ヴェルヴェット・ソニック #10 & エピローグ

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【あらすじ】 狩人サロウはニンジャスレイヤーを狩るべく、大量のネオサイタマ市民を犠牲にした脳ハック攻撃を仕掛けた。ニンジャスレイヤーがサロウを辛くも爆発四散させた後も侵攻は続く。だがニンジャスレイヤーと共にあった者達が、ユメミル・ジツに対抗すべく集まったのだ。

2021-11-05 21:00:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【あらすじ】 サロウはシルバーキーの独自領域である銀の浜辺に引きずり込まれる。ユメミル・ジツ使い同士の熾烈な戦いは、シュギ・ジキを用いた奇策と、最後の藁の重みをもたらしたゾーイの助けによって、シルバーキーの勝利に終わった……。

2021-11-05 21:03:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

00101……0011……サロウのコトダマ・アカウントはオモイ・ニンジャの牽引によって紐のようにほつれ、手繰り寄せられつつあった。彼は遠く引き離されつつある銀の浜辺を感じ、オモイ・ニンジャの失望と罵倒のヴァイブスを感じた。力を注いで、甘い言葉をかけて、ネオサイタマまで連れてきて……。 1

2021-11-05 21:09:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(なんか……01001おかしくないか0100)サロウの残滓は電子的に瞬きした。(0101オモイ・ニンジャが狩人だ何だッてお膳立てして、俺がそれに乗っかった……頑張っただろ。あんなイカレた狩人連中と、俺はパーティープレイして、ユウジョウして。俺がいなきゃ狩りの呪いもかからなかった01001) 2

2021-11-05 21:11:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

上方に黄金立方体の感覚。だがそこへサロウが近づく事はできない。彼の自我はオモイ・ニンジャに絡め取られているのだ。彼は感じる。見下ろす巨大な影たち。ダークカラテエンパイアの親玉達か。(00101そうだ。俺は……ダークカラテエンパイアだと?畜生め……俺が探していたのは……サツガイ00101) 3

2021-11-05 21:14:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

牽引の力が強まった。引き寄せる力にはオモイの苛立ちが籠もっていた。「さっさとアタシの中に入りなよ、役立たず。サンズ・リバーを渡れるとでも思ってるのか、ニボシ?違うよ、アンタの自我はアタシの一部になって、永遠に……」「あンたの一部だと?」「ハン?」「それ、逆でもいいのかな」 4

2021-11-05 21:17:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何をバカな……」「大真面目だよ」サロウはオモイ・ニンジャを掴み返した。彼は眼前にいた……ト・キコの。ト・キコが訝しんだ。「何?」「やっぱりだ。お前はお前であってお前じゃない。それなら、お前は俺でもいいはずだ」「やめ……」「イヤーッ!」「グワーッ!?」0100101001 5

2021-11-05 21:20:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

100101……01001……サロウの自我は血管めいて脈動しながらト・キコの模倣自我に侵食し、ナノ電子秒単位で同化を始めた。凄まじい恍惚と快楽……「ア、ア……イイ……」サロウは呻いた……それは一瞬に過ぎない。その直後、彼は声なき声で叫んだ。それは後悔と恐怖の叫びだった。「イイイアAAARGH!」6

2021-11-05 21:23:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ト・キコに侵食したサロウは、煮え滾る深淵の混沌と地続きになった。それは人智の及ばぬ存在であり、人ならざる思考パルスの集合であり、コトダマ空間の無限の中で膨張と収縮を繰り返す禁忌であり、オモイ・ニンジャであった。「AAAARGH!」サロウは狂い叫んだ。やがて彼はオモイと繋がった。完全に。7

2021-11-05 21:26:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

打ち寄せる波の中を這いずり、砂浜に手をついた。銀の砂を掴み、爪を立て、身体を持ち上げた。サロウは万色遷移の炎を人型に鋳たような姿で、銀の浜辺に帰還した。「フー……。なるほど、これが俺……」サロウは逆立ち燃える松明めいた髪に触れ、銀の水を払った。「まあ、ここの奴らは殺していくか」 8

