俗説としては章鴻釗が日本から輸入。この人、中国に西洋的な古生物学を持ち込んだ偉い中国人として有名。確かに東京帝国大学での横山又次郎の後輩に当たり、横山が恐龍と訳した本(1895年の「化石學教科書 中巻」およびそれに続く彼の本)を教科書に学んでいても全然おかしくない。
ここをスタートに文献探しを始めましたとさ。
「中文的恐龙一词,則源自日本對Dinosauria一詞的翻译「恐竜」(きょうりゅう;Kyōryū),最初由中國地質學家章鴻釗提出」:zh.wikipedia.org/wiki/%E6%81%90…
2021-08-25 21:25:38なんやかんやで中国古生物学史については日本語でいろいろ書かれているので。
「支那地質学発展史」の中国語版はオンラインで読める
ここでそれなりに信頼できる資料に遭遇
つまり、横山が1895年に恐龍と訳すより前の1876年に蛇形鼍という訳語があった。加えて章鴻釗が日本留学する前の1903年には恐龍は輸入されていた。
最初に「恐龍/恐龙」を中国に持ち込んだのは章鴻釗じゃないかもしれないけど,蛇頸龍を含む一連の訳語を体系的に持ち込んだのはやっぱりこの人しかいないんじゃねーかな,とは思うですよ
2021-08-26 17:04:39ところがここでsaurus=龙でない訳の例に気づいてしまったのでした…
ちなみにsaurusを蜥と訳した最初の例は,たぶん谷津直秀の「動物分類表」(1914年)。ほか,伊澤修二の「生種原始論」(1878年)では蛇(plesiosaurusに蜥類蛇の名前を当てているので,爬虫類一般に蜥の字を当ててたっぽい),小藤文次郎の「地球發育史」(1891年) で龍,飯島魁の「動物学提要」(1918年) では蜴。
この辺はまた別途まとめましょうか…
さて章鴻釗の前のお話。彼の前にも中国人留学生はたくさんいて辞書を作ってたらしい。あとはこの辞書に恐龍の語が載っているかどうか (未調査)