榊一郎(@ichiro_sakaki)氏の創作論「異世界・シリアス系のプロット構築」
そういえば一時期定期的にやってた、創作論(と言い切ると何か大層だけど、まあなんかそのようなもの)のツイートもしばらくしてないのですが。基本、一通りやっちゃったから、というのはあるんですが、あれもいずれまとめないといかんのだよな。
2011-08-19 23:15:39でも、よく考えたら、結構既存の他の作品(それも分かり易く最近のアニメとか漫画とか)をサンプルっぽく例示していたりするので、実際に書籍にまとめる時は意外と面倒だったりするのかしらん。
2011-08-19 23:16:43私の場合、創作論をどうこうする前にお約束として「ラノベ限定」「新人賞応募もしくはそれに類する投稿作構築用限定」を掲げていたりする訳ですが、それでも概論だけだと説明しきれないんだよな……
2011-08-19 23:29:43そもそもラノベといっても、シリアス、鬱系から、萌えコメまで、バキバキに異世界(それも「重力の使命」とかその辺位「異」世界的な)ものから、現代学園ものまである訳で、それらをおなじ技法でひっくくるのには無理があるし……やはりそういう意味では限界はありますな。
2011-08-19 23:31:33じゃあ「各パターン、一つ一つサンプル作っていく過程見せりゃいいじゃん」という話もあるんですが、実はこれ、以前学校でやってたんですが。生徒さんとマンツーマンで「どんなの書きたい?」という意見のサンプリングから、プロット構築まで――しかし、これも上手く行かず。
2011-08-19 23:34:02やはり「他人の手が加わったもの」は、モチベーションが下がるらしく。最終的にはこれを書き切れた生徒さんはいませんでした。なので、この辺が難しいんだよな……
2011-08-19 23:35:37まあ、一番、ハードルが高そうなタイプの話を作例として出すのが一番、応用がきくのかもしれないけど……そうすると「異世界」「シリアス」系になるのかなあ、今だと。
2011-08-19 23:51:22じゃあまあ、例えば――そうだな。以前、ストジャがどうの、みたいな話が出てきた時に、出した喩えで肉付けしましょうか。「異世界」「シリアス」に加えて「自分が許せない男が自分を許せるようになるまで」をテーマにして、「モールド」を別のものにとっかえる。 #sousaku
2011-08-20 00:34:19ざっと設定していきます。モールドを――そうだな、「飛行機」に変えましょうか。正直、飛行機はあんま詳しくないので、細かい設定ミスは眼を瞑って貰うとして #sousaku
2011-08-20 00:35:48……そうだな。「スピード」が一定を越えると、人間ではいられなくなる世界。いや、具体的には「音速」としておきましょうか。 #sousaku
2011-08-20 00:37:45音速を超えると、途端に、ある種の「枷」が外れてしまう。人間でなくなり、高速で移動する事でしか生きられない「何か」になる。まるで回遊する事でしか呼吸できないサメの様に。 #sousaku
2011-08-20 00:39:29一種の超能力の様なものが発現してきて、「飛ぶこと」が新陳代謝の基本となり、そういう生物になってしまう。あれですね、こう、ジェット戦闘機が空中分解して、卵の殻がむけていくように、ドラゴンが生まれてくるとか。そんな。 #sousaku
2011-08-20 00:41:24こうした「昇化者」達は、その生理故に、通常飛行機との衝突事故も多く、何より、新陳代謝の過程で必要になる「有機物」を取り込む為に、人間を襲ったりもする。 #sousaku
2011-08-20 00:43:32当然、こうした世界でも飛行機の需要は在る。旅客、貨物、気象観測、軍事、その他諸々。故にこれらの飛行機とは別に、「昇化者」達から、飛行機を守る為の護衛役、俗に「蒼穹騎士」と呼ばれる者達が出てくる。 #sousaku
2011-08-20 00:45:21彼等は、「音速を超えた化け物」を「音速以下」で追い払い、あるいは狩らねばならない。勿論、彼等の使う戦闘機は音速を超えられるが、越えた途端に「昇化」が始まる為に、ぎりぎりの戦いを強いられる。「騎士」の称号はその過酷な戦いと、護衛という任務の性質故の事。 #sousaku
2011-08-20 00:47:08さて、こんな世界に一人、投げやりで自分が許せない「蒼穹騎士」がいる。この蒼穹騎士が自分を許せる様になるまでの話――とまずざっと駆け足で世界観とキャラを設定します。キャラの設定が少し曖昧なのは後で理由を説明します。 #sousaku
2011-08-20 00:49:36そもそも「どうしてその蒼穹騎士は自分を許せないのか?」 という事を設定する。この設定によって、後々出てくるエピソードの並びや、他のキャラの設定も決めた方がやりやすい。テーマに沿ったキャラ配置やエピソードに出来るから。 #sousaku
2011-08-20 00:52:22どうして自分が許せない? 多分何か卑怯な事をした、あるいは勇気が出せずに悔いが残る何かをしてしまった、等々。そうだな――「以前、コンビを組んでいた親友にして騎士としての師匠である男を、見殺しにした」 #sousaku
2011-08-20 00:54:44「音速を出せば怪物化する」世界なのだから、それを活かすべきでしょう。となると、「親友は音速を出したが、一緒に飛ぶべき自分は、エアブレーキをかけてしまった」→「結果、親友は怪物化、自分は人間のまま」これでいきましょうか。 #sousaku
2011-08-20 00:56:51勿論、親友が音速を出したのが、「単なる欲望」であったなら、主人公のやさぐれ騎士が自分を責める筋合いではない。恐らく、何か高潔な目的の為だったんでしょう。音速を出さないと誰かが死んでしまう様な。 #sousaku
2011-08-20 00:58:06よくあるネタですが、災害現場の救援物資運搬、あるいは「昇化者」襲撃現場への急行……絵面としては後者の方がいいですが、エピソードとして考えた場合、前者の方が高潔かつ、タイムリミットが明確かな。 #sousaku
2011-08-20 01:00:06音速でなければどうしても間に合わない。そんな切迫した状況。間に合わなければ何十人何百人が死ぬ。急がなければ。だが音速を出せば変異が始まってやがて自分は怪物化する――そんな状況をとりあえず作る、と。 #sousaku
2011-08-20 01:02:41「俺は今から音速を超える」「馬鹿、何いってんだお前!?」「物資は余分を見ている。とりあえず俺が辿り着けば急場はしのげる。お前は後から来い」「ふざけんな、やめろ!」 #sousaku
2011-08-20 01:04:34「俺が〈昇化〉したら、お前が撃墜してくれな」「嫌だよ、やめろよ!」――そして、相棒は音速で飛び、ドラゴン化するまでの時間で、物資を投下。主人公はそれを見ているしかできず、一緒に飛ぶことも、そして、彼を撃墜する事も出来なかった、と。 #sousaku
2011-08-20 01:07:04主人公が「いっそ俺が音速で飛べば良かった」という気持ちを補強する為に、相棒には婚約者なり、病気の妹なり、とにかく、待っている人間を設定しておくと、いいかもしれません。とりあえず定番で病気の妹にしておきますかね。相棒が自己犠牲で物資を届ける理由の補強にもなる。 #sousaku
2011-08-20 01:08:59