文化芸術振興における文化庁の矛盾
久々に芸術に関する一連のツイートを始めます。今回は「日本政府の芸術的前提および視点の誤り」とでも題しておくことにします。もしかしたら中途半端なところで終わるかもしれないけれども、ご了承を。
2011-08-26 13:45:42まず読んで欲しいのが、この資料の序文(はじめに)。http://t.co/p9DhsS6 これは文化庁が発行している「文化芸術の振興に関する基本的な方針」というレポートで、読んで字の如く、どういう風にして日本の文化芸術を振興していくのか、ということがタラタラ書かれている。
2011-08-26 13:50:50あちこち論理が飛躍していたりはするものの、別に悪いことは書かれていないように思う。この中で注目して欲しいのは頭から10行目ぐらいまでの文章。ここには日本人の今の価値観に関することが書かれていて、その価値観を変えるために芸術が重要なのではないかという主張がされいる。
2011-08-26 14:30:17次にこの後半部分に注目すると、「文化芸術振興基本法」という法律が日本の文化芸術を振興する上で非常に重要だと書かれています。そこで、これを参照。http://t.co/DagRd5L これはその重要らしい法律の内容が書かれたページだが、ここにも大体さっきと同じことが書かれている。
2011-08-26 14:37:57というか、さっきよりも文化芸術を大きく捉えて、しまいには「世界の平和に寄与する」なんてことも書かれているワケだが、今言った一連のことを取り敢えず念頭に置いておきつつ、さっきのレポートの続きを読んでみる。
2011-08-26 14:40:28PDFの6枚目後半からの「2. 文化芸術の振興に関する基本的な方針」に注目。ここから文化庁、つまり政府の文化芸術に対するさっきよりも少しだけ具体的な話が始まるが、PDF7枚目左の「(2)基本的視点」というところを順番に読んでみて欲しい。何かおかしなことに気付かないだろうか?
2011-08-26 14:45:091つ目の「ハードの整備から云々」というのはともかく、2つ目の「文化芸術は、その性質上、公的支援を必要とし、同時に社会的便益(外部性)を有する公共財であり、社会包摂の機能をもつ」辺りから少し前提がおかしなことになってきている。
2011-08-26 14:47:37百歩譲って「文化芸術は、その性質上、公的支援を必要とし」というところは認めるとしようw 実際そうだと思うし。ただ、後半の「社会的便益(外部性)を有する公共財」というのは、どういう意味だろうか?僕は個人的にこれを「海外へ向けた宣伝に役立つ公共的財産」という意味に捉えた。
2011-08-26 14:54:26で、次には「社会包括の機能を持つ」と書かれているワケだが、それには多分、手前で言われている「外部性を有する公共財であれば」という前提が隠されている。つまり、何かしらの利益をもたらすものが文化芸術だ、と捉えることもできるワケだ。これは個人的な解釈なのでもちろん正解などではない。
2011-08-26 14:58:18そしてまた次を読んでみる。そこには「文化芸術への公的支援を社会的必要性に基づく戦略的投資と捉え直す」と書かれている。これは「文化芸術への公的支援を社会のニーズに応じた(利益の出る)投資を捉え直す」と読めないだろうか?それともこれは僕の拡大解釈だろうか?
2011-08-26 15:03:36さらに次には「成熟社会における成長分野として潜在力を喚起し、社会関係資本を増大する観点から、公共政策としての位置付けを明確化」と書かれており、ここでは隠すことなく文章で「資本」と言ってしまっている。ここで「これっておかしくね?」と思ってほしいところである。
2011-08-26 15:08:24そもそも大前提として物質的豊かさ、すなわち資本主義的豊かさに日本人の価値観が偏ってしまっているのをなんとかしないといけない、というのが文化庁があげる文化芸術の目的だったはずである。にもかかわらず、その対策として文化芸術を資本主義的に育てていくと言ってる。これは矛盾ではないのか?
2011-08-26 15:11:13もし仮にこれが矛盾でないとしたら、儲かる芸術(作品)こそがよい作品であり、残されるべき作品であり、支援されるべき作品である、ということになる。しかし、それは心の豊かさを育てることはないし、文化庁が求めている幸福度を上げることにも自殺率を下げることにも繋がらない。
2011-08-26 15:16:04要するに、文化庁でこういったことを決めた人達そのものが、そもそも文化芸術に対してこういった誤った捉え方をしており、その矛盾すら自覚できていないということである。これは由々しき事態ではなかろうか。
2011-08-26 15:18:04この話に深く突っ込むと近代的個人とは何か、みたいな話をしないといけなくなるので、それはさすがに割愛するが、国の文化芸術を推進する長たる者が、こういった考え方しか出来ないというのは、日本文化の衰退を裏付けているようなものである。
2011-08-26 15:25:34