2021-11-05 21:32:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

己が選んだ狩人は敗れた……今となっては、その敗れた己は己自身でもあるとも言える。オモイ・ニンジャは自我の次元においてはサロウであるから、自分の元となった存在を倒した連中というのは……「ややこしいぜ。やっぱりムカつく」サロウは砂浜に唾を吐き捨てた。そして一歩踏み出す。二歩……。 9

2021-11-05 21:37:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二歩。二歩……目が踏み出せない。「なンだよ」サロウは左踵を振り返った。浜辺に打ち上げられた存在が足首を掴んでいた。その手は赤黒い熱を持って、サロウの自我を苛んだ。サロウは視線を動かし、掴む手の繋がっている先を見た。うつ伏せに倒れた赤黒の影が顔を上げ、サロウを見た。ジゴクめいて。10

2021-11-05 21:39:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何……お前……?」「辿ってきた。おれの中で好き放題やった貴様の痕跡をな。……貴様のジツは」01ノイズの波飛沫に洗われるたび、赤黒の影の背中は01ノイズの蒸気をあげた。足首を掴んだまま、その者は砂浜に膝をついて、身を起こした。「……だいたいわかった」11

2021-11-05 21:44:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何がわかッ……」「イヤーッ!」「グワーッ!」サロウの身体が弧を描き、銀の砂に叩きつけられた。ナムサン!ニンジャスレイヤーはサロウの足首を掴んだまま、サロウの燃える身体をズタ袋めいて持ち上げ、叩きつけたのだ!「イヤーッ!」「グワーッ!」さらに逆側へ叩きつける! 12

2021-11-05 21:48:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サロウは防御しようとした。否、その為にはニンジャスレイヤーの事を再度捉え直し……「イヤーッ!」「グワーッ!」逆側へ叩きつける!「こんな……」砂の上を引きずられながらサロウは打開策を練ろうと「イヤーッ!」「グワーッ!」逆側へ!サロウは爆散し、タタミ数枚離れた地点に「イヤーッ!」 13

2021-11-05 21:51:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」ニンジャスレイヤーの赤黒く燃える拳がサロウの顔面を砕いた。サロウの粒子はタタミ数枚離れた地点に再出現「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは踏み込み、赤黒く燃える拳をサロウの顔面に叩きつけた。さらに踏み込み、再出現するサロウを「イヤーッ!」「グワーッ!」 14

2021-11-05 21:53:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(ハヤイ!ハヤイ過ぎる……)サロウは対応しようと思考を「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーの拳がサロウを砕いた。サロウは相手を吟味し、理解し、理由付けをし、そして捕食する存在だ。そのプロセスはニンジャスレイヤーの決断的な拳に対して……遅「イヤーッ!」「グワーッ!」 15

2021-11-05 21:57:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

爆散したサロウの粒子は三つの分身体を「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは三つのサロウを左から順に殴って破壊した。サロウは苦痛に身を捩りながら再出現する。そこに赤黒く燃えるフックロープが投げ込まれた。「ア……」 16

2021-11-05 21:59:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはロープを引き寄せた。サロウの自我は綿飴じみて絡め取られながらワン・インチ距離へ引き寄せられ「イヤーッ!」「グワーッ!」弾かれたサロウをニンジャスレイヤーは引き寄「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」17

2021-11-05 22:02:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

2021-11-05 22:05:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あれは……!」新たな領域侵入者を感じ取り、丘に走り来たシルバーキーは驚愕に目を剥いた。ゾーイが横にしがみついた。「ニンジャスレイヤー=サン!?どうやって」「いや、アイツがアラスカに来たわけじゃねえ。サロウみたいに、コトダマ自我が俺に繋がってるンだ」「どうやって!?」 19

2021-11-05 22:11:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺も詳しく聞かされてねえが、エメツの吸引で、奴の自我がコトダマ空間にデッキ無しで繋がって……ヴェルヴェット・ソニックだ」「ヴェルヴェット・ソニック……?」「らしい。名前は」「ああッ!」ゾーイが眼下の闘争の行方に叫び声をあげた。「イヤーッ!」「グワーッ!」 20

2021-11-05 22:14:40