屁がデカい女が嫁に来る昔話が気になって仕方ない

へっこき嫁ご、へっぷり嫁さ、へこき嫁など、様々な名前で呼ばれてる昔話の絵本を読み比べました。
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猿田 @Ryokansato

2、3日前から気になっていたことがある。日本の民話でへっこき嫁ご、へっぷり嫁さ、へこき嫁、名前は色々あるが、とにかくめちゃくちゃでかい屁をこく女が嫁に来る話があるが、ゆるく大まかな流れがあっても、絵本など再話されたものの細部の違いの幅が大きくないか?ということだ。

2021-10-05 19:24:11
猿田 @Ryokansato

とりあえず図書館から10冊、へっぴり嫁ごの絵本類を集めてきたので読み比べたいと思う。

2021-10-05 19:25:52
猿田 @Ryokansato

まずは「母と子の日本おはなし名作2」91年小学館刊の「へっぴりよめご」。いわゆる、ライターもイラストレーターも話ごとに異なるアンソロジー形式の本だが、再話者は西本鶏介。児童文学の大家である。多分これがスタンダードなへっぴり嫁ごだと思う。 pic.twitter.com/BMrkKVSmM9

2021-10-05 19:32:08
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猿田 @Ryokansato

老いた母親と息子のところに嫁が来る。嫁の顔色がだんだん悪くなるので、姑は嫁に尋ね、嫁は屁を我慢していると答える。屁ぐらい好きにすればいいと言うと、嫁は屁をひるが、その屁の勢いで姑が飛ばされそうになり、それを理由に姑は嫁を追い出す。

2021-10-05 19:36:16
猿田 @Ryokansato

嫁がひとりで実家に帰る途中、梨の木の前で呉服屋と小間物屋が高いところにある梨の実が取れないかと思案している。嫁が梨を屁で取れると言うと、二人は笑い、屁で梨を全て落としたら商品を全てやると証文を書く。嫁は屁で梨を全て落とし、2人の商品をもらう。

2021-10-05 19:39:57
猿田 @Ryokansato

そこに、仕事で遠出していて嫁と姑のやり取りを知らない夫が戻ってきて、荷物を嫁と2人で分けて担いで家に帰り、姑に嫁を家に置くよう説得する。夫は嫁が屁をひるために離れを建てる。これが“部屋”の始まりという。

2021-10-05 19:44:11
猿田 @Ryokansato

多くの人のイメージの中にあるへっぴり嫁ごはだいたいこういうものではないだろうか。

2021-10-05 19:45:18
猿田 @Ryokansato

2冊目。「へっこきよめご」80年ひかりのくに刊。再話者は天神しずえ。 pic.twitter.com/KY1NCkX4Zt

2021-10-05 19:47:22
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猿田 @Ryokansato

嫁が来て、顔が青くなり、姑が優しく嫁に屁を促すまでは通常通り。屁の勢いで姑は天井に体を打ち付けて落ち、こぶだらけになってしまう。それを見た夫が怒り、嫁を実家に連れて行く事になる。

2021-10-05 19:50:18
猿田 @Ryokansato

夫と嫁の道中、峠で柿の木の前で呉服屋が取れないものかと思案している。嫁の屁で柿が落ち、反物をもらう。これを見て嫁を帰すのが惜しくなった夫。仲直りを提案するが嫁は尻を夫に向ける。急いで帰りましょう、と嫁の屁で夫と柿は婚家に飛ばされ、嫁はあとから帰ってくる。夫は怪我もなく、部屋を作る

2021-10-05 19:55:10
猿田 @Ryokansato

嫁の屁で何が起きるのか、誰の意思で嫁が実家に帰されるのか、嫁は1人で帰るのか夫に帰るのか、帰路に立つのは梨か柿か、誰がいるのか、夫と姑の関係はどうなるのか、大筋は合っていてもここまで違う事に僕は驚いた。

2021-10-05 19:57:35
猿田 @Ryokansato

3冊目、「はじめてのめいさくしかけえほん16 へっこきよめさ」99年学研刊。再話者は不明。しかけ絵本なので、めくると絵が変わるという楽しみがある。 pic.twitter.com/6DllrJUGbT

2021-10-05 20:01:17
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猿田 @Ryokansato

