茂木健一郎氏 @kenichiromogi 「風」についての連続ツイート

2011年8月19日 茂木健一郎氏による連続ツイート 「風」について
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茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 今朝は、本当にホントウの思いつきです。自分でも、どうなるかわからないのだ。

2011-08-19 07:49:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

かぜ(1)60年代、70年代の日本のフォークが好きで、カラオケではなかなか恥ずかしいから歌わないが、密かに時々聞いている。そして、これらの曲に共通しているのは、「風」が吹いていることだと思う。あの頃、人の心の中には「風」が吹いていた。

2011-08-19 07:51:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

かぜ(2)もともと、アメリカのフォークソングに風が吹いていた。ボブ・ディランの「ブロウィン・イン・ザ・ウィンド」。ウディー・ガスリーに代表される、各地を放浪する「ホーボー」の遺伝子。あの頃のアメリカは、「変化」への信仰があった。

2011-08-19 07:53:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

かぜ(3)クリントン大統領が当選した時、みなで手をとって『勝利を我等に』を歌いながらホワイトハウスに入っていったという。しかし、あの頃にはおそらくもはや風は止んでいた。明日を変えることができるという信仰、人々の善意に託すという気持ちは、時を得ずしては燃え上がらない。

2011-08-19 07:54:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

かぜ(4)風が止まったあとのかくも長き時間をどうやり過ごすか。それが、私たちにとっての共通の課題。忌野清志郎はその命題を天才的芸術センスでこなしていた。同じプロテストソングでも、聞いていて息苦しくなるものは、風が吹いていない。風は爽やかで、どこかにいきたくなる。

2011-08-19 07:55:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

かぜ(5)風が吹いていない時、自分が動く、というのも一つの考え方である。よどんだ空気の中でも、自ら移動すれば、体感する風は増える。猛スピードで走れば、それだけ風も強くなる。サッカー選手は、ピッチの中で風を受けている。自らつくり出した風に、全身をさらしている。

2011-08-19 07:56:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

かぜ(6)海岸の山。松がしっかりと根を生やしている。ある人が言った。私は世間の逆風を好む。なぜならば、逆風に耐えてしっかりと立つことで、より強いフィジカルになるから。しっかりと根を生やすことができるから。

2011-08-19 07:58:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

かぜ(7)脳の中に「風」を探すとすれば、それはdefault mode network (DMN)ということになろう。脳がアイドリングした時に活動する。どこに行くかわからない。何を思いつくか、わからぬ。そして、DMNは、脳の若さの象徴である。

2011-08-19 07:59:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

かぜ(8)私の青春の絶頂は、大学生の時、塩谷賢と隅田川のほとりで缶ビールを飲みながらくだを巻いていた時だった。夕暮れ時。カップルたちが、汚いものでも避けるように、半径10メートルくらいの円を描いて通り過ぎていった。風が吹いていた!

2011-08-19 08:00:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

かぜ(9)風を吹かせることは、人間としての清潔さを保ち、若さを保ち、そして何よりも、変化への「心の準備」を高めるために不可欠なことだと考える。坂本龍馬は、桂浜に立って風を受けていたことだろう。沈滞する日本に必要なのは、風である。みんなで風を起こせ!

2011-08-19 08:02:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「風」についての連続ツイートでした。始めた時には出てくるとは思わなかったことがたくさん出てきました。連続ツイートは、即興のスタンドアップ・アクト。

2011-08-19 08:02:57