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matorunrun1
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安久工機と人工心臓ガチ勢少年の出会い
これまでのあらすじ
1、安久工機に工場見学希望の電話が
2、電話主の息子さん(小学生)が人工心臓に興味を持っているとのこと
3、さらに詳しく話を聞くと、少年の知識のガチさに現場パニック
4、安久工機、大喜びで工場見学を受け入れる
5、安久工機、少年の見学を成功させるべく万全の準備に取り組む


安久工機、ついにBEN少年一家と対面

先日BENが来て、そして帰って行きました。 あれだけ私たちも楽しみにしていて、そして実際に楽しかったのに、終わってしまうとなんだかこうぽっかりと穴が空いた気持ちになるのはなんなんでしょうね。 何十年ぶりか。キラキラしてあっけない束の間の夏やすみを過ごした気がしました。
2021-08-25 08:41:35
BEN一家はおそらく誰のどんな予想も覆すであろう、本当に普通の、気どらない、とてもステキな一家でした。 ご両親はお医者様でも学者様でもなく、ただBENの「他人とは違う視点」と「頭の中のイメージ」の存在に気づき、それをなんとか汲み出してあげようと試行錯誤されている方々でした。
2021-08-25 08:41:36
かくいうBENは興味とこだわりと人見知りとイタズラと自立と甘えと妹思いを兼ね備えたまさにカンペキな小学生男子でした。 私は玄関先で緊張の面持ちで直立する彼を見て嬉しくて、「ようBEN!」と喉まで出かかった言葉をギリギリ飲み込みました。 「BEN」と呼んでいるのはバレてました。
2021-08-25 08:41:361日目の様子

【一日目】 早速BENの考えているモノのアイデアを見せてもらうことに。 緊張もあってか、しばらく資料を出すのをためらったり、なかなか説明を引き出せない時間もありましたが、社長と会話したり人工心臓の試作品を見ているうちにだんだんと打ち解けて、身を乗り出して話をするようになりました。 pic.twitter.com/1jCoRbLRFI
2021-08-25 08:41:38

しばらくしてBENは何冊もの分厚いファイルに描きためたスケッチや図面を見せてくれました。 正直とても驚きました。 そこに描かれたモノが最先端かとか学術的かとかは置いておいて、とにかく12年そこそこしか生きていない彼の頭の中のアイデアの膨大さとその具体性に圧倒されました。
2021-08-25 08:41:39
唖然としている私の横で職人気質の社長はニコニコするでもなく、「ふ〜ん、よく描けてるね。これはこう動くの?難しそうだけど」と早速専門的な知見で詰め始めました。 「鬼かこいつは」と思いましたが、なんだかBENは理解者が見つかったような感じで、照れ臭そうにも嬉しそうにも見えました。
2021-08-25 08:41:39
驚いたのは社長の「理解力」で、なかなか普段の饒舌さを発揮できないBENにヤキモキしているご両親をよそに「こういうことでしょ?」「前にこういうの作ったよ」と次から次に昔の資料を引っ張り出してきました。 私にはさっぱりでしたが二人の頭の中には同じイメージが共有されていたんだと思います。
2021-08-25 08:41:40
昼食に鳥久弁当(美味)を食べて、早稲田大と東京女子医科大の共同研究施設、先端生命医科学研究所TWInsへ行きました。 BENはこの見学をよっぽど楽しみにしていてくれたようで、梅津先生に会った瞬間の緊張感たるや、かわいらしくて笑ってしまいそうでした。 妹ちゃんは逆に肝が据わってました。
2021-08-25 08:41:40梅津光生先生は人工心臓開発の権威。梅津先生の功績、BEN少年の訪問に協力してくれるまでのエピソードは、以下のまとめに詳細があります


最新の遠隔手術施設や様々な機器で溢れる研究室を巡り、BEN一家は梅津先生の語り口調に聞き入っていました。 写真でしか見たことがない補助人工心臓を手に取り、その重みと感触を肌で感じてみんな楽しそうでした。 意外と泥臭い現場の雰囲気もBENにとってはワクワクする要素だったのかもしれません。 pic.twitter.com/vjHtvqqX0F
2021-08-25 08:41:41

先生は一通り見学が終わると講義室で質問タイムを設けてくれました。 私はBENがこの時のためにたくさんの質問を考えてノートにしたためていたことを知っていたので、さぞかし盛り上がるんじゃなかろうかと勝手な期待をしていました。 しかしなぜかBENは一向に質問をしようとしません。
2021-08-25 08:41:42
むしろ恥ずかしがって頑なに拒んでいるようでした。 たぶんオトナなら誰もが「せっかくの機会なのに!」とむず痒くなる場面だと思います。「そこに書いてあることを聞けばいいんだよ!」と。 質問を急かす両親に、BENは怒りを滲ませながら「聞きたいことはもう全部わかった!」と言いました。
2021-08-25 08:41:43
なんと彼は事前に梅津先生の著書を熟読していて、聞きたいことの答えは全部そこに書いてあったし、見学で解決したと言います。 「すげぇな…」と思いましたが、そこにはなんとなく恥ずかしさやバツの悪さから逃れたい感情が垣間見えました。 「なんかめっちゃ気持ちわかる」と、私は思いました。
2021-08-25 08:41:43