ヴェルヴェット・ソニック #6
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
【あらすじ】 ダークカラテエンパイアの狩人、サロウとの戦いの果て。 ニンジャスレイヤーは「ユメミル・ジツ」を濫用するニンジャ、サロウを爆発四散せしめるも、その直後に心停止し、脳波フラットラインした。
2021-09-30 21:34:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「狩人サロウ、爆発四散」セトは低く言った。邪悪なるコトダマの地平、ダークカラテ荒野に風が吹き、上空のキンカク・テンプルは冷たい光を投げかける。リモート石碑に映るリアルニンジャの影達が身じろぎした。「骨のない狩人であった。やはり我がメイヘムしか勝つ事なし」アイアンコブラの声。1
2021-09-30 21:39:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「次の狩人を決めるのだ」ヴァインが言った。セトは何か言おうとしたが……「だが見よ。獣を」ギャラルホルンが、既に狩人を失ったオブザーバーとして注意深く指摘した。廃遊園地を映すホロ映像。「ニンジャスレイヤーもまた、随分長く動かぬようだが……衰弱死した可能性は？」「何？」 2
2021-09-30 21:43:28
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「この場合どうなるのかね？裁定は」ギャラルホルンは興味深げにセトに尋ねた。「何をか愚かな……」シャン・ロアがシュウシュウと息を吐いた。「狩人とは獲物を仕留め凱旋するもの。出陣から生還までが狩りである。仮に獣が死んでいたとしても、それは狩人サロウの手柄とはならぬ。無効試合だ」 3
2021-09-30 21:46:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「ニンジャスレイヤーが死んだのならば、ただ粛々と次の獣をさだめよ。カリュドーンを継続する」ヴァインが言った。「当然だ。そして次こそ狩人は我がメイヘムとなろう。メイヘムは最も強い。誰の目にも明らかな勝利を我にもたらす」「フゥーム……」ギャラルホルンは顎を擦った。「はっきりせんな」 4
2021-09-30 21:49:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「セト＝サン。裁定をくだせ」ケイムショが促した。セトは腕組みし、やや俯いた。そしてその時、読者の貴方は気づいたであろう。最も勝利を無理矢理にでも主張するべきオモイ・ニンジャの気配がここに至っても感じられない事に。リアルニンジャたちも貴方と同じ事を考えている。「……」「……」 5
2021-09-30 21:52:23
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「010001……セッカチィ……001001」ノイズと笑い声混じりの声が、不在じみた石碑から響いた。「01001黙って0001001見ているがいい010001」廃遊園地ホロ映像がノイズでささくれ立ち、歪み、その図像はひととき、オモイ・ニンジャの不穏な笑顔にかわった。 6
2021-09-30 21:55:23
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KBAM！再びファイアウォールが爆発した。「任せろ！」SPLAAASH！三度目ともなればザックも慣れたものだ。消火器を構え、素早くボヤを消してみせる。「タキ＝サン、ファイアウォールの予備がもう無くなっちまうぜ！」「……！」タキは涎を垂らしながらタイピングを加速。モニタに「どうにかしろ」。7
2021-09-30 21:59:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「どうにか、ッたって、そりゃ……そうだな。俺の役目だよな」ザックはデッキの傍でライトを明滅させるモーターツクモを睨んだ。モーターツクモは察し、釘をさした。「おかしなことを考えないでください。私を直結してもファイアウォールにはなりませんよ。爆発してしまう」「ダメか。クソッ……」 8
2021-09-30 22:01:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「頑張れ、頑張れ、ナンシー＝サン！ニンジャスレイヤー＝サン！コトブキ＝サン！そして、タキ＝サン」モーターツクモはリズミカルに明滅し震動している。それを横目にザックはファイアウォール機器を繋ぎ変えた。「此処にあるヤツはこれで最後。これがブッ壊れたら……ジャンク屋に買い出し行くか」 9
2021-09-30 22:04:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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タキは脂汗が額を流れるに任せ、タイピングを継続する。繋ぎ変えのタイムラグでコトダマ空間の映像が途絶え、状況把握が難しくなった。「そっちはどうだ。ナンシー＝サン。通じてるか？」彼はPINGを飛ばした。「オイ、どうなってる……」肝心の瞬間に、強烈なフィードバックが襲ってきたのだ。 10
