非営利セクターにおける脱法解雇の現場

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オッカム @oxomckoe

学生へのハラスメントは論外として、近年は経営側が気に入らない教員を就業規則違反的な形式で過剰な懲戒処分をカジュアルに下す事例が増えるでしょうね。この事例については知らないので、一般的な知識の普及の観点から、僕がみてきた事例の経緯を関係者に迷惑をかけない範囲で極々かいつまんで。

2020-06-30 17:27:39
オッカム @oxomckoe

懲戒処分を下すにあたり、形式的にでも調査委員会が開催されることが多い。これは検事が開催する裁判みたいなもので、まあ酷いのだが、結論ありきの調査委員会が開かれることがほとんどかど。それで、これが一応開かれていると、裁判所は差し止めの仮処分は出さないことが少なくないのだそうです。

2020-06-30 17:31:18
オッカム @oxomckoe

近年は組織のガヴァナンスを重視するという方針があるので、調査委員会の瑕疵は厳密には審査しない。仮処分を認めない裁判所の文書を読むと、「一応」という言葉が多用される。「一応」形式が整っていれば、差し止めの仮処分はなかなか出ない。

2020-06-30 17:34:24
オッカム @oxomckoe

それで裁判になるのだけれど個人にとっては本当に辛いことが待っている。教員の一挙手一投足を全て把握している職員から、組織側の顧問弁護士がその人間がいかに悪性を持っているかの「証拠」(学問上のエビデンスとは程遠いエピソード集も裁判の世界では「証拠」になる)が集められる。

2020-06-30 17:40:41
オッカム @oxomckoe

「悪性立証」というのだそうです。これ禁止した方が良いと思うのですが、民事だと結構威力を持つ。不当に思い懲戒処分ですから、これを本当に数メートル集めて個人側の弁護士に送られてくる。これに対応する過程で、弱い人は気力を削られるし、協力者も離れていく。

2020-06-30 17:44:35
オッカム @oxomckoe

処分差し止めの仮処分が下りない場合は、処分されたご本人は結構忙しくなる。まず厚生年金を国民年金に切り替える作業とかも行わなきゃならない。あと雇った弁護士に、預金通帳や手帳、どこにあるか分からない就業規則集を探し出してコピーを提出しなきゃならない。

2020-06-30 17:47:49
オッカム @oxomckoe

あと個人側の弁護士はやるだけやりましたよという履歴を作る必要から労基署や都道府県の労働委員会に調査を依頼する。ちなみにこれらの機関は文字通り「ガキの使い」で、法人側は拒否できる。で、「拒否されました」と報告が弁護士のところに来る。これも全部形式的にやらなきゃならない。

2020-06-30 17:50:45
オッカム @oxomckoe

それで裁判が始まるのだが、個人はどんどんお金が流出するが、組織側には無尽蔵のお金があるので、組織側は全く急ぐ必要がない。負けてもまるでへっちゃら。さらに控訴して個人側の資金が枯渇するまで続けられる。組織側の弁護士は負けても感謝される。経営側が裁判の最中に一体化してチームになる。

2020-06-30 17:53:54
オッカム @oxomckoe

そろそろ頃合いだなあと判断した裁判官が、組織側の弁護士に和解を勧める。これ重すぎるので判決書くと負けることになりますよと。同時に個人の雇った弁護士にも、それとなく向こうはずっと続けますよ、大丈夫ですかという感じでやはり和解を勧める。

2020-06-30 17:58:30
オッカム @oxomckoe

こうして懲戒処分は取り消す代わりに、退職金を上積みするから自主退職の方向で和解が成立する。結局、多くの場合は、やはり処分を受けた側が大学を去ることになる。組織はへっちゃら。理事会では誰も責任を問われない。

2020-06-30 18:01:28
オッカム @oxomckoe

こういう次第なので、文科省が本当はちゃんと介入しなきゃいけない。大月さんの場合は、たぶん戦に慣れておられるので、こうはならないと思うのですが、この場合は、日本の底辺大学が抱えた大問題でもあるので、やはり文科省がちゃんと何かを言わなければならないだろう。

