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自炊について考えること

前島賢:ライトノベル&SFライター。 連絡はmaexima*gmail.comまで。著書「セカイ系とは何か」amzn.to/2oSGHck 連載「前島賢の本棚晒し」 ebookjapan.jp/ebj/special/lv… amazonアソシエイト利用中。

自炊についてオレが言えるのは最初は毎日同じものを作れということだけだ。最初は味噌汁とご飯でいい。それか鍋(それらは本質的には同じものだ。
2021-10-30 11:51:43
逆に一番やってはいけないのは料理本を買ってきて、今日は野菜炒めを作り、明日は余った材料でゴーヤチャンプルーを作り、さらに明日は別の料理を作って……と一品一品、憶えていこうとかやることだ。これをやると早くて3日で詰む。
2021-10-30 11:53:00
なぜならばこれをやり始めた瞬間、我々は「個別の調理の習熟」と「冷蔵庫内の食材管理」というふたつの全く異なるゲームを同時にプレイすることを強いられるからだ。
2021-10-30 11:54:52
冷蔵庫の中の食材(とその傷み具合を判断し)、脳内のレパートリーから、適切な料理を選ぶ、というのができてはじめて、毎日、違う献立とかいうのはできるんであって、そんな自炊初心者には無理だ。だから初心者はひとつのものだけ作れ。お好み焼きでもピザでもいいがおすすめはやはり鍋か味噌汁だ。
2021-10-30 11:57:03
1日目は水を湧かして買ってきた肉と野菜を煮て味噌を入れる。2日目は水を湧かして昨日の残りの肉と野菜を煮て水を入れる。3日目、冷蔵庫の残りが少なくなってきたら鍋で煮て味噌汁の具になりそうなものを探して追加してもよい。毎日これを食い続ければそれでよい。
2021-10-30 11:59:29
ご飯と味噌汁だけで寂しければ豆腐を買うなり惣菜を買うなりすればよい。だが自分で作ろうなどという無理はしないほうがよい。そのうち1ヶ月ばかりも食っていて、味噌汁に飽きたら中華スープの素などをかってもよい。するとあら不思議、お前のレシピは2倍に増えた。味噌でなくめんつゆを入れれば3倍だ
2021-10-30 12:01:51
すると人は、じゃあ味噌の代わりにカレールーを入れればカレーになるし、シチュールーを入れればシチューができるのではと気づく。トマト缶とかもいろいろある。飯の代わりにうどんぶち込むとかパスタをぶち込むとかすれば、もっとメニューは増える。
2021-10-30 12:06:53
正直、1人暮らしの自炊なんて、鍋で肉と野菜が煮れれば十分だと思う。たまにステーキ食いたいとか焼き魚食いたいとかあったら惣菜買うなり外食すれば十分間に合う。「肉じゃが」などという超高度料理を作れる必要はまったくない。未だに俺は作れぬ。
2021-10-30 12:11:16
ともあれそうやって6ヶ月も鍋でものを煮続けていると、それでもさすがになんとなく各食材のステータス情報(火の通りやすさ、足の速さ、各惣菜などの情報もわかってくるだろう。大根とキャベツとほうれん草。一番先に片付けなければならないのはどれか、などもだ。
2021-10-30 12:13:31
そしたら満を持して、レシピ本なんぞをめくりながら、今日は野菜炒め、明日はゴーヤチャンプルーなどとをやり始めてもよいと思う。なぜなら我々にはすでに鍋を憶えており、余った食材は全部味噌汁にすればよいのだから、冷蔵庫が破たんすることはもうない。
2021-10-30 12:15:01
とにかく全部鍋で煮ることだ。俺は自炊を始めた最初の半年はこれしかしなかった。米さえ炊かずに鍋だけ食っていた。冬だったので満足度は高く、そして鍋の元の種類はいっぱいあるので飽きると言うこともなかった。
2021-10-30 12:18:10
とにかくこれから寒くなるし鍋にはうってつけの季節であり、それは自炊を始めるのにうってつけの季節でもある。とりあえず毎日鍋を作ろう。俺はもうたまにお好み焼きを焼く以外、毎日、コレで鍋を作っている。 amzn.to/3jPJ8fa
2021-10-30 12:21:41
俺はこれらの思想を、主に以下の偉大な先達に学んだ。 anond.hatelabo.jp/20200317154739 goldhead.hatenablog.com/entry/2019/01/…
2021-10-30 12:23:37
新しいことを始めようとする時には、一度に憶えようとせず、ひとつひとつ確実に憶えていくのが基本だ。なのに自炊となるといきなり人はカレーとチャーハンと野菜炒めの作り方を憶えようとしてしまう(かつての私もそうだった
2021-10-30 12:25:19
そして、実は(こっちのほうがもっと重要な問題なのだが)カレーとチャーハンと野菜炒めと……を作るのに必要な食材と調味料の適切な管理方法も同時に憶える必要が産まれるということだ。こんなものは普通の人間には無理だ。
2021-10-30 12:26:48
だから初心者はやること、憶えること、選択すべきコトを極限まで減らす必要がある。そのためには「毎日同じものを作る」が一番だ。今日は何を作ろうか。「鍋」だ。悩む必要はない。冷蔵庫のもの、買ってきた物を全部鍋に入れる。それだけでいい。
2021-10-30 12:30:08
自炊をはじめて2年がたち、さすがにもうこの習慣も完全に身についたと言っていいと思うので、そろそろ個別に記事を書こうと思っていた。が、いつ書けるかわからないので、とりあえず草稿としてここにメモしておく。とにかく我々は鍋を食えば良い。
2021-10-30 12:34:08
自炊を憶えていて、一番に衝撃が走ったのは、半年ぐらい後に炊飯器を導入し、米を炊くなら味噌汁でも作るかと用意を始めたときだった。なぜならばそれは6ヶ月間、俺が何度か作った味噌鍋と、具材の密度以外まったく同じ料理だったのだ。
2021-10-30 12:51:38
「料理」というのは「味噌汁」「味噌鍋」「カレー」「シチュー」という明確に区別された種類があるのではなく、グラデーションのように広がった鍋物というおなじ料理のバリエーションなのかもしれない、と突然思い至ったのだ(さっさと気付けという話だがそれが初心者というものだ
2021-10-30 12:54:05
後に玉村豊男先生の圧倒的名著『料理の四面体』を読んで、その気づきは正しかったと気づくのだが(いや本当はもっと、ものすごい奥深いことが書かれています、オススメ)「毎日鍋」でも十分料理の世界は広がるのもタシかだと思う。だから毎日鍋でいいんだ、初心者は。 amzn.to/2XZpEgv
2021-10-30 12:56:59