イラストから即興でBL書いてみた

■書く人(@1_5seme / @mgnstar) ■イラスト提供(@_Tammy___ ) のうち、@mgnstar のまとめ
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@1_5seme

@mgnstar いっぺんももかさんと同じテーマでなんか書くってやってみたいです/////////

2010-04-30 13:50:28
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【イラストから即興BLします!】■書く人(@1_5seme / @mgnstar) ■イラスト提供(@_Tammy___ ):http://twitpic.com/1jk96e ■TLを即興BL小説で占拠します! ■終了時間は不明 ■書き終えるまでリプライ機能停止します

2010-04-30 14:52:04
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龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【①】先輩にカラオケに誘われたときは、正直断ろうかと思った。二十歳と二十二歳、その差は小さいようで大きいのだ。サークルの先輩とはいえ夏になればもうほとんど四年生は顔を出さなくなるし、接点らしい接点はあまりない。しかも彼は普段の活動には参加せず、気まぐれで飲み会に顔を出す程度だ。

2010-04-30 14:52:21
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【②】会う機会も少なければ、話したことなんて一度や二度くらいなものだ。彼のグラスに酒を注いだことすらない。地味っぽい自分とは違ってあの先輩はサークルの中でも盛り上げ役で、人懐っこい。ふらっと飲み会にだけ現れても許されるのは、ひとえに彼の人柄のおかげにほかならない。

2010-04-30 14:54:30
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【③】一言で形容するなら、人気者、まさにそれである。輪の中心にいつもいる人になど、近寄れるはずがなかった。いつも遠くから彼を見つめていた。酔うと色っぽい目をする。眦がほんのり赤くなってとろんとした瞳をひとたび向けられたら、なんにでも頷いてしまいそうな気がする。

2010-04-30 14:57:17
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【④】そういう人に、その飲み会の帰りがけに呼び止められた。いつもにこにこしている彼はふいに真剣な顔つきになり、今から二人で行こうね、と半ば強制的に腕を引っぱってカラオケボックスに引きずり込まれた。後ろで同級生が気をつけろよー、なんて騒いでいる。わけがわからなかった。

2010-04-30 15:00:04
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑤】誘う相手ならほかにもいたはずなのだ。それが、なぜ二つも年下の、顔も体型も普通の自分を。解せなくて、カラオケのリモコンの淡い光をぼんやり見つめながら首を傾ぐ。歌う気分ではなかった。落ち着かない。隣から彼の伸びやかな歌声が聞こえてきても、うまいな、なんて感心する余裕もない。

2010-04-30 15:01:48
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑥】「なーにー、歌わないのかなぁ? せっかく二人できたのにー」一曲終えると、彼はマイクを持ったまま身体を寄せてきた。二の腕と二の腕が触れ合う。体温はわからない。けれども、彼の甘い香りが、圧倒的に鼻腔を支配して、くらくらしてくる。香水のような、そうでないような匂い。

2010-04-30 15:03:51
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑦】思考がままならず、ろくな言葉が返せない。彼を、押し返せもしない。「そ、その、俺にはなんで先輩に連れてこられたのか、わ、わかんなくて」「はは、鈍い子だなあ。二人で密室だよ?」くすくす、彼は笑う。顔が近づいてくる。むせ返る色気が傍にあって、どうしようもなくなってあとずさった。

2010-04-30 15:05:53
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑧】覆いかぶさられるような体勢になって、見つめられて目を逸らした。頬が熱い。すぐ近くで見ると、彼はとんでもなく綺麗な顔をしていた。いや、もっと前からそれは知っていたのだ。彼のことを、ずっと見ていた。薄い唇の感触を、何度妄想しただろう。「鈍い子、先輩大好き」悪戯っぽい笑み。

2010-04-30 15:08:07
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑨】大好きなんて言葉一つで、身体の自由が利かなくなる。まるで彼という薬を盛られたように、従順になる。「あっ、ん……ふあ!」「ん、ん、はふ、ぅ、あ」唇をふさがれる。小うるさいカラオケの音なんかよりも強烈に互いの交わる音が脳髄にこだまする。唾液のすすられる音、血管が破裂しそうな音。