2020-06-30 18:04:35
scighera🇯🇵🇮🇹 @scighera

@oxomckoe >近年は経営側が気に入らない教員を これは昔から私立(特に理事長が世襲のワンマンな学校)では組合潰しのために行われています。

2020-07-01 08:30:02
オッカム @oxomckoe

日本語になっているガヴァナンスという言葉に僕は昔から不信感を持っていて、何か重要で決定的なものが欠けていると思っている。どうも日本語になっているガヴァナンスというのは、ヤクザがシマを平穏におさめることと区別ができていないのではないだろうか。

2020-07-10 04:47:20
オッカム @oxomckoe

弁護士だから「正義の味方」ではないのは今更な話だが、大組織の顧問弁護士で理事会の意向通り組織の従業員を追い詰める仕事をしている人を見ていると、本当に法の精神についての志はないんだなあと逆に感心した。旧司法試験という難関試験に合格するには、多少は精神の高尚さが必要だと思ったのだが。

2020-07-10 05:01:44
オッカム @oxomckoe

前任校で同僚の先生が懲戒処分受けたとき、大学側の顧問弁護士の姿を見た。化粧も服装も南国の鳥のような女性で、その下で修行中と思われる若い男性弁護士が仕えていた。彼女らが、(よくもまあ)と思われるほどの悪性立証の材料を同じ小さなキャンパスで収集していた。

2020-07-10 05:09:17
オッカム @oxomckoe

精神的に追い詰められていた同僚が授業時間後に僕の研究室にきて懊悩する心の状況を吐露するのを、僕が聞いて慰めていたら突然、部屋のドアが開いてギョッとしてみると再雇用された警備員のお爺ちゃんが入ってきた。本当にノックもせずにいきなり研究室に警備員の年配男性が入ってきたのです。

2020-07-10 05:15:04
オッカム @oxomckoe

びっくりした僕は、「どうされたんですか」と聞いたら、「いや先生方、どうされたのかなと」と。「お話ししておりましたが」と僕が応えると「そうですか」と言って去って行った。ああ、忖度が高じて人間ここまでやっちゃうんだなと。これが取り囲まれている状態なんだなと暗澹とした。

2020-07-10 05:18:26
オッカム @oxomckoe

後で向こう側の出した資料を見せてもらったら、「○時○分、A先生(同僚)がオッカムの部屋を訪ねて何やら相談。就業時間を超えて研究室を利用しているのは問題だと思いました」というお爺ちゃん警備員の証言が紛れ込んでいた(笑)。研究室の就業時間が何時かだけは今に至るまで分からないのだが。

2020-07-10 05:26:31
オッカム @oxomckoe

ちなみに同僚が受けたのは2ヶ月の停職処分で、以上の話は2ヶ月後に職場復帰して処分取り消しの裁判を行っていた最中だった。すでに話した通り、裁判ではこの懲戒処分は取り消された。2ヶ月の間途切れていた私学共済はどうつなげたのかは、僕には分からない。

2020-07-10 05:38:02
オッカム @oxomckoe

ちなみにこの時期もう一人、同じ案件で停職1ヶ月の懲戒処分を受けた別の同僚の先生の教員住宅からの引っ越し作業を手伝った。停職中は教員住宅にはいられない。後から向こう側が出した「証拠」を読んだら「○月○日、B先生(同僚)の引越しをオッカムが手伝っていた」と事務長の記録が出てきた(笑)

2020-07-10 05:53:54
オッカム @oxomckoe

このB先生の懲戒処分も裁判で取り消された。お二人とも、最後は勝利的な和解で大学を去られた。正直、僕としては判決まで行って欲しかったが、もう精神的に限界そうだったので弁護士同様、僕も和解を進めた。ただ後に残された僕の困難ね(笑)

2020-07-10 05:59:34
オッカム @oxomckoe

しかし実は情勢が変化して、この後、僕は7年続いた専任講師から准教授に昇任するのです。これがまたドラマなのですが、また別の機会に。

2020-07-10 06:02:42
オッカム @oxomckoe

何だかソ連で生き残った共産党員みたいですね。この時期の研究上の代表論文は「アメリカの建国ー共和国における王政的権力の再構成」かなあ。

2020-07-10 06:27:11