研究経営で重要なことは2種類の研究を区別すること

「研究経営で重要なことは2種類の研究を区別すること」という私の意見について、説明しました。特に「国立大学法人」の「運営費交付金」と、「科研費」(科学研究費補助金)の今後のあり方について、提言しました。 今年度から運用が開始されるという「大学ファンド」(10兆円規模の基金)がありますが、残念ながら、これでは問題の解決になりません。このやりとりについても収載しました。
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MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

研究経営で重要なことは2種類の研究を区別すること。研究が軌道に乗った段階と、試行錯誤で模索する段階。どちらも予算が必要なことを、政治は理解して欲しい。具体的には、運営費交付金を元に戻し、科研費の採択率を上げれば、勢いは戻る。研究者はすでに狭き門で練磨済みだから信頼して良いはずだ。

2021-09-22 17:44:45
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

研究の運営とはどういうことか、という共通理解がないといけないと、私は思う。 president.jp/articles/-/500…

2021-09-22 17:46:13
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

限られた研究予算を、どう使うのが研究の発展に役立つか。政府も理解すべきだ。答えは物理学の加速器施設の運営にある。確実な当たり馬券のような研究には資源の80%、しかし20%は萌芽的研究にも予算を割り当てる。予想通りでなくてもその答えは重要。中には当たりもある。Googleの20%ルールも同じ。

2021-09-23 00:45:20
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

1995年の科学技術基本法で我が国は、科学技術創造立国を宣言。1996年の第1期以来、予算規模は毎5年で17兆円、24兆円、25兆円と順調に伸びた。なのになぜ成果が出ないか。答えは明らかで、研究がどういうものか出資側が理解してないから。研究の本質は、予想通りにならない部分にこそある。ここが重要。

2021-09-23 00:54:21
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

当たり馬券(そんなものはないが)のような研究も必要で、それで研究者が育ち、皆が学び、成果も出る。しかし本当に重要な部分は、予想通りにならない部分だ。予想通りだったら研究ではない。政治や行政を行う事務官を私は尊敬しているが、予想通りが事務。その真逆が研究。ここを理解してほしい。

2021-09-23 01:01:31
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

予想通りにならない研究をどう育てるか。優秀な事務官の出番だ。安全な予算執行が仕事ではない。大から小まで、予想通りにならない研究こそが成果だ。試行錯誤が可能な研究経営には、今の方向の真逆。研究者の書類作成を減らす。その政策提言が事務官の仕事だ。事務的コンプライアンスが仕事ではない。

2021-09-23 01:21:49
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

なのに過去20年で起こったことは、真逆だった。不幸な1990年代の後半、無駄を省けの大合唱。新自由主義、競争環境。1999年に有馬文部大臣は確か2001年(無駄を省くための省庁再編)の後にどうするか決める(国立大学の民営化を)と仰った。しかし知らぬ間に国立大学法人化に。当時、大反対が起こった。

2021-09-23 01:29:37
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

私は1999年まで国立大学にいたが、個人的に私学で夢のような新学部を作ろうと「青雲の志」に燃え、京都女子大に異動。そしたら「水野さんはうまく逃げた」と言われた(苦笑)。それくらい大変だったらしい国立大学の法人化。2004年から、民営化は避けられたが国立大学法人という一見、不思議な組織に。

2021-09-23 01:35:26
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

そこで始まったのが、かの有名な(悪名高き)運営費交付金の毎年1%削減、というとんでもない締め付けだ。いいですかね、毎年1%、予算が削られるんです。自由に研究の試行錯誤に使えたはずの貴重な運営費としての予算が。これが研究「無理解」による、「研究者いじめ」でなくて何であろうか。

2021-09-23 01:42:04
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

ある時、私は古巣の大阪大学核物理研究センターの人と雑談中に、この夏は加速器の運転を止めると聞いた。電気代がないからと。理由を聞くと運営費交付金の年1%削減の結果という。どんな組織もインフラ維持管理や給与など一定額は必要、夏は加速器の冷却で電気代が高いから運転を止めると。私は驚愕。

2021-09-23 01:58:26
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

阪大の核物理研究センターは、全国共同利用研究所の一つ。全国の核物理分野の研究者の組織だが、同時に阪大の一部局でもある。予算は阪大を通して確保。だから全国の研究者が、一大学の運営費交付金の削減の煽りを受けて、貴重な加速器実験が出来ない。私は想像を絶する事態が起きていると、実感した。

2021-09-23 02:06:17
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

国立大学法人を中心に起きた想像を絶する事態とは。私個人は私学に異動したので把握していないが、人事への影響(人件費を浮かす)、研究費ゼロの大学(地方国立大で地域貢献の拠点の一つ。小中高教員の供給源)など、様々な話は聞いた。そして大学の研究者は、次の合理化計画と報告書類書きに多忙...

