
日本で弩が消滅したのは矢竹があったから論 タイトルが結論になってしまっているが…旧来の説では、平安時代の太平の世に戦争が無くなって機械式の弓、つまり弩は無くなった。または、武士社会になり、弓の鍛錬が奨励されたから、という説がある。自分が昔、読んだ本にもそう書かれていた。
2021-09-07 20:33:08
ところが、自分は昔からこの説にどうも納得がいかない。隔絶区域の南米、中米、オセアニアでは強力な武器が一度開発、導入されたら消失する事はない。平和になって進歩しなくなることはあっても、武器はなくならない。 ところが、日本の弩は無くなってしまった。古墳時代にはあったのにである。
2021-09-07 20:35:06
「より便利なものは不便なものを駆逐する」もし、日本に弩より弓の方が便利な物があれば弩を使う理由はない。 欧米もマスケットが登場したらクロスボウは次第に使われなくなった。 じゃあ、日本には弩は不便で弓だと便利なものがあったのではないか? あったのである。それが日本に自生する矢竹だ。 pic.twitter.com/OQaxi4Q6pb
2021-09-07 20:38:36

弩と弓で比較するからわからなくなる。弾の方、つまり太矢と矢で考えてみる。 TRPGをする人には常識だが、クロスボウとボウは使う弾が違う。クロスボウは太矢、ボウは矢。太さがぜんぜん違う。互換性はない、併用はできない。
2021-09-07 20:40:27
少し脱線するが、昔GMをしていたとき、「クォレル(クロスボウの矢)が尽きたんでアロー(弓用の矢)を使ってもいいですか?」と質問があった。 まぁ、当時はよく知らなかったので「細くて威力が落ちるから-2ペナで」と対応したが、この対応は間違いだった。 絶対に撃てない。
2021-09-07 20:42:21
マインクラフトではクロスボウの矢も弓の矢も同じだが… 矢を作る過程を考えて欲しい。矢1本作るのに、木の板からひとつずつシャコシャコ削って木の棒を作る。それから矢尻と羽根をつけるわけだ。 超大変な作業だ。正確に棒にしないと矢はまっすぐ飛ばない。 そして、太矢の方が多分作るのが簡単だ。
2021-09-07 20:45:11
ところがである。日本には、矢竹という矢の棒にするたの専用の竹(ほんとうは笹)が自生している。 下の絵はアマゾンで売っている竹の矢。 最初から矢に使えるサイズの細い棒で加工する必要なし、しかも中空で軽量化されている。 大陸の矢職人がこの矢竹を知ったら「OH、チート!」と思うだろう。 pic.twitter.com/35pdCQYzRx
2021-09-07 20:49:27

ところが竹はクロスボウには使えない。別の太い竹で対応はできない。威力がぜんぜんダメになってしまう。 つまり、日本で弩が廃れ、弓が普及したのは、弾である矢の補給の圧倒的な手軽さによる、と考えられないだろうか。 というわけで、この矢竹の存在が、日本から弩を消した。という説を、唱えたい。
2021-09-07 20:56:02
「竹があれば日本以外でもそうなるんじゃない?」 という指摘はだれでも思う。少なくても自分が調べた限りでは「矢竹」は日本にしかない。しかし、なぜだろう? それは矢竹が竹ではなく「大型の笹」だからだと考える。
2021-09-07 21:24:37
竹は世界中に分布していて、だいたい日本が北限、笹は日本から北に分布している。北海道などはみんな笹。 この笹は日本で最も分化、発展している。 ※欧米でも笹は日本的に植物だと認識されていて、sasaと呼ばれる。wikiより。 つまり矢竹は竹ではなく、実は笹であるところがポイント。
2021-09-07 21:29:51
大陸の竹だと節と太さが微妙に矢に合わない。矢竹じゃないとダメ。 矢竹は笹であり、笹が最も進化しているのが日本であり、その中に矢に適した矢竹という大型の笹があり、その矢竹は矢を作るのにあまりにも便利なので、わざわざ弩用の太矢を作る必要が無くなり、弩は日本から無くなった。 どうじゃろ。
2021-09-07 21:35:38
@dominate_game かなり面白いお説です。ただ、西洋のクロスボウのに比べて、実のところ東アジア方面の弩は弓が長くストローク自体も深めにとれるようになってます。ですので殊更太く短い必要がない。という所があります。 やはり、旧来の説の「一定の生産設備を持った拠点での大量生産」のメリットが…
