縛られることがなく、「好きな時に好きなだけ」発行ができるものになったのです。

2021-08-15 16:33:04
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その11 以降、物やサービスの価格が上昇(通貨価値が下落)する「インフレーション」が起きるようになります。通貨発行権という宝刀を得た国家は、経済そして世界をコントロールしようとします。そのためにより多くの通貨を発行するという循環を世界は続けているのです。

2021-08-15 18:40:46
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その12 増大する通貨量の結果として、投機が生まれ、バブルが形成され、はじけて経済危機が起きるという景気不景気サイクルが繰り返されることになり、その過程で経済成長よりも遥かに速いスピードで世界の負債は膨らんでいき、その総額は加速度的に増加しているのです。

2021-08-15 18:49:22
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その13 そして今、パンデミックによる経済のスローダウンに対して、世界の中央銀行は金融緩和と財政出動という名目で、歴史に例をみないほどの通貨を増刷し、国際金融協会(IIF)によると、世界の負債総量は289兆ドルと世界の経済規模の360%にまで膨らんでいます。

2021-08-15 18:55:26
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その14 1971年8月15日に始まったゴールドと通貨のデカップリングと国家による自由な通貨創造は、50年を経てその限界が近づいてきているのかもしれません。そしてそれが結果的に再びゴールドの役割にスポットライトを当てることになるのではないでしょうか。

2021-08-15 18:58:05
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その15 あまりに巨大になった現代の国際経済では「金本位制」の復活は物理的に不可能ですが、ふくれあがった不換通貨に対して、内在価値をもつゴールドの役割は増大していくでしょう。近年、新興国の中央銀行が積極的にゴールドを買っているのは偶然ではないでしょう。

2021-08-15 19:05:38
Bruce Ikemizu @BruceIkeGold

「ブレトンウッズ体制の崩壊」その16 最終 1971年のニクソンショックからちょうど50年後の今日8月15日。ブレトンウッズ体制の崩壊とその後の動きに関して乱書きしました。ゴールドはこの50年で35ドルから1780ドル、50倍になりました。ご静聴ありがとうございました。笑。 pic.twitter.com/fdDaPajZup

2021-08-15 19:10:55
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