ギガベース日誌 ACT08「PHANTASMA BEING」08

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再す誕ふ者ん🍜🍬 @hfsm_ABIDING

ギガベース鎮守府2番艦、サイセター。 右船体最深部。 #ギガベース日誌

2021-08-07 00:44:49
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サイセターの船体構造の殆どは、今は無きギガベース鎮守府1番艦を模倣して設計されている。 トーラスを始めとしたありとあらゆる勢力によって1番艦に施された改装は、その全ての詳細がDfJと不知火によって第2艦隊に横流しされていた。 #ギガベース日誌

2021-08-07 00:49:53
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他のエリアと隔離された、左右船体の最深部。 航行時は海面下に位置するこの区画もまた、1番艦から受け継がれた、ギガベース鎮守府にとって大きな意味を持つ場所である。 現在艦娘の立ち入りが禁止されたこのエリアに足音を響かせるのは、他ならぬその令を発した艦隊指揮官本人。 #ギガベース日誌

2021-08-07 00:53:41
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「……あ」 「まだいたのか、フィオナ女史。邪魔するぞ」 最深部に安置された第二世代ノーマルの残骸。その前に佇んでいたフィオナ・イェルネフェルト。 二人はそれ以上の言葉を交わすこともなく、DfJがフィオナの横に立ち、彼女がそうしていたように、目の前の残骸を暫く見つめた。 #ギガベース日誌

2021-08-07 00:59:49
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沈黙がただ続く。 一切の乱れなく整然と継続される呼吸のリズムは、二人がこの時間を苦痛だと感じていない証明だった。 「…………あ」 「……?」 「忘れてた。俺はコイツを見に来たんじゃない。この奥にふん縛ってある眼鏡に用があったんだ」 #ギガベース日誌

2021-08-07 01:05:51
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「……あのっ」 「別に、いつまでアンタがコイツの側にいようと構わんがな。一応伝えておくぞ」 フィオナの言葉を無遠慮に遮り、DfJは続ける。 「ラインアークの連中の尋問は粗方終わった。核で丸焼きになった家に帰りたいって喚いてるから、明日にでも叩き出す予定だ」 #ギガベース日誌

2021-08-07 01:10:20
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「一方で……エミール・グスタフは、この船に残りたいとか言い出しやがった。シャングリラとの戦いでは奴に助けられた事もあるし、深層情報に詳しい人間が味方につくのは願っても無い幸運だが……あのオッサン正気か?」 「……正気でしょうね、間違いなく」 #ギガベース日誌

2021-08-07 01:13:21
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フィオナの即答に、DfJは目を細め応える。 「生き残る、という事において、私は彼以上にそれを得意とする人を