2021-09-08 15:02:55
@dominate_game 「武士団」と言う小規模な戦士団が確固に武装を整えると言う実情に見合わなくなった。という部分が大きいかと思います。「筋力面・技量面ともに訓練コストのハードルが高い」と言う弓のデメリットは小規模な専業集団の場合解決します。そして弓は大規模な量産設備がなくとも家内制手工業で…
2021-09-08 15:05:42
@dominate_game ある程度効率的な生産が可能です。この辺りは「鎖帷子」が広い地域時代で高い普及率を誇ったのと同じような事情かと思います。
2021-09-08 15:08:02
@SagamiNoriaki 兵頭二十八サンも『武器が語る日本史』で合成弓のデメリット、接着の膠が湿気に弱く保存コストが高い、を言ってましたね。
2021-09-08 17:20:50
@dominate_game 弩の口径調整で矢の問題は解決できそうだが... 1、騎兵戦争構造により重くてデカくて連射出来ない弩は不便だったし弓兵の短所は少数精鋭で補えた 2、平野部が少なく狭いため大規模な射列を作れ無かった。 3、戦国時代は既に火縄銃の時代になったため用済み
2021-09-08 18:56:29
@dominate_game あくまでも私見ですが日本において和弓のような大型弓が機械式の弩を駆逐した理由について、私はその維持管理が国家ではなく小規模な武士集団に任せられていたこととに由来すると考えています。機械式の弩はその製造と維持管理において小規模な集団の手には余るのでないかと考えるのです。
2021-09-08 20:50:06
@dominate_game 現に中国はそれなりに大規模な国家が弩を管理していましたし、ヨーロッパでも多くは国が兵士に貸し与えるものだったかと思います。機械式の矢はその貫通力において手動の矢を遥かに凌駕するわけですから、戦闘する集団の手に負えるものである限りは日本でも使われたとおもうんですよね。
2021-09-08 20:55:37
@dominate_game 弩は待ち伏せなどの待機使用にも大変適しており、連射性を除けば概ね和弓より優れると思いますから駆逐されるには技術的工業的な理由が必要と考えます。
2021-09-08 20:59:37
@dominate_game 他にも歩兵主体の軍団を廃止して健児という弓騎ができる少数精鋭化を図ったこと(弩は騎乗では使いにくい)や、 シュウ(人偏に就)馬の党の取り締まりに弓騎に優れた下級貴族があたったことも影響はあるはずだけど 兵器の材料に目を付けたのは発想力が面白い
2021-09-09 18:13:54
@dominate_game 確か、続日本紀に唐からの依頼で牛の角を7000以上用意して送る話があったけど、あれは大陸の角弓の原料として使うためだったはず そう考えると、大陸では弩と弓が生産コストは同じくらいで両方が残ったとも考えれるし 日本は丸木弓だったので圧倒的に弓矢の方がコストが低かった可能性はある
2021-09-09 18:18:23
@dominate_game 朝鮮出兵では、自分たちの期待する矢の補給が受けられなくて思うような戦いができなかったのか…、とか想像しましたが、もう鉄砲の時代でしたね。 弓矢の時代に矢竹の生息地域を離れて戦う武士団がもしいたら、問題に直面してたでしょうね。 倭寇だと、大陸式の弓や弩を使ってたのかしら?(奪えるし)
2021-09-10 01:06:55
日本で弩が生き残らなかったのは、高温多湿のため材料の保存やメンテナンスに難があったため、という説を聞いたことがあるな。真偽のほどは知らんけど。 世界中に分布している複合弓がないのも、これで一応説明はつく。 ただ、これだけが理由とも思えなくて、他にもいくつか理由があるとも思うけど。
2021-09-07 21:44:08
面白い考察なんだけど、同じように日本からなくなった兵器である両刃の剣や盾など、日本の古代兵器事情は複雑で、これだけで説明するのは難しい気がする。鎌倉時代、兵種が全て騎兵に代わったことで盾がなくなり、大袖になったので、これが弩を使わなくなった理由かと twitter.com/dominate_game/…
2021-09-08 09:30:22