野十郎のろうそく

高島野十郎の描いたろうそくが、和ろうそくなのかとよく話題になるので、個人的意見を書くことにしました。
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矢野眞由美 @elstere

高島野十郎の里帰り展が終わったので、この際、言えなかったことを言っておこうと思う。あれは「絵」なんだから、誰にも断定はできないだろうけど、野十郎氏の細部まで描いた写実画だからこそ、言える。あの野十郎のろうそくは、櫨の和ろうそくじゃない。 #hazerou #kurume

2011-08-26 22:49:04
矢野眞由美 @elstere

そもそも芯を見れば一目瞭然。細い糸芯を描いているから。糸芯で作った櫨の和ろうそくをお目にかかったこともないし、あるとも思えない。糸芯だと手がけもできないしさ。 #hazerou #kurume

2011-08-26 22:49:53
矢野眞由美 @elstere

和ろうそくじゃない理由は他にもある。蝋の色が白っぽくて少し透明がかっている。他の蝋については詳しくないので断定はしないが、私たちになじみ深い普通のパラフィン蝋の透明感がある。 #hazerou #kurume

2011-08-26 22:51:05
矢野眞由美 @elstere

もう一つ。炎の描き方だ。曲線の細かいメラメラした炎は、どちらかといえばパラフィンろうそくの燃え方に近い。櫨蝋はもっとダイナミックに大きな曲線を描いて炎が揺れる。櫨のろうそくを「揺らめく和ろうそく」と呼ぶ所以だ。 #kurume #hazerou

2011-08-26 22:52:55
矢野眞由美 @elstere

今のパラフィンろうそくが、野十郎のろうそくのような燃え方をするかといえばNoだ。今のパラフィンろうそくは、コストパフォーマンスがよいように、できるだけ炎が小さく一定するように技術革新を行った結果だ。昔は違ってたのではないかと推測している。 #hazerou #kurume

2011-08-26 22:53:33
矢野眞由美 @elstere

さらにもう一つ。櫨蝋は江戸時代に各藩の財政を支え明治時代になってもお金になる商品だった。いわば旧世界をしきるゴージャスさの象徴。だから、清貧な画家の道を選んだ野十郎とは、実のところそぐわない。 #hazerou #kurume

2011-08-26 22:54:14
矢野眞由美 @elstere

野十郎のろうそくは櫨の和ろうそくじゃない。ところが野十郎のろうそくの絵と、和ろうそくを重ね合わせる人が多いのはなぜか。私は「菜の花」にヒントがあるような気がする。 #kurume #hazerou

2011-08-26 22:54:33
矢野眞由美 @elstere

野十郎の描いた「菜の花」を見て、久留米の人間は筑後川の菜の花を思い起こす。たとえ絵を描いた当時、久留米にいなかったことはわかっていても。頭の中に筑後川の菜の花の景色があったのではないかと思ってしまう。 #hazerou #kurume

2011-08-26 22:54:51
矢野眞由美 @elstere

野十郎は醸造家の生まれで姉の嫁ぎ先は櫨蝋屋。金持ちだから小さい頃から櫨ろうそくは見慣れている。野十郎はパラフィンろうそくを見て描いていたのに、その頭の中のイメージには幼い頃からの和ろうそくがあったのではないかと思われてならない。 #kurume #hazerou

2011-08-26 22:56:56
矢野眞由美 @elstere

野十郎の絵は、菜の花に筑後川の景色が込められ、ろうそくに櫨の和ろうそくの炎が込められているのではないか。そんなことをつらつら思わせる野十郎の絵の奥深さに、人々は魅せられるのかもしれない。 #hazerou #kurume

2011-08-26 22:58:03