抗原提示細胞には、樹状細胞・マクロファージ・B細胞の3つあり、どれもMHC(2)を用いてヘルパーT細胞に抗原提示を行う。樹状細胞の抗原提示とマクロファージ・B細胞のそれは本質的に違うということを理解するのは重要です(2021.10.17作成) #忽那賢志 #SARS-CoV-2 #COVID-19
- uchida_kawasaki
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(プロ)抗原提示細胞には、樹状細胞・マクロファージ・B細胞の3つがあり、どれもMHC(2)を用いてヘルパーT細胞に抗原提示を行うのですが、樹状細胞の抗原提示とマクロファージ・B細胞のそれは本質的に違うということを理解するのは重要です。このことを解り易く解説しているのが河本さんの図です。 pic.twitter.com/xGVZ2iypyE
2021-10-16 19:30:13この図の中でMHC(2)の抗原提示は左半分なのですが、樹状細胞は(自分自身ではなく)ヘルパーT細胞を活性化しているのに対し、マクロファージやB細胞は(T細胞ではなく)自分自身を活性化していることが示されています。 covid19-taskforce.jp/opened/immune-… pic.twitter.com/29a5f0Ntyn
2021-10-16 19:30:14図中では「わしの担当や!」「どんどん作ってーや!」「もっとはたらいてーや!」というセリフで、どちらがどちらを活性化しているのかを示していますね。 pic.twitter.com/hD5vogrHKg
2021-10-16 19:30:15マクロファージの抗原提示はちょっとややこしいのだけど、その理由は「マクロファージは自然免疫を担当していて、自然免疫には抗原特異性はない」と教わったりするからかもしれません。マクロファージの抗原提示が、適応免疫のB細胞の抗原提示と同様ならば、マクロファージも抗原特異的ではないかと。
2021-10-16 19:30:16この点、ちょっと詳しめの一般向け免疫学の解説本であれば、自然免疫と適応免疫が完全に分離されたものではなく、適応免疫から自然免疫の活性化の話も説明されています。例えば、こんな本。 bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0…
2021-10-16 19:30:17それ以外にも、学界的にも樹状細胞の発見とマクロファージとの混同というものが歴史的にはあったらしく、その辺の歴史的経緯については、以下の本に書いてありました。 nhk-book.co.jp/detail/0000008…
2021-10-16 19:30:17ところで、忽那賢志のmRNAワクチンの解説がデタラメな訳ですが、サイエンスzeroが無難な解説をしてくれていますよね。完璧な解説ではないけど一般的にはこんな感じで理解しておくのが無難なのではないでしょうか。 youtube.com/watch?v=2JhwNg…
2021-10-16 19:30:18覚えておくべきことは、抗体というのはB細胞が自身の受容体で抗原を捕えて貪食し、(それだけでは十分ではないけれと)その後B細胞が抗体を産生するようになるということですかね。河本解説図では「くっついたから食べてやろ」の部分。 pic.twitter.com/pTLSLr5JlT
2021-10-16 19:30:19忽那賢志は「スパイク蛋白はマクロファージの表面に現れると、このスパイク蛋白に対する抗体が作られたり」と書いているけど、一体なんなんだこれ?最初からおかしかったけど、単語レベルで置き換えて誤魔化そうとするから駄目なんですよ。 cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/column/0001…
2021-10-16 19:30:20さておき、発展的な話題として、樹状細胞には、クロスプレゼンテーションという、内在的抗原も外在的抗原も両方とも抗原提示までもっていけるという能力があるのです(以前は知らなかったけど)。日本語資料は少ないけと例えば以下のもの。 jnpc.or.jp/archive/confer… covid19-taskforce.jp/opened/immune-… pic.twitter.com/RAAVZHaHB4
2021-10-16 19:30:21mRANワクチンは樹状細胞のこの能力を上手に使っていて、そのことがmRANワクチンの強い免疫惹起能力に寄与しているのだと思うのですが、こういうのは面白いですよね。こういう話題がもっと広まると、理系受容体をもったナイーブな若者を活性化することに繋がるのではないかな。厚労省も頑張れ!
2021-10-16 19:30:21これはナイーブなB細胞のレパートリーの豊富さと特異性を調べた研究です。結論としてはとても多様的で素晴らしかったですとのこと。B細胞のレパートリーの研究を紹介したのは、先程B細胞が抗体を産出する話をしたからです。 science.org/doi/10.1126/sc…
2021-10-17 00:17:47抗体を算出するためには、B細胞が受容体(BCR)で抗原を捕まえる必要があるのですが、B細胞は各自1種類のBCRしか持っていないのですね。一方、病原体(抗原)は沢山あるし、新型コロナみたいに初めて出会う抗原もある訳です。だから、人間側も沢山種類のB細胞を揃えています。 twitter.com/Derive_ip/stat…
2021-10-17 00:17:47このとき、人間はなんで沢山種類のB細胞を用意できるのですかという問題があったのだけど、それは遺伝子再構成というものが起きているからですと答えたのが利根川進さんらだったりします。ちなみにT細胞も似たような遺伝子再構成をするのだけど、TCRの遺伝子再構成はSTAP細胞事件のときにも話題に。
2021-10-17 00:17:48で、人間は遺伝子再構成によって沢山種類のB細胞を持っているのだけど、沢山種類のB細胞を各種沢山もっているとB細胞だらけになってしまう。そこで役に立つB細胞だけが増殖して欲しい訳だけど、それを決めるのがB細胞の抗原提示です。
2021-10-17 00:17:48B細胞が「こんなん食べたんやけど」と抗原提示をし、ヘルパーT細胞が「あんたの抗体、役に立ちそうや、どんどん作ってーや」という選択が行われて、役に立つB細胞だけが増殖し抗体を産生するようになる。これが抗原特異的な抗体の仕組みです。免疫ってよくできてるね! covid19-taskforce.jp/opened/immune-… pic.twitter.com/tVBjikdcz8
2021-10-17 00:17:49書き忘れたこととして、B細胞は各自1種類の受容体(BCR)しか持っていないのだけど、この受容体(BCR)は最終的に抗体になるのです。だから、抗原を捕まえることができる受容体を持ったB細胞を見つけ出すことがヘルパーT細胞のミッションで、そのための目印がB細胞の抗原提示なのです。
2021-10-17 01:21:58重要かつ教育的な研究です。ワクチン接種後に抗体が経時的に下がるけど追加接種をすると抗体が増えることをもって追加接種の必要性が主張されることがありますが、抗体が減少するのは当然で、追加接種で抗体が一気に増えるのはメモリB細胞が機能している証拠でもあります。 science.org/doi/10.1126/sc…
2021-10-16 22:49:26