2021-09-30 22:07:45
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タキはナンシー・リンと協力して、強大なるオモイ・ニンジャのハッキング痕跡を辿った。そしてネオサイタマの街頭カメラへ潜り込み、移動するサロウの物理肉体を捉え、コトブキに送信。以て、彼女を誘導し、直接物理肉体を攻撃させた。最終的には人気のない廃遊園地に戦場を定める事に成功したが。 11
2021-09-30 22:11:16
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「ここまでの見事なステルス状態、そこから転じて、敢えて気配を晒してのデコイ行動。これらの的確な作戦行動は、ナンシー＝サンの助けあればこそです」ツクモは強調した。タキは電子舌打ちした。「ンな事はわかってンだよ。あんな攻性アカウントに直視されでもしてみろ。お前もオダブツなんだぜ」12
2021-09-30 22:14:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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然り。ナンシーでも、「隠れる」「裏をかく」が精一杯だ。「そんな、私を壊させないでください……！」「あと、お前の電気代はオレから出てる。オレがご主人さまなんだよ。忘れンな」「嗚呼……」ザリザリザリ……その時、ナンシー・リンとの通信復帰をタキのニューロンが知覚した。「平気か！」 13
2021-09-30 22:18:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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コトダマ空間に「YCNAN」のアカウントが可視化された。ナンシー・リン。彼女のオイランドロイドの肉体は、ウシゴームのIPから複数のプロキシを経由し、フジサンのIPアドレスに繋がっていた。霞の中に彼女の自我がある。それはタイピング速度のラグ要因でもある。「そうね。私は平気」「アンタは？」 14
2021-09-30 22:23:46
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「つまり……」01010。ファイアウォールが正しく駆動し、監視カメラ映像が戻ってきた。タキは電子的に身を乗り出した。「オイ！どうなってる！くたばってるンじゃねえだろうな！？」不明瞭な映像では、ニンジャスレイヤーは仰向けに倒れ、傍らにコトブキとナンシー！「それにサロウはどうなった！」 15
2021-09-30 22:26:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「その答えは繋がってる」ナンシーは言った。「敵は爆発四散したわ。そしてニンジャスレイヤー＝サンは……」追加窓が開いた。バイタル情報。フラットライン。「勿体つけンな！ふざけるなよ。それで……それから、どうなったかッて訊きたいんだぜ、こっちは！」「まだ終わってない。何も！」 16
2021-09-30 22:30:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「終わ……」「蘇生処置を継続してる」コトブキが必死に動いている。だがフラットライン情報は無情だ。「蘇生ッたってよォ！」「落ち着きなさい。私はフラットラインには詳しいの。貴方は引き続き防御に気を配って。敵のハッカーはサロウだけではない」「そりゃ……」KBAM！ファイアウォール爆発！ 17
2021-09-30 22:34:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「クッソ！換えたばっかりだッてのに！」買い出しの準備をしようとしていたザックが毒づき、再び消火作業！「タ、タキ＝サン、どうしよう、このままじゃ……」ブツン！再び通信が途絶した。「チクショウ！」タキはデッキを殴りつけた。「知った事じゃねえよ！」彼は再び突入した！ 18
2021-09-30 22:37:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「なにか妙だぞ」アグラ姿勢でブラックティアーズの水晶ホロ映像を凝視していたウーガダルが腰を浮かせた。「妙とは？なにか気づいたか」アヴァリスが尋ねた。ウーガダルは低く答えた。「……否、気づいたのではない。気づいていた。そして恐らく、オヌシらもな」「フン」メイヘムは鼻を鳴らした。 20
2021-09-30 22:40:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「狩人サロウ＝サンは爆発四散した。獣であるニンジャスレイヤー＝サンの生死を確かめねばならぬ」「それは為される。適切にな」ブラックティアーズは頷いた。ウーガダルは首を振った。「適切の定義が怪しいものだ」「なにか懸念があるならば、申せ」「サロウ＝サンに与する力を感じる」 21
2021-09-30 22:43:21