百万人の碇シンジ
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MickHeroNG
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#百万人の碇シンジ エヴァ直撃世代、つまり第1次ブームの95~97年に10代から20代半ばだった世代は、ほぼ就職氷河期世代(幅広くとると1970~1985年産まれ)と重なる。彼らの人生もまた、碇シンジと大きく重なるものだったといえるだろう。 新劇場版は、彼らを救わなかった。
2021-11-03 09:53:05
親や社会に強要された過去最悪レベルの受験戦争を潜り抜けた先に待っていたものは、80年代のバブル景気や90年代の爛熟した文化ではなく、社会からの黙殺と冷遇でしかなかった。
2021-11-03 09:53:40
年の離れた上司達はゲンドウのように高圧的に無理なノルマと捨扶持を押し付け、年の近い話の通じる上司はミサトのように倒れていった。同世代は過剰適応の結果綾波のように自爆したり、アスカのようにプライドを破壊されて毀れてしまった。
2021-11-03 09:53:55
そして男の場合、勇気を振り絞ってそれでも生きていこうとした結果が、女からの拒絶だった。 「キモチワルイ」 彼らは何度、97年の夏を思い出したのだろうか。 (本田透のように、男でもアスカに感情移入した人もいる)
2021-11-03 09:54:11
ギリギリで彼らがレールに戻れそうなタイミングであった2006年、団塊世代の定年退職により就職氷河期が終結し、第2新卒という言葉も囁かれ出し氷河期世代にも正社員への道が確かに開かれつつあったのである。
2021-11-03 09:54:31
しかし、同時にリーマンショックが起きてしまった。 東日本大震災も相まって氷河期が再来し、開きかかった扉は今度こそ完全に閉ざされてしまったのである。
2021-11-03 09:54:51
それと完全にシンクロするように、「Q」はシンジの全てが徒労どころか状況を極端に悪化させたと示した。 そして、未だにエヴァにしがみついている彼らは子供のままだ、と追い討ちをかけた。
2021-11-03 09:55:09
そして10年近くを経てのシンエヴァが示したのは、ロスジェネではなく庵野秀明の再起であった。 シンジに優しかった第3村は、鬱に陥った庵野を気遣って「風立ちぬ」やゴジラといった仕事を与えた周囲だろう。
2021-11-03 09:55:29
ラストシーン、成長したシンジとマリはアニメで描かれたホームから実写の宇部新川へと駆け出していく。これは、アニメを離れ実写へと活動の軸を移すという庵野の宣言だろう。
2021-11-03 09:55:34
しかし大半のロスジェネには、マリも新たなフィールドも成長すらも、ついに与えられなかった。 自分はシンエヴァに大きく感動した。しかしそれは自分の幸運によるものに過ぎない。
2021-11-03 09:55:50
ドロップアウトしかかっていたのが「序」公開とほぼ同時に正規職にありつき、厳しい修行時代を「破」で励まされた。得意分野へのキャリア転換を図っていた頃に「Q」でショックを受けてエヴァと距離を置いた。
2021-11-03 09:56:06
その後順調にスキルを磨いて大きな仕事をいくつもこなした後、全く違う分野への配置を命ぜられた頃に「シン」を見た。シンジに対し、お互い大人になれた、と祝福の思いを抱いた。
2021-11-03 09:56:14
しかし今なお百万人の碇シンジが、あの赤い海のほとりに取り残されている。 彼らへの救いは、無い。 >かれらが「大人」になろうと欲したそのとき、世界がかれらを拒否したのだ。 マガジン限定記事「思春期を終わらせるにはカネがいる」|白饅頭 @terrakei07 #note note.com/terrakei07/n/n…
2021-11-03 09:57:57