姑が屁を促すまでは他と同じ。嫁が屁をひると、姑は大根畑まで飛ばされ、飛ばしすぎた嫁は屁を吸って姑を大根ごと家に引き戻す。屁の能力が1段階アップされている。姑に怪我の表現はない。 pic.twitter.com/d3xMdMfux6

2021-10-05 20:06:53
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猿田 @Ryokansato

しかし、夫はこれに怒り、嫁を実家に帰しに連れて行く。その途中、2人は米俵をたくさん積んだ船が動けなくなっているのに出くわす。嫁は屁で船を動かすと、遠く小さくなっていく船に向けて屁を吸う事で、お礼として米俵をいくつか引き寄せる。

2021-10-05 20:10:06
猿田 @Ryokansato

これを見て喜んだ夫は、嫁にもう一度嫁になってくれと言い、嫁は今頃そんな事を、と夫と米俵を婚家まで屁で飛ばす。夫は二度と嫁に帰れとは言わなくなり、嫁は部屋を作ってもらう。

2021-10-05 20:12:59
猿田 @Ryokansato

屁の能力追加、梨や柿の木ではなく船、という違いがあるが、僕は部屋を作る主体が夫ではなく嫁になってるところに機微があると思う。

2021-10-05 20:14:35
猿田 @Ryokansato

4冊目、「へっこきよめさん」05年くもん出版。再話者は小澤俊夫と柄澤香。小澤俊夫は昔話研究の大家。 pic.twitter.com/CHFX2MBifM

2021-10-05 20:18:27
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猿田 @Ryokansato

嫁入りの際に、付き添い人がこの娘はすこし屁をする、と前置きをしている。他の本と同じく姑に屁をしたいと打ち明け、姑を柱に抱きつかせて屁をひるが、この絵本の嫁は屁をひる前に呪文を唱える。姑は裏の畑まで吹っ飛ばされる。

2021-10-05 20:21:52
猿田 @Ryokansato

姑に怪我はないし、嫁に悪感情もないが家に置いてはおけないと、姑が村の境まで嫁を見送りに行くことに。すると、村人が集まって木が高すぎて梨が取れないと悩んでいる。すると嫁が呪文を唱えて屁をひり、梨の実を落とし、村人に感謝され、梨をたくさん貰う。姑も喜び、嫁も実家に帰ることはなくなる。

2021-10-05 20:27:48
猿田 @Ryokansato

そして、姑が嫁のために部屋を作る。 夫の存在感がほぼない、嫁と姑の関係性が前面に出て、屁が財を生むという嫁の有用性だけでなくコミュニティに受け入れられる要素も出してきたへっこき嫁さんだった。

2021-10-05 20:31:04
猿田 @Ryokansato

5冊目。「ワールドわらいツアー」00年童心社。「へっぴりよめさん」再話者は望月正子。絵本ではなく読み物になる。嫁さんはかなりかわいい。 pic.twitter.com/WweapjioL3

2021-10-05 20:36:44
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猿田 @Ryokansato

姑に聞かれて、嫁が子供の頃から屁をひる子で、母親から嫁に行ったら決して屁をひるなと言いつけられていたと告白している。嫁の屁で姑は屋根に突き刺さり、吸い屁(多分へっぴり嫁ご業界の専門用語)で炉端に叩きつけられ、怪我をする。夫は怒りはしないが嫁を実家に連れていく。

2021-10-05 20:42:24
猿田 @Ryokansato

夫と嫁の2人道中、梨の木に子供達が石を投げるが取れず、嫁が屁で梨を落としてやり、夫も梨を食べて喉を潤す。次に立ち往生した千石船に会い、屁で動かすことで船頭から米を10俵貰い、嫁を見直した夫と2人で大八車で引いて家に帰り、夫は部屋を作る。

2021-10-05 20:47:13
猿田 @Ryokansato

これにも吸い屁が出てきたが、特に何も悪い事をしていない姑を傷つけるためだけに使われている。こちらは夫が怒らず抑制的で、嫁と2人でいる時間が関係を修復というか嫁を諦めさせない方向に向けさせたように思える。

2021-10-05 20:50:32
猿田 @Ryokansato

6冊目。「へっこきよめさま」12年講談社。再話者は令丈ヒロ子。令丈ヒロ子は今だと「若おかみは小学生!」がいちばん通りがいいだろうか。絵を担当したおくはらゆめも絵本の世界ではビッグネーム。さすが絵本の講談社。 pic.twitter.com/KYGdb7VOsm

2021-10-05 20:56:45
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