GHOSTAPPLE_LaPucelleSyndrome 第一話「硝子職人の悲哀-EXODUS-」

作者:日向寺皐月(satuki_hyugaji)氏 デベソ氏(imitation1125)氏の女体化義体から生まれたフォロワー女体化TL連載小説のまとめ
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女体化義体って?
A. https://note.com/fake1125/n/nc305ddfa9c21

日向寺皐月 @satuki_hyugaji

フォロワー巻き込み新企画、タイトル決まりました 「GHOSTAPPLE_LaPucelleSyndrome」 (略称L.P.S.)で行きます

2021-10-29 16:46:12
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS CV かせん:坂本真綾 TAC:伊瀬茉莉也 所長(はんちょ〜):田中敦子 虚:加隈亜衣 日向寺皐月:悠木碧 黒木田(くろぐだ):沢城みゆき タチバナ:大塚明夫 武氏堂(BUSIDO):山寺宏一

2021-10-29 22:42:09
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS 序 世界を電子と情報の海が覆い ありとあらゆる物が繋がりを持ちつつも 国家や民族、宗教や言語等が意味を持たない程には 情報化されていない未来

2021-10-31 00:05:38
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS #1 「硝子職人の悲哀-EXODUS-」 2041年。それは第三次非核大戦から十年が過ぎ、比較的平和となった時代。電脳化と義体化が進み、街には常に電波が飛び交う時代。そして技術の進歩に、人類そのものが追従出来ていない時代 相模湾に浮かぶ巨大な人工島、新巻市から物語は始まる

2021-10-31 00:10:37
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS 「はんちょ〜……」 新巻市のメインストリートから少し離れたダウンタウン。そこにある「萬屋 クサナギ」の二階事務所で、安物のスーツを着崩した女が一人、ソファに寝転んでいた 「ねぇはんちょ〜……」 「何?騒々しい」 それに答えたのは、はんちょ〜と呼ばれた玉杓子を持つ女

2021-10-31 00:14:49
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS しかし彼女は、普通の人間と異なっている所がある。それは、下半身が百足の様な形をしている事だ 義体化の波は速く、その技術を知らぬ者は居ないと言われるこの時代。彼女の様な”異形”とも言える義体もまた、珍しいものではない 「やっぱさぁ……おかしいよ……」 「何がよ。かせん」

2021-10-31 00:17:58
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS かせんと呼ばれたスーツの女は、寝転んだままテーブルの上の青椒肉絲を指差した 「……肉の入って無い青椒肉絲は青椒肉絲とは言わないって……」 「お金の無い時は言うのよ。大体、そうなったのは誰のせいよ」 はんちょ〜がそう言うと、かせんは頭をソファのクッションの下に隠した

2021-10-31 00:21:23
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS と、その時。玄関に人が来た事を知らせるブザーが鳴った。同時に、電脳を介して監視カメラの映像が視界に映る。そこには、一人の少し特徴的な服装の女が居た 青い髪を短く切り、シャツにジーンズのみと言うラフな格好。だがその腰には、一振りの太刀が添えられている

2021-10-31 00:25:55
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS 直様飛び起き、自分の得物である物干し竿に手を伸ばすかせん。が、はんちょ〜はそれを手で制して階段を降りて行った 直後、何処からか異様な音が。それは未だ生身のかせんの胃が、空腹であると言う事を警告するブザーである。一瞬、未だ湯気を上げる肉抜き青椒肉絲を見るかせん

2021-10-31 00:30:02
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS 「でも肉抜きは青椒肉絲じゃ無いし……そもそも美味しい訳が無いから……」 そんな事を言いながらも、箸に手を伸ばすかせん。そして気付くと、もそもそとそれを口に運んでいた。当然、文句は言いながらであるが 「さ、入って頂戴」 「……失礼します」 かせんが大体半分位食べた頃

2021-10-31 00:33:00
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS はんちょ〜と先の女が事務所に入って来た。と、かせんの視覚素子がその女の義体を調べ上げる。そして自分と同じ、近接特化の物だと判断した 「ハイ注目。この子が、今日から新しく私達の仲間になるTACちゃんよ」 「宜しくお願いします」 ペコリと頭を下げるTAC。かせんは箸を止めた

