1870年フランスの馬車の運転手が着ていたオーバーコートは驚くべき生地と製法で仕立てられていた、というお話

なんかグッとくるお話
873
衣服標本家:長谷川 @rrr00129

ガラスのない美術館【 半・分解展 】を主宰。 Xでは18世紀〜20世紀初頭の個人コレクションを詳しく紹介します。 重衣料の構造が専門です。 仕事依頼はリンクから↓

rrr129annex.blogspot.com/p/r3.html

衣服標本家:長谷川 @rrr00129

1870年フランス 馬車の運転手が着た「コーチマンズ・オーバーコート」を紹介します 未使用の状態で150年間眠っていたものを買い取りました 私はこれまで「男性使用人」のさまざまな衣服を紹介してきました 花形使用人であるフットマンと比べながら、その差異を見ていきましょう pic.twitter.com/HxXuUUxzuc

2021-09-26 12:14:41
拡大
拡大
拡大
リンク Wikipedia 御者 御者(ぎょしゃ、馭者)とは、馬などの使役動物を動力とする馬車やキャリッジなどを乗り物の専用座席から操作する作業者(運転手)である。英語では、Coachman、coachee、coachy、whip などの呼び名がある。アイルランドでは、 jarvey もしくは jarvie と呼ばれる。荷車(カート)の場合は、カーター、複数の馬やラバなどを扱う御者はチームスターと呼ばれる。 ハンガリーのコチ(Kocs)という町の名が、後にヨーロッパ中に広まった馬車の名前に付けられ、英語だけでなくドイツ語やスペイン語でもコ
リンク Wikipedia フットマン フットマン(英: footman)とは、イギリスの男性家事使用人(召使)をいう。従僕とも。 フットマンという名称は、貴族の馬車の横、または後を随走する役割を持っていたことに由来し、多くはその身体的能力によって選ばれた。彼らは主人の馬車が溝や木の根によって転覆することがないよう、その横を伴走し、また、主人の目的地への到着の準備をするために、前を走ることもあった。こういった役割は「ランニング・フットマン」と呼ばれ、歩兵などの非乗馬の兵士を任命したものを指してそう呼ばれた。 後に、動員を解かれた将校が気に入った 2 users 1
衣服標本家:長谷川 @rrr00129

雨風に晒される御者(コーチマン)は使用人のなかでも重労働の仕事でした 彼らは馬の管理も任されており、他の使用人と違って馬小屋に寝室がありました また昇進を期待できるポジションでもありません そんなコーチマンの身体を守るコートは、驚くべき生地と製法で仕立てられています pic.twitter.com/i3iskjUQRW

2021-09-26 12:21:01
拡大
拡大
拡大
衣服標本家:長谷川 @rrr00129

写真では絶対に伝わらないのが心苦しいです 私がこれまで触れてきた生地とは明らかに一線画す手触りです まるで、古びたダムのコンクリートに触れているような無機質で圧倒的な質量が、指先から伝わってくるのです 重さも半端じゃありません 抱きかかえるように持たないと支えられない重量です pic.twitter.com/B8pQoHTjfb

2021-09-26 12:30:12
拡大
拡大

同じ使用人でもこの違い

衣服標本家:長谷川 @rrr00129

フットマンの派手なコートと比べれば、同じ使用人でも求められるものが如何に異なるか一目瞭然です 装飾は一切なく、ただ背景に徹し、馬を操る 上司にあたるフットマンと共に黙々と主に仕えました 雨風から身を守るために、コーチマンの服だけには「裏地」に大きな特徴がありました pic.twitter.com/djZhkFT5Yj

2021-09-26 12:36:55
拡大
拡大
拡大
衣服標本家:長谷川 @rrr00129

裏地には「ウールのボア」が縫い付けられています コンクリートのようなメルトンウールの表地では雨をはじくことは出来ても、寒さから身を守ることができなかったのでしょう 腰から膝下、そして背中全面をボアで覆い尽くし防寒性を高めています pic.twitter.com/U8PzH7Gfo1

