ストーリー第2回目 第一幕 状況設定ってなんだ、キャラクター設定どうしたらできんの?
0.はーい、chimumuです。今日は、映画のストーリーの構築の仕方についてつぶやきます。物語の第一幕、状況設定というものはどうしたらできるのか、ということです。
2010-04-29 21:51:021.まず、復習しよう。映画のストーリーは欧米では起承転結の四幕構成ではとらえない。三幕構成が基本だ。
2010-04-29 21:56:502.三幕構成というのは野球のダイヤモンドをぐるりと一周するようにとらえるのがいい。ホーム→一塁→二塁→三塁→ホーム の行って帰るという運動だ。この「行って帰る」というイメージが大事なんだ。
2010-04-29 21:58:283.ストーリーというのは「日常から非日常へ行き、そして日常に戻る旅である」という感覚を養うことが大事だ。
2010-04-29 21:59:364.ダイヤモンドの各塁間は約30分。一幕(ホーム→一塁)が30分。二幕(一塁→三塁)が1時間、そして三幕(三塁→ホーム)が30分の計2時間のドラマが映画になる。これが基本だ。もちろん多少のバラツキはあるけれどね。
2010-04-29 22:01:125.ストーリーライティングで一番大事なのは、なんといっても第一幕。ここは状況設定という役割を担っている。しかし、状況設定ってなんだ。何を設定すると状況設定したことになるんだ? これが今日の一番大事なところである。さて、ここからがいよいよ今日のハイライトだよ。
2010-04-29 22:02:436.ものすごく乱暴にいうと、大抵のストーリーにおいて状況設定の約80%を占めているのは、キャラクター設定だ。とにかくまず第一にするべきことは、主人公はどんな奴なのかを設定することだ。
2010-04-29 22:06:317.とつぶやいちゃうと、主人公の好きな音楽はレディオヘッド、雑誌はロッキンオンを読んでいて、というようなディテールを積み上げてキャラクターを作り上げることなのかと勘違いする人がいる。これはあまりよくない。というか、こういうことはキャラクターのしっかりした造形には繋がらないんだ。
2010-04-29 22:10:088.一番大事なのは“欲しいもの”を設定することだ。主人公の“欲しいもの”は何か? “したいことは何か?” “いらないものは何か?”をまず考えよう。明確にしよう。
2010-04-29 22:12:109.物語とは主人公が“欲しいもの”を求める旅である。これは僕が極論を言っている訳じゃない。どのシナリオの教科書にも(まともなものであれば)文体はちがうが、そう書いてある。基本中の基本だ。
2010-04-29 22:14:2010.“欲しいもの”を求めて主人公は日常を離れ、非日常の世界に旅立つ。二幕の始まりだ。ここで問題なのは“欲しいもの”は簡単に手に入ってはいけないということだ。アマチュアがよくやる失敗は、主人公を甘やかすことだ。主人公はいじめなければならない。
2010-04-29 22:17:4611.そのためには、主人公の他に少なくとももう一人登場人物がいる。主人公を苦しめ、“欲しいもの”へのアプローチを阻害するキャラだ。シナリオ理論では主人公をプロタゴニスト(Protagonist)、主人公を揺さぶり、変化を促すキャラをアンタゴニスト(Antagonist)と呼ぶ。
2010-04-29 22:19:0712.『ローマの休日』では、主人公の記者は女王のスクープ記事を狙う。が、王女に恋をしてしまった為に、本当に特ダネを公表していいのかという迷いが生じる。つまり、主人公の“欲しいもの”(=特ダネ=金)を手に入れようとするのを阻む存在として(本人にその気はなくても)王女がいるんだ。
2010-04-29 22:20:5613.まず、一幕目では、主人公は誰か、そして主人公の“欲しいもの”は何か、そしてそれを阻むものは誰か(何か)を明確にしなくてはならない。これが今日のメインテーマの一つだ。実は大事なことはもう一つある。特に若い作家にとっては。
2010-04-29 22:22:1914.さて、ここから話はちょっとややこしくなる。実は、複雑になった現在社会では“欲しいもの”がわからない人物はある意味リアリティを持つってことなんだ。
2010-04-29 22:24:2615.何かをしたいけれど何をしたらいいかわからないまま漂うように日々を過ごしている、という人間は現実に沢山いる。つまりリアルなキャラクターってことだ。実際こういうキャラを若い作り手は主人公にしたがる。けど、物語はただリアルなだけじゃダメだ。リアルなだけじゃダメなんだよ。
2010-04-29 22:28:1616.こういう人物を主人公にした場合は、主人公を突き動かす人物(もしくは出来事)が現れなければならない。でなければ、主人公はOrdinary Worldにとどまり、Special Worldに旅立てないからだ。そうしないと物語のテンションは上がらないのである。
2010-04-29 22:30:3317.例えば、強烈に“欲しいもの”があるわけじゃないけれど、何かが足りないという不全感に悩まされているキャラクターの典型を『ファイト・クラブ』のエドワード・ノートンにみることができる。ちょいと見てみようか。
2010-04-29 22:33:3118.仕事も如才なくやってのけ、金もある。けれど何かが足りない、生の充実感がない、というような感覚を主人公は抱えている。末期癌の集会に顔を出すシーンを覚えているかな。これは、生と死の境目でもがく人間を見て、薄い生の実感をなんとか手応えのあるものにしようとしているんだね。
2010-04-29 22:35:2819.そんなある日、不思議な男(ブラッド・ピット)が忽然と現れ、主人公を儀式的な暴力の世界に連れて行き(なんの意味もなく「俺を殴れ」と言って殴らせ、また殴ってくる)、物語は二幕目(非日常)に突入していくのだ。
2010-04-29 22:36:3421.今日はこの辺で。明日は、主人公の変化(Character Arc)についてつぶやくよー。 たぶん。
2010-04-29 22:39:29