おばあちゃんの耳栓

浅野暢晴 @asanonobuharu

絢丸さん（@ayayarya1225 ）とツイートのやり取りだけで一緒に作り上げた木になった異形の物語「おばあちゃんの耳栓」読んで欲しくて仕方がない。 twitter.com/asanonobuharu/…

浅野暢晴 @asanonobuharu

@ayayarya1225 「おばあちゃんの耳栓」 むかしむかし、あるところに、もぎるとなく、いぎょうのくだものがありました。

2021-08-30 07:19:56

浅野暢晴 @asanonobuharu

本当にコレ、誰かTogetterでまとめてくれんかね。 twitter.com/asanonobuharu/…

浅野暢晴 @asanonobuharu

@ayayarya1225 「おばあちゃんの耳栓」 むかしむかし、あるところに、もぎるとなく、いぎょうのくだものがありました。

絢丸 @ayayarya1225

@asanonobuharu そのいぎょうのくだものには、ちょっとこまったことがありました 「おーい！だれか、もいだやつがきのねもとにおきっぱなしだぞぉ～！」 「ありゃあわすれとったわぁ。ありがとう～」 なぜかもいでもそのことをわすれてしまうのです

浅野暢晴 @asanonobuharu

@ayayarya1225 あるひ、いぎょうのこえをきこうとするわかものがあらわれました 「おらが、そのだれもきいたこともないこえをきいてやる！」 むらのみんながとめましたが、いうことをききません

浅野暢晴 @asanonobuharu

@ayayarya1225 わかものはひとり、あさはやく、いぎょうのきのねもとにきました。 いぎょうをにぎり、グッとちからをこめたそのとき、トントンとせなかをたたかれたようなきがして、ふりかえりました。 しかし、だれもいません。

絢丸 @ayayarya1225

@asanonobuharu 「？たしかにいませなかをたたかれたんだが・・・まぁいいか・・・うわぁ！！」 ふたたびもぎろうとしたわかもののめのまえに・・・

浅野暢晴 @asanonobuharu

@ayayarya1225 やまのようなおおきないぎょうがあらわれました そのとなりにはくびのながいいぎょう しかくいいぎょうや、ちいさなゆびほどのいぎょうもいます かれらはいちれつにならんで、どこかへあるいていくようです

絢丸 @ayayarya1225

@asanonobuharu こえもあげられずこしをぬかしたわかものに、いちばんうしろにいたちいさなちいさなまるいいぎょうがなにかをいいました。 しかしびっくりしすぎたわかものはなにをいわれたかわかりません ただただぎょうれつをみおくるばかり

浅野暢晴 @asanonobuharu

@ayayarya1225 きがつくと、きになっていたいぎょうたちも、きからおちて、れつのなかにはいってあるいていました 「ま、まて！」 あるきだそうとしたしゅんかん、わかものは、ふしぎなかんかくにおそわれました。 あるくかんかくがちがうのです 一、ニ、三、一、ニ、三 あしがさんぼんあるではありませんか

絢丸 @ayayarya1225

@asanonobuharu 一、二、三、一、二、三・・・あるいているうちにまるでもとからサンボンアシだったかのようになってきました きがついたむらびとがみにきたときには、あれだけみのっていたいぎょうのくだものもわかものもみつかりませんでした 「ぜんぶもいで・・・どこぞへいったのかのぅ？」 「いやそれはないべ」

浅野暢晴 @asanonobuharu

@ayayarya1225 それいらい、わかもののことをみたものはいません いぎょうのきもすっかりすべてかれてしまいました

絢丸 @ayayarya1225

@asanonobuharu なんねんもなんねんもたちました むらびとがみんないぎょうのきがあったこともわすれ、むらはまちになり、おおきなまちになり、そこにひとりのおとこがすてきなかぞくとすみました そのおとこはくろいつちからいぎょうをうみだすしごとをしていました 「おかしいなぁつくったおぼえがないのに」→

絢丸 @ayayarya1225

@asanonobuharu →あるひにわのきにくろくてさんぼんのあしがゆれてすてきなおとがするいぎょうがぶらさがっていたのです いえのなかにもひとつありました 「まぁいいか。とっておこう」 きがつくとなぜかふたついぎょうがいえのなかにありました

絢丸 @ayayarya1225

@asanonobuharu うんとこしょ、どっこいしょ、どんなにちからをこめてもどうぐをつかってもぬけません 疲れてねむったおとこはへんなゆめをみました 「もしもーし」 「きこえますか～？」 「きこえたらだめだよ～」 「きいたらおしまいくすくすくす」 「きかないでね～」

浅野暢晴 @asanonobuharu

@ayayarya1225 「おかしなゆめをみたな」 すこし、きになりましたが、つぎのひもきをぬこうとじゅんびをしていると、としおいたおばあさんがきのよこにたっていることに、きがつきました。 「これさ、つけろ」 おばあさんは、くろいちいさなかたまりをふたりわたすと、どこかにいってしまいました

絢丸 @ayayarya1225

@asanonobuharu 「つけろって・・・やっぱりみみかな」 たくさんの「きいちゃだめだよ～」というゆめのこえをおもいだしたおとこは、みみにおばあさんからもらったくろいちいさなかたまりをつめてみました

浅野暢晴 @asanonobuharu

@ayayarya1225 まるでせかいからすっかりおとがきえてしまったように、まったくなにもきこえません おとこはためしにいぎょうをひっぱってみると、おどろくほどにアッサリともぐことができました

絢丸 @ayayarya1225

@asanonobuharu 「そうか！おれがこのきからもいでいたからふえつづけていたのか」 おとこはようやくあんしんしました 「みみせんをしたらおぼえていたということは、もぐときになにかおとがしてそれでわすれてしまうのか。やれやれなんとふしぎないぎょうのなるきだろう」 あんしんしたら、あじもきになってきました

浅野暢晴 @asanonobuharu

@ayayarya1225 あしのようなぶぶんは、たねがいっぱいでたべられたものではありません からだのようなぶぶんもかわがかたくてなかなかむくことができません やっとかわをむいたとき、おとこはおどろいてこえもでませんでした なかには「やみ」が、つまっていたのです

絢丸 @ayayarya1225

@asanonobuharu 「これはたべてはいけないものだ！」 おとこにはすぐにわかりました しかし、その「やみ」はみているとなんだかだんだんおだやかなきもちになってくる「やみ」でした きがつくと、ぶらさげられたこれまでにとったいぎょうのくだものからはすてきなおととともにその「やみ」がすこしずつこぼれています

浅野暢晴 @asanonobuharu

@ayayarya1225 おとこはその「やみ」をこれまでつくったいぎょうのくうどうのなかにいれてみることにしました すると、それまでしずかだったいぎょうが、いきいきとし、あるきだしたのです おとこはすべてをおもいだしました かれは、あのいぎょうをもいでサンボンアシになったわかものだったのです

浅野暢晴 @asanonobuharu

@ayayarya1225 おとこはたくさんのいぎょうをつくりました それでも、おとこがいちばんきにいっているいぎょうは、おばあさんがくれたみみにいれるいぎょうだったそうです 「これいじょうのいぎょうはぼくにはつくれない」 と、いっていたそうな あのおばあさんは、だれだったのでしょう おしまい