2021-09-26 12:41:42
拡大
拡大
拡大
衣服標本家:長谷川 @rrr00129

衿の仕立てに、心から感動しました 技術者は生で見てください 大量生産社会では想像すらつかない仕立てです この重厚な生地を、いかに人体で最も丸みを帯びている「首」に沿わすか と同時に、衿をロールさせて身頃に馴染ませる技術、耐久性を考えた細部の始末 これは、最も激しい静寂です pic.twitter.com/R0Uf2EvsJz

2021-09-26 12:47:35
拡大
拡大
拡大
Pz @Pz27

詰襟の上から更に折襟を着けた様な構造なのか……

2021-09-26 14:11:19
カレン @karenprismix

いや襟のパターンエッグい、、、すご、、、かわよ、、、。

2021-09-26 13:26:50
KEIKO(いぬちよ)🧚‍♀️ @jyuurant_IBZ

「最も激しい静寂です」 よい表現だなあRT

2021-09-26 13:43:49
衣服標本家:長谷川 @rrr00129

裏地には増し芯を留める芯押さえステッチが確認でき、アームホールにはゆとりを解放するクンニョが2つあります 袖口のステッチワークも秀逸で、当時の製図書を読んでみるとコーチマンズコートには連続するステッチ規則が示されています では、19世紀の本にどのように書かれていたか紹介します pic.twitter.com/hQc0Jiiz94

2021-09-26 12:53:01
拡大
拡大
拡大
衣服標本家:長谷川 @rrr00129

1890年イギリス「使用人の案内書」には、現代にも通じる悲しい現実が書かれています ”自動車の急速な普及により、コーチマンズはシーファー(お抱え運転手)に代替えされる コーチマンズコートは仕立てるよりも既製品で良い、シーファーの短い上着(3枚目)を仕立てましょう” 時代は繰り返します pic.twitter.com/jr9qyJQwzb

2021-09-26 13:01:50
拡大
拡大
拡大
衣服標本家:長谷川 @rrr00129

馬車は1910年ごろまでは生き延びます 鉄道も充分に発達した時代に、馬車文化を盛り上げた「女性コーチマンズ」がいました 自由な働き方をする女性たちの姿は、当時のマスコミの恰好の的となり多くの写真が残されています むしろ目立たなかった男性コーチマンより写真が見つかります pic.twitter.com/7sTwQvaOtn

2021-09-26 13:12:42
拡大
拡大
🏴󠁧󠁢󠁷󠁬󠁳󠁿yukikaze🏴󠁧󠁢󠁷󠁬󠁳󠁿 @yuki_bateauivre

めちゃくちゃ勉強になる。服の向こうから当時の人の生活の息吹が伝わってくる。 twitter.com/rrr00129/statu…

2021-09-26 12:44:56
マモ@革靴とか服とか @FittingDiary

先日、ご縁があって着せて頂いた1870年フランス デッドストックの馭者のコート。両手で抱えなければならないほど重いこのコートを着た感想は「鎧」。屈強な人が雨風の中馬車を走らせ、乗客の重い荷物を積み下ろす。それに耐える服。そんなイメージでした。 twitter.com/rrr00129/statu… pic.twitter.com/0fCWLyBE3f

2021-09-26 13:46:09
拡大
グリルドブリーム東 @w_east

重労働と専門的な技術を強いられるのに、決して日の目は当たることなく車に取って代わられていった悲しい役どころなのだなぁ…>RT

2021-09-26 13:14:21
isii marico @min_underthesun

衣服研究というジャンル。映画の中の背景の一つをクローズアップしてみると驚きの世界が。このコートを作った仕立て屋さん、150年後に遠い国でこんな風に感動されていることを知ったらうれしいだろう。 twitter.com/rrr00129/statu…

2021-09-26 14:06:58
akira @akira39_

プロフェッショナルのための衣装、格好良いなぁ。

2021-09-26 12:47:02

実際に触れてみたいという方はこちらへぜひ↓

衣服標本家:長谷川 @rrr00129

【半・分解展】では、貴族・使用人・軍人・労働者それぞれの文化を「衣服」を介して体験できます 実際に触れて袖を通すことで、より鮮明に当時の人々の生き様が感じとれるでしょう 半・分解展 大阪展(10.24~11.1)にぜひお越しください ↓ sites.google.com/view/demi-deco…

2021-09-26 13:18:45
リンク sites.google.com 半・分解展 ヴィクトリア朝のドレス展 1 user 69

関連まとめ