2021-10-31 00:37:36
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS 「はんちょ〜……今何て?」 「だから、新しく仲間になる―」 「……その予算、どっから出したの」 かせんの言葉に、事務所に沈黙が降りる。それなりの時間が経ってから、はんちょ〜はもう一度手を叩いて場を仕切り直した 「……じゃ、早速だけど仕事の話よ」 「青椒肉絲の肉……」

2021-10-31 00:40:54
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS ウジウジと言うかせんを無視し、はんちょ〜は二人を電脳ラウンジに招待した。一瞬で視界が切り替わり、暖炉のある落ち着いた談話室が現れる 「じゃ、仕事のミーティングよ」 瀟洒なシングルソファに座るはんちょ〜がそう言うと、三人の中央にある絨毯からホロスクリーンが立ち上がった

2021-10-31 00:45:50
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS そこには、一人の少女が写っている。何処か小動物を思わせるその少女を見、かせんは呟いた 「あら可愛い。何、攫えば良いの?」 「んな訳無いでしょ。この子が依頼人の虚ちゃんよ。内容は、新巻西第二港までの護衛と移送ね」 その言葉と共に、新巻市のマップとルートが現れる

2021-10-31 00:50:31
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS 「……この少女は一体何故、西第二港に?」 TACの呟きも無理は無い。新巻西第二港と言えば、破棄されて久しい廃墟。治安も最悪クラスであり、到底小動物じみた少女の行く場所では無い 「いい?TACちゃん」 各種データを送りながら、はんちょ〜はTACに向かって微笑んだ

2021-10-31 00:53:48
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS 「私達は、依頼人に深く関わらないの。それに……」 はんちょ〜はTACに顔をゆっくりと近付けて、妖艶な笑みのままウインクした 「秘密は、女の子を輝かせるのよ」

2021-10-31 00:56:27
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

ここでCM(今日はここまでの意)

2021-10-31 00:57:11
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS 「さて……この辺の筈なんだけど……」 萬屋の一階のガレージから一台のバンを出し、走らせる事数分。大きな噴水が目印の羽図公園の辺をゆっくりと走らせるかせんに、TACは聞いた。 「何故内燃式なんです?」 「それは、そのうち分かるよ。それよりも……」 周囲を見渡すかせん

2021-11-03 21:47:22
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS 「……彼女では」 そんなかせんを他所に、TACは大道芸人に風船を渡されて困惑している少女を見つけた。写真と同じグレーのコートを着た少女を 「あ、あの……宜しく……お願いしましゅ……あぅ」 少女……虚は、車に乗るなり挨拶しようとして噛んだ。しかも、風船を割ってしまう

2021-11-03 21:54:56
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS 「ご、ごめんなさい……!!」 そして頭を下げた瞬間、後ろから乗ろうとしたTACをお尻で突き飛ばしてしまう。 「お〜、見事なまでの不幸体質」 「感心してる場合ですか……」 最早泣きそうな虚を宥めつつ、TACもバンの後部に乗り込む。それを見て、かせんはバンを発進させた

2021-11-03 22:00:05
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS 「さて、楽しいドライブの始まりだ〜!!」 「……はぁ」 TACの溜息は、この時代では珍しい内燃機関の駆動音で掻き消えた。 「んで、さ。虚ちゃん」 バンを走らせつつ、かせんは言う。楽しげに外を流れる街々を見ていた虚は、少しキョトンとした顔でかせんの方を見た。 「は、はい」

2021-11-03 22:06:09
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS 「どこ亡命するの?米国?西ロシア?」 その言葉が出た瞬間、車内の空気が凍り付いた。虚は表情を固め、TACは直ぐに我を取り戻す。 「亡命ってそんな……」 「……何時から、気付いてたんですか」 そう返した虚の声はさっきまでの頼り無さを捨てて、何処か冷たい響きを帯びていた

2021-11-03 22:11:09
日向寺皐月 @satuki_hyugaji

#GHOSTAPPLE_LPS その表情は引き締まり、何か覚悟を決めた様なものになっている。が。かせんはそれとは大局的に、朗らかで楽しげなテンションのままに言った。 「そりゃ分かるさ。西第二港は治安最悪の廃墟。でも、逆に言えば一番警備が薄いエリア。しかも深さがそれなりだから、潜水艦も入れる」

2021-11-03 22:14:53