四の舟×おろし丸による 『スケッチブック リレー小説~梶原姉弟 おさんぽ編~』

スケッチブックの知識必須。カップリングというよりも、以前のような姉と弟のやさしいお話。少し遊びました。
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四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 日曜日。僕は姉ちゃんと二人でさんぽに出かけることになっていた。久しぶりの姉ちゃんとのさんぽ。学校でも友人関係でも、そして恋愛関係でも、いろいろと忙しい合間を縫って、日曜日は志免の櫓を見にいくことにしていたんだ。

2011-08-22 23:52:33
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 幸い好天にも恵まれた日曜日、朝ごはんを軽く済ませると僕と姉ちゃんは一緒に駅まで向かった。「何だか久しぶりだね。」(うん、うん)姉ちゃんはいつものようにマイペースだ、

2011-08-22 23:54:41
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 駅に着き、電車に乗り、目的地の志免の最寄り駅へ向かう。姉ちゃんはさんぽの時、自転車には乗るつもりはないのを知っている。どこへ行くにも、ひたすら歩くんだ。本来なら自宅から歩いて志免まで行くこともあるようだが、今日は僕がいるためか電車を使うことにしたらしい。

2011-08-23 00:01:59
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE がたんがたん、がたんがたんと心地よい振動とともに電車は走る。歩いている時の何倍の速さで飛ぶ風景を見ていくのも悪くはない。(…あお、次の駅で降りるよ)「え?まだ目的の駅じゃ」(いいのいいの)…どういうことだろうか。

2011-08-23 00:04:11
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 電車を降りると、姉ちゃんは駅からすぐのおにぎり屋へと入って行った。(あお、待ってて~) そう言って姉ちゃんがお店に入り、しばらくしたらおにぎりの弁当とお茶を買ってきてくれた。(おさんぽの、必需品なのだ)「へー。姉ちゃんいつもここで買うんだ」 (うん)

2011-08-23 00:06:45
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「それじゃ、行こうか」(うん…)と、自然に姉ちゃんは僕の手をきゅっと握った。ごく当たり前の姉弟の行動という点ではなんら不思議なものではないのだが、その柔らかい感触に少しドキッとしてしまった。

2011-08-23 00:08:32
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「姉ちゃん?」 (あお、ここから先、行き方知らないでしょ?だから、連れて行ってあげる) 「・・・・待って。まさかここから歩くの?」 (? そうだよ) 甘かった。姉ちゃんとのゆったりしたさんぽというわけではないようだった。 (・・・一時間もあればつ着くよ)

2011-08-23 00:11:17
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE でもこうして一緒に歩くと言うのも悪くはない。普段はあまり見る事の出来ないアクティブな姉ちゃんの表情というのもなかなか新鮮だ。(あ、猫)「ああ、本当だ。」姉ちゃんの視線の先には、仏頂面で昼寝をしている猫がいた。

2011-08-23 00:14:04
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 姉ちゃんと歩いていると、ネコとも触れ合えるから楽しい。ネコをなでているとき、姉ちゃんはすごく嬉しそうだ。喜びのオーラが体中から溢れてきている。そんなオーラをまともに浴びて、僕まで癒されてしまう・・・のだが。「姉ちゃん、そろそろ行かないと日が暮れちゃうよ」

2011-08-23 00:19:42
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE (うん…)少々残念そうな顔をして、仏頂面の猫と別れた。(さっきのネコ、なんて名前にしようかなあ…)「何姉ちゃん、この辺りの猫一匹一匹に名前つけてるの?」(うん)

2011-08-23 00:21:39
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「どのくらいの数のネコに名前つけたの?」 (うーーん。いっぱい) いっぱい・・・というからにはほんとにいっぱいなんだろう。うちの姉ちゃんのいっぱいは、とにかくいっぱいだ。下手をしたら福岡中のネコに名前をつけてしまっているかもしれないからすごい。

2011-08-23 00:24:46
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE ぶらぶらと歩いていくと、人の通りもだんだん少なくなってきた。志免の櫓にも段々近づいてきているようだ。(あお、ここでちょっと休憩しよ?)「ん、良いけど…」

