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製薬企業研究者からサイエンスライターに転身。大学や研究機関の広報などアカデミアにも片足を突っ込む。サイト「有機化学美術館」の中の人、折り紙と囲碁が趣味。著書に「医薬品クライシス」「炭素文明論」「ふしぎな国道」「世界史を変えた新素材」など。ライターとしての仕事→ x.gd/UEX7W
各まとめ毎に、表にしました。
(GoogleSpreadSheet形式)
301-310
301 パリトキシン
302 甘味,塩味(アスパルテーム,グリシン,グリシンメチルエステル塩酸塩)
303 シュウ酸ジフェニル
304 ルミノール
305 ピペリン,ピペロニル基
306 二酸化硫黄
307 ナリジクス塩,キノロン系
308 チリアンパープル
309 カテキン
310 アントシアニジン類
#本日の構造式 301 パリトキシン。久々のモンスター登場です。ハワイの海に棲むイワスナギンチャクから単離されました。タンパク質系以外では、マイトトキシンに次ぐ分子量と毒性を誇ります。左上から目で追っていくと、末端以外は炭素鎖が途切れることなく続き、枝分かれも少ない構造が読み取れます。 pic.twitter.com/0LOvbWiBhM
2021-09-09 22:10:23構造式を描くだけでも心が折れそうなこの化合物、構造決定も10年がかりでした。その合成はエベレスト登頂にもたとえられた難事でしたが、1994年にハーバード大の岸義人教授が全合成を達成。今も2例目の全合成はなく、この分野の最高峰と讃えられています。ちょっと形容する言葉が見つかりません。
2021-09-09 22:10:37余談。ハワイの原住民は、このパリトキシンを使って毒矢を作っていました。研究者がそれを知り、イワスナギンチャクの在処を教えてくれと頼むと、災いが降りかかるからと断られました。しかし研究者が無理に聞き出して採取して帰ると、研究所が火災で全焼していた、という怪談めいた話があるそうです。
2021-09-09 22:10:52どうもありがとうございます! twitter.com/no_ichi_/statu…
2021-09-10 13:22:38#新書で科学学習 『すごい分子 世界は六角形でできている』 #今日の構造式 の #佐藤健太郎 さん@KentaroSato の著書。 有機化学の魅力がたっぷり! やや専門的なことも書いてあるので,化学を勉強する受験生や大学生にちょうど良いです。 #ブルーバックス amzn.to/3zXuTeo
2021-09-10 01:00:55#今日の構造式 302 以前、アミノ酸2つがつながったアスパルテームが甘味料として用いられているという話を書きました(砂糖の約200倍の甘み)。アミノ酸には甘みを感じさせるものが多く、たとえばグリシンも砂糖の70%程度の甘さだそうです。では塩味のペプチドなんてものはあるのでしょうか? pic.twitter.com/m3pGAHF6hh
2021-09-10 22:05:58実は、オルニチンとβ-アラニンという、ちょっと特殊なアミノ酸2つがつながった分子が塩味を示します(β-アラニンの代わりにタウリンでもOK)。また、グリシンのカルボン酸をメチル化した、グリシンメチルエステル塩酸塩も弱い塩味を示すそうです。メチル基一つで甘みが塩味に変わるのですね。 pic.twitter.com/VvlLVsQJTR
2021-09-10 22:07:05代用甘味料が売れるのだから、減塩のための代用塩味料なんてものもあればと思うところですが、実用化されていません。やはり塩味は料理の基本となる味であり、少しでも本物と違うと舌が受け付けません。コストや安全性の問題もあるのでなかなか難しいようですが、実現の日はいつか来るでしょうか。
2021-09-10 22:07:24#今日の構造式 303 コンサート等に欠かせないアイテムとなったペンライトやサイリウム。これらは熱も発さず電源もないのに、鮮やかな光を発します。多くの場合、チューブ内に過酸化水素水が満たされており、その内部の薄いガラスチューブにシュウ酸ジフェニルと色素分子が封入されています。 pic.twitter.com/sMONifQNP4
2021-09-11 23:57:07チューブを曲げてガラス筒が折れると内部で液同士が混ざり、まずシュウ酸ジフェニルと過酸化水素が反応します。すると1,2-オキセタンジオンという非常に不安定な化合物が発生し、これはすぐさま二酸化炭素2分子へと分解します。この際にエネルギーを発生するのですが、これが手品のタネとなります。 pic.twitter.com/K6oCR6h15q
2021-09-11 23:58:29発生したエネルギーは色素分子に受け渡され、高エネルギーの状態(励起状態)になります。これが元の状態に戻る時、その分のエネルギーを光の形で発します。これがサイリウムが光る理由です。加えておく色素によって、発光色を変えられるのがいいところ。いろいろなところで、化学の力が光っています。 pic.twitter.com/9tRHD1keDA
2021-09-11 23:58:53#今日の構造式 304 刑事ドラマなどで、血痕の検出試験が行われることがあります。その鍵となるのが、このルミノールという化合物。ルミノールは、血液に含まれる鉄錯体及び過酸化水素と反応して、青く光るのです。化合物名はイルミネーションなどと同じ語源で、光る化合物であることから来ています。 pic.twitter.com/vfEEhOscxB
2021-09-12 23:00:58ルミノールによる反応は非常に鋭敏で、微量の古い血液でも検出可能です。ただし血液中の鉄分以外にもルミノール反応で発光する物質はあるので、ルミノールが光ったら即血液である、と決めつけることはできません。例えば大根はペルオキシダーゼという酵素を含み、ルミノール反応を起こします。
2021-09-12 23:01:24そんなルミノール反応ですが、実際にはかなり複雑な反応であるようです。ともかくルミノールが過酸化水素と反応して高いエネルギー状態(励起状態、*印)の化合物ができ、そのエネルギーが光の形で放出されると考えられています。これを生かした誘導体も作られ、生化学分野などで活躍しています。 pic.twitter.com/y47Sfpa4K1
2021-09-12 23:02:12ありがとうございます! twitter.com/KinoUmeda/stat…
2021-09-12 23:49:20【自然フェア】 #ニュートン の #科学名著100冊 フェアから本日のおすすめ紹介1冊目は『炭素文明論』#新潮選書 です。「炭素史観」とも言うべき斬新な視点から、人類の歴史を大胆に描き直す、興奮のポピュラー・サイエンス。 E96-01・02フェア台にて展開中です。k.h pic.twitter.com/vS44y0fd1W
2021-09-12 16:02:00#今日の構造式 305 胡椒は「香辛料の王様」とも呼ばれ、古くから珍重されてきました。ローマ帝国では胡椒がステイタスシンボルとされ、貴族たちが大量にこれを消費しました。410年のローマ劫掠の際には、囲みを解く代価の一部として胡椒が支払われたほどです。その主な辛味成分が、このピペリンです。 pic.twitter.com/SD5mp05fJC
2021-09-13 23:17:38