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病院の医療従事者の方へ向けて、病院食がなぜ一般の外食と比べて食事満足度が上がりにくいのかをお伝えしたくて、私見をツイートしたいと思います。 異論反論は起こると思われますが、個人の感想の域を超えないツイートになると思いますので、そこを考慮していただけると幸いです。
2021-11-01 21:16:10
まず食事は時間とお金がないとクォリティが下がります。お金がないと良い食材、腕の良い調理員を雇うことができません。時間が無ければ調理工程を省かなければならず、必要な調理が行えません。外食産業は大量発注、工場調理、メニューの固定化、調理工程のマニュアル化などなどで→
2021-11-01 21:29:43
この問題をクリアする努力を常に行っています。病院給食でもこういった改善方法を行っていますが、病院の厨房単位で行っても、グループ企業で行うものとは規模が違い、食事の質への効果に差が出てしまうのが現状です(セントラルキッチン方式というのもありますが、違う話になるため割愛します)→
2021-11-01 21:38:56
なぜ病院給食が食事の質のために必要な時間とお金が足りないのかを説明していきます。 ①食事療養費の問題 まずお金について、当然ですが給食には様々なお金がかかってきますが、病院給食を1食出すと基本、病院には食事療養費(Ⅰ)で1食640円の収入があります(特別食加算や食堂加算などは別) が、これ→
2021-11-01 21:53:20
だけで病院給食1食にかかる費用を工面するのは到底難しいです。例え、伊勢海老を出そうと640円だし、牛丼を出そうと640円です。「でも640円使えるなら吉野家でも大盛り食えるし…」という意見は良く聞きます。 この1食640円がなぜ病院給食にとって厳しい予算なのか?それは以下の要素があるからです→
2021-11-01 21:59:04
②食事摂取基準と献立の問題 主に普通食についてでお話させていただきますが、病院の入院時食事療養は病院毎の約束食事箋と呼ばれる主に食事摂取基準を元にした栄養価で給食を提供し、患者さんの治療のサポートが出来るように栄養状態の維持改善を行っています。そのため→
2021-11-01 22:06:24
「栄養価を満たした」「美味しい」食事を出すために献立を立てる栄養士は頭を悩ますのですが、これが永遠の課題で、極端に言うと「牛丼に 玉ねぎを入れたら美味しくなるが、栄養価的にはパプリカを入れないと満たせない」的な問題と常に直面するのです。もちろんそれをクリアするのが栄養士の→
2021-11-01 22:10:31
専門分野なのでそこをなんとかするのですが、ここでまた難敵なのが給食は基本的に一汁三菜でお出しするのですが(麺やパンは別です。あと塩分の問題で汁が付かないことが増えてますがここでは割愛)つまり他にもおかずがあることなのです。どういうことかというと、→
2021-11-01 22:16:58
「牛丼は美味しく出せそうだけど他のおかずも付けないといけないし、栄養価も足りない…て、あれ?おかず2品も付けるには食材費足りない?」っていうことがよく起こるのです。640円で栄養価も味も満たされる食事でおかずも三種類あって、汁物もついてる、しかも毎食違うおかずで、というのはかなり→
2021-11-01 22:20:48
難しいのです。外食チェーンはメニューを固定化するなどで食費を抑えていますが、給食は患者さんが飽きないように色々なおかずを出そうと頑張ります。そのため、1食にかかる費用は毎回変動し、コスト管理が難しいのです。 ③食品高騰の影響 これは皆さんもよくご存知だと思いますが、食品の高騰が→
2021-11-01 22:24:40
起きる度にニュースになりますよね?もちろん食品の値段が上がれば食事の値段も上がるので外食チェーンの値上げはよく目にすると思います、が給食はどんなに食品の値段が上がろうと640円しかもらえません。なので、その中でやりくりする必要があります。しかも栄養価も守るので…ほんとに厳しい→
2021-11-01 22:28:54
状況に置かれていると思います。 ④衛生管理の費用や諸経費 給食は大量調理マニュアルというものに従って、給食で食中毒が起こらないように衛生管理を行っています。もちろんこれもやる気だけではできません。ペーパー、消毒液、洗剤、袋、マスク、手袋、ラップ…などなど、皆さんが思うより大量の→
2021-11-01 22:33:34