2010-04-30 15:10:36
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑩】なにもかも官能的で、導かれるようにしてついにソファに二人してなだれ込んだ。彼の体重が愛しい。下腹部のあたりでふくれた熱が重なり合って、心臓がどくんと跳ね上がった。大好き。嬉しくて、悔しかった。そんな言葉を軽く言える彼。「せん、ぱ……ふっ、……先輩!」

2010-04-30 15:12:46
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑪】必死に、彼の胸を押した。意外にも素直に身体を離した彼は、これもひどく予想外なことに、泣き出しそうな顔をしてこちらを見下ろしていた。「せん。ぱい……?」「嫌だった?」「え?」「俺、はおまえと、その、そういう、感じに……なりたくて、頑張ってここまで連れてきたんだけど」

2010-04-30 15:15:50
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑫】胸のあたりの布をぎゅっと握り締められ、細い指に見とれた。けれどもすぐに彼のふるえる唇や苦しそうな表情から目が離せなくなって、とまどう。彼はこんな弱い面を見せる人ではなかった。彼は、いつも飄々としている、遠いところにいる人だった。少なくともこんなに、手に届く人ではなかった。

2010-04-30 15:17:53
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑬】ぐにゃりと、にしゃげた笑みを彼は作った。みぞおちが竦む。「緊張してるっぽくて、でもけっこー嬉しそう、だったから、いけると、思っ、て……」ぼろっ、と彼の瞳から涙がこぼれて、頬に落ちてきた。生温かい。そうして、泣かせているのが自分なのだと思い至る。あの言葉が、本気らしいことも。

2010-04-30 15:20:49
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑭】「キス、して、ごめ……っ、かえ、る」「え? あ、だめです!」ぼろぼろ泣き出して、熱も引っ込んでしまったらしい彼は一人で納得して、腹の上から降りようとした。とっさに、腕を伸ばす。今放したら、彼はまた簡単に遠い人になってしまう。「先輩、す、……き、好きです! だから待って!」

2010-04-30 15:22:53
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑮】泣き顔を見ていられなかったのもあったが、彼を帰すまいとして、ぎゅうっと強く抱きしめた。あんなに掴めないと思っていた年上の先輩はこんなにも細く、自分を隠す人だった。人気者なんて、上辺のまやかしにすぎなかったのだ。「すき?」「そうです。好きです。だから今日も嬉しかったんです」

2010-04-30 15:25:17
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑯】首筋に顔を埋めてみる。やわらかい髪がくすぐったくて、ふっとため息をこぼした。「先輩は俺には遠い人だったから、だから最初はわけわかんなかったですけど。でも……なんか、先輩泣いちゃうし。思ってた人と違って」「き、らいになった?」「違います違います。親近感っていうか……かわいい」

2010-04-30 15:27:14
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑰】「……かわいい」「はい」身じろいだ彼は、ぼそりと反芻する。そう、彼は、かわいい人、だった。思い通りにならなくて泣いてしまうような、少しわがままなところも、かわいい。腕の力を強める。「好きでしたから。そういうとこがあって、嬉しいですよ」「え、……あの、じゃあさ」

2010-04-30 15:29:10
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑱】普段の彼らしくもなく、声がふるえている。できたらずっとこのまま抱きしめていたい。二人きりにしてくれてよかった。彼が思い切ってくれなければ、一生微妙な距離を持ったままだった。「好きと好きでいい、みたいな? えっと、あの、つ、き合って、……ください」

2010-04-30 15:30:31
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

【⑲】「……はい」しどろもどろになった彼はぐりぐり顔を胸に押しつけてきて、恥じ入るように身体を小さくした。余裕綽々といったいつもの態度が嘘みたいに思えてくる。知っているようで知らなかった人が腕の中の中にいる。たぶん、彼を知るのは自分だけ。「好きですから」もう、誰にも見せたくない。

2010-04-30 15:32:17
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

゚・*:.。..。.:*・゚ おわり ゚・*:.。..。.:*・゚

2010-04-30 15:32:28