茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第2614回「ちまちました日本の教育界は永遠に届かない『ライ麦畑で捕まえて』のホールデン少年の作文」

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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート2614回をお届けします。文章は即興で書いています。本日は、感想です。

2021-11-06 06:26:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

大学入試に「記述式」を導入しようとして挫折したのは良いことだと思う。あんなのは記述式でも何でもない。この国では、学力観が時代遅れ、陳腐で、教師やシステム設計側によほどの覚悟と自己変革がなかったら無理だ。おそらく永劫に実現しないだろう。

2021-11-06 06:27:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

サリンジャーの名作、『ライ麦畑で捕まえて』(The Catcher in the Rye)の最初の方で、主人公のホールデン少年が、クラスメイトのいじめっ子のでぶに頼まれて、英作文をするシーンがある。ホールデン少年は他の教科はダメなんだけど、英語だけが得意なのだ。

2021-11-06 06:28:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

それで、(確か)白血病で早くして亡くなった自分のお兄さんの持っていた野球のグローブのことを書こうとホールデン少年は思う。お兄さんはグローブに、自分の好きな詩の一節をたくさん書いていて、その様子を作文で書こうと思うのである。

2021-11-06 06:29:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

記述するということは、『ライ麦畑で捕まえて』のホールデン少年が書こうとしていた亡くなったお兄さんの好きな詩の一節がたくさん書いてある野球のグローブについての文章のようなもので、一人ひとり違うし、個性がある。評価するということはつまり個性に向き合うことだ。

2021-11-06 06:31:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

日本語表現を扱う「現代国語」でさえ、細切れに採点ができるようにばらばらにして「これが正解」というチマチマした問題をつくる我が国の教育界が、『ライ麦畑で捕まえて』のホールデン少年のお兄さんの野球のグローブのようなエッセイに向き合える日は永遠に来ないだろう。できないものは無理だ。

2021-11-06 06:32:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

日本以外では、教育におけるベストプラクティスはそれぞれが自分の魂から出る表現をしてそれを評価する側も人間全体と向き合う覚悟をする。そのようなzぎりぎりの対面と関係なくちまちました部分点積み上げのテストをして偏差値がどうのとか言っている日本の教育界には永遠に届かない世界がある。

2021-11-06 06:34:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート2614回「ちまちました日本の教育界は永遠に届かない『ライ麦畑で捕まえて』のホールデン少年の作文」をテーマに6つのツイートをお届けしました。

2021-11-06 06:35:45