2011-08-23 00:27:47
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko (はい、お茶) 「あ、ありがと・・・」 手渡されたコップには冷たい緑茶が注がれていた。姉ちゃんを見ると、お茶をすすって(ほうっ・・・)と一服していた。その横顔を見ると、もう幸せな気分が溢れてる。姉ちゃんのそんな顔は、僕も幸せにしてくれる不思議な力がある。

2011-08-23 00:33:48
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 冷えたお茶を、そっと飲んだ。なんとなくそれだけで、姉ちゃんと同じような気分になれる。「ほうっ……」と、姉ちゃんのそれと同じように一服ついてみた。涼やかな風が、ふ、と吹いてきた。

2011-08-23 00:36:00
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「なんか、ひさしぶりだね。姉ちゃんとこうしてさんぽするのってさ」 (そだねー・・・) 「天気もいいし、風は心地いいし、なによりお茶がおいしい上にネコにも会える」 (うんうん) 「あと・・・」 その言葉を言うとき、僕は顔を赤くした。「姉ちゃんも、いるし」

2011-08-23 00:39:42
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE (…あお)姉ちゃんの顔が、みるみる赤くなっていく。水銀温度計の目盛りが上がっていくかのようだ。「…行こうか、日が暮れちゃうよ。」(う、うん…)何故か姉ちゃんは、手をつなごうとはしなかった。

2011-08-23 00:41:25
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 僕と姉ちゃんは歩きながらしばらくは雲を眺めたり、「除行」の看板を見て笑ったりしながら、のんびりと歩きながら志免まで向かっている。だが、さっきまでのように、僕と一緒に手をつないではくれなかった。別に普段から手をつなぐことはないのだけれど、なんだか寂しい。

2011-08-23 00:46:26
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE そうこうしているうちに、目的の地についてしまった。「相変わらず近くで見ると大きいね。」(うん…)そう言うと姉ちゃんは、リュックからスケッチブックを取り出して、デッサンを始めたのだった。

2011-08-23 00:48:11
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「やっぱ、スケッチするんだね」 (うん・・・) 鉛筆を取り出し、描く構図を決めたらしい姉ちゃんは、スケッチブックに向き直った。すると (あお、そこ立ってみて) 「えっ。俺も描くの?」 (うん。せっかく一緒に来たんだもん。記念に) そう姉ちゃんは言った。

2011-08-23 00:51:00
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE (自然な感じで立ってくれればいいから、すぐ終わるよ)「…わかった」まあこう言うのも、悪くはない。それにこういう場に来て姉ちゃんがデッサンをしない時はないし、そうした時僕自身どうするかは考えていなかったから、案外気は楽だった。

2011-08-23 00:53:09
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 櫓をスケッチブックの中に収めるために、姉ちゃんは僕からだいぶ距離を取っていた。黙々と描く姉ちゃんと、その目線の先で突っ立っている僕。僕なんか年齢的に見て、「まだまだ子供だな」とうしろに立つ櫓から笑われそうだなと、まるで姉ちゃんのような空想を働かせていた。

2011-08-23 00:58:05
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE ふと、視線だけを上に向けた。綺麗な青い空が、広がっていた。(空、か……)はじめて学校でその漢字を習った時、何故か『青』という漢字を習った時と同じような晴れがましいような、恥ずかしいような感情を抱いたのを、ふと思い出した。

2011-08-23 01:00:00
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 僕の名前と、姉ちゃんの名前って、二人で一つの意味なんだな、と、なんだか恥ずかしいことを考えてしまって、僕は苦笑した。(あお~。できたから、いいよ~) 姉ちゃんはようやく描き上げたようだ。「んっ。わかった」 突っ立いたので、少し伸びをした。

2011-08-23 01:02:46
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「姉ちゃん、どんな風になったの?」(えへへ、帰ってからのお楽しみ)「なんだよそれ?」何故か知らないけど、姉ちゃんは妙に上機嫌だった。

2011-08-23 01:04:15
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko (じゃあ、かえろっか) 「あっ、ちょっと待って」 (?) 僕はポケットに忍ばせておいたデジカメを取り出した。(でじかめ?) 「うん。僕も記念写真を撮りたいなって。あそこにいるオートバイ乗りみたいな人に撮ってもらわない?」

2011-08-23 01:08:20