2021-09-23 02:30:11
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

人間は悲しいもので、相手も自分と同じように考えると、つい思いがちだ。事務官を私は尊敬するが、事務作業と研究とは真逆の作業だ。これを想像することは難しい。研究経験がない限り、事務官が研究を想像することは難しいかもしれない。だがそれが出来るのが優秀な事務官だ。そう私は断言できる。

2021-09-23 02:38:12
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

なぜ私は、優秀な事務官は研究の理解があると断言するのか。それは事例を複数知っているからだ。そのことは結局、事務とは何かを理解することに繋がる。大学の本来の目的は、研究成果を出すことではないのか。その研究者を、必要だからといって事務書類書きに時間を取らせて、何をしようと考えるのか。

2021-09-23 02:44:28
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

大学は教育機関だから、大学の本来の目的は教育だ。だが大学院生になると「先生」と呼ばせない研究室が多いことから理解できると思うが、教育の先に研究がある。当たり前だ。教育を突き詰めると、必ずおかしい部分に気づく。教員も学生も。 その気づきと探求が自由にできるのが大学ではないのか。

2021-09-23 02:49:40
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

2000年代の20年を掛けて、日本の大学が生産する論文数が、どんどん減っていったのを後で知った。なぜだろうと、私は考え込んでしまった。 こういう社会的事象の因果関係を安易に断定はできない。相関が明らかなだけだ。 だがそこに、国立大学法人化の4年と、その後の16年とがあまりにも見事に重なる。

2021-09-23 02:59:12
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

提案をしたい。以下の方針で高等教育(大学法人)と科学技術の関連法改正を議員立法すべきだ。 1)国立大学法人の運営費交付金の年1%削減を(10年計画で)元に戻す(現行の文教予算の枠内で可能)。 2)科研費の採択率を3倍に上げる(適正な採択率は80%、これを目安とする。科学技術基本法で可能)

2021-09-23 03:32:07
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

追記。2006年以降の大学教育は非常な勢いで充実政策が進行中だ。私もよく理解しているつもり。2006年から各省庁の○○力の中で文科省の学士力、2007年頃から学士課程・単位見直し、入学・教育・卒業の各ポリシー策定義務化、シラバス義務化、FD(高等教育方法研究)義務化などの激変。これ自体は有用だ。

2021-09-23 04:15:46
Ikuo Mizuuchi @IkuoMizuuchi

このスレッド全部読んでほしいけど、どれに引用RTしようか難しい。。 総額を増やして大きな予算でなきゃ進まないこと「も」できるようにするのは悪くないけど、たくさんの小さな予算で種をたくさん蒔いてたのを減らすのはとてもとても間違い。 twitter.com/y_mizuno/statu…

2021-09-23 08:36:46
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@IkuoMizuuchi コメント、深謝いたします。 そして、ご指摘に同感です:〈総額を増やして大きな予算でなきゃ進まないこと「も」できるようにするのは悪くないけど、たくさんの小さな予算で種をたくさん蒔いてたのを減らすのはとてもとても間違い。〉

2021-09-23 10:20:17
但野謙介 @kentadano

@y_mizuno 小渕内閣が苦し紛れに掲げた公務員削減目標に対して、国立大学や付属病院の人員を公務員から外して辻褄を合わせるべく大学がターゲットになっていた経緯があることを思うと、公務員たたきの行き着いた先がこの惨状でもある。

2021-09-23 10:24:26
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@kentadano そういうことだったと思います。事務のために事務をやった結果。そうでなくて、この結果はあり得ない。 実際、1999年頃には、第1期科学技術基本計画で例えば、理研の核物理用の加速器にも予算がおりて超電導化を実現するなど、世界的にも、日本は研究バブルと言われた時代もあった。2001年以前は!

2021-09-23 10:48:13
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@kentadano 公務員たたきの時代。あの結果、無駄を省け、重複をなくせ、の大合唱。で地方行政も人を減らし、ギリギリで運営。だから、例えば14市町村が1966年に合併した、いわき市も標的になり、各支所も人員削減。だから大災害の時に人を回す余裕がなくて苦労したと勿来市所長だった方(小宅さん)に聞きました。

2021-09-23 10:55:15
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足。この提案は予算も政策も可能だと強調したい。 1)1996年の中教審答申で2001年からの、あの愚かな「ゆとり教育」。これも2001年に、当事者だった有馬朗人元文部大臣は「あれは減らしすぎた」との論文を公開。ci.nii.ac.jp/naid/400051820… 実際に、2009年の指導要領から一部の揺り戻しが進行中だ。

2021-09-23 11:32:42