衛生に関する消耗品を使用しています。何か作業をする度に出しては捨て、使っては捨ての繰り返しです。このお金も相当な額になります(直営給食では別に計上してるところもあるかもです) それと給食では意外と印刷物が多いです。それにかかるお金も意外とします。それも640円の中に入ってきます。→
2021-11-01 22:37:40
⑤労務費の問題 給食の原価は大きく分けて2つです。食材費と労務費と言われます。これまでは食材費の話でしたが、次は労務費の話です。つまり人にかけるお金です。給食の労務費では給食調理員の超過労働がよく話題になってますが、ちょっとここでは違う目線のお話をしたいと思います。簡単な話で→
2021-11-01 22:45:29
すが、例えば絶品の料理を作る腕を持つ調理師さんを雇おうとした際、普通の調理師さんより給料が高くなるのは想像がつくと思います。しかし何回も言いますが病院給食の1食640円は絶対です。凄腕の調理師さんは給食に中々来ません。なぜならそんな人達は1食ウン千、ウン万円のお金を稼げるからです。→
2021-11-01 22:49:15
なので凄腕の調理師さんは雇えず、絶品の料理が中々出せない、ということもあります。ですがこれは調理師さんの問題だけでなく、栄養価が決められているため、特に塩分量ですが、味を優先して調理時に工夫をするのが難しく、調理師さんの調理技術が発揮できないという問題もあります。(その中でも→
2021-11-01 22:55:49
工夫に工夫を重ねてクォリティを上げてる厨房もあります。ほんとすごい) ⑥食数の問題 皆さんの病院ではどれくらい急な食事開始、突然の入院があるのでしょうか?そして栄養科に食事開始の連絡をして断られたことはどれくらいあるでしょうか?想像でしかないのですが、そんな時でも給食が出ない→
2021-11-01 23:01:16
ことはほぼないと思います。給食は急な食事開始、食種変更にも対応できるよう、変動を予想し、その分の食材を発注しています。しかし用意しても給食として出せなければ全てロスとなり、赤字です。が、どんな場合でも食事が出せるように厨房はロスになろうとも準備しています。安心して電話して下さい→
2021-11-01 23:06:09
⑦調理工程の問題 お金の話ばかりでしたが、今度は時間の話です。調理に時間をかければかけるほど美味しくなる料理は沢山あります。煮込み料理などはその代表でしょう。しかし、給食には前にお話した大量調理マニュアルという聖書があり、そこには食中毒を防ぐために調理に関する時間についても細か→
2021-11-01 23:17:32
く記されています。簡単に言うと「食中毒を防ぎたかったらさっさと作ってさっさと食え!」です。つまり給食では三日間丹精込めて煮込んだビーフシチューが出せず、一時間なんとか煮込んだビーフシチューが、限界だったりします。焼いたり揚げたり等の他の料理に関しても、料理で重要な「下ごしらえ」→
2021-11-01 23:21:57
が時間をかけて行えず、中々料理の美味しさを引き上げることが困難だったりします。また調理終了後には盛り付け作業や配膳作業があるため、その時間を入れるとほんとに給食は時間が足りない業務であると思います。乱暴に言うと「ご飯を出すだけで精一杯」みたいな状況は多々あります。料理は想像性が→
2021-11-01 23:25:30
大事だ、という言葉も聞きますが、給食は大量調理マニュアルの方が大事です。かなりの制約の中、調理を行うため、料理のクォリティを上げるのが大変です。その中でどれだけできるかが専門家としての力量であるとは思いますが、厳しい面が多いのが本音です。 ここまで長々と書きましたが、言及してい→
2021-11-01 23:28:41
いことも多く、言語化も上手く出来ていないかもしれないのですが、給食を出すまでには関わる職員が様々な影響の中、必死の思いで「なんとか食べてもらえるもの」を、取り組んでいます。嵐の中で船をひっくり返されそうになりながら、舵を操り、港を目指しています。栄養科に甘い評価をしてほしいわけ→
2021-11-01 23:33:08
ではないですが、少しでも現状に寄り添った評価が病院給食に必要ではないかと考え、長々とツイートしました。もちろんこれは個人の感想ですので、見るに値しないと思いますが、もしちょっとでも見方が変わってくれたら嬉しいです。 長くなりましたが、結局言いたかったのは次のツイートです→
2021-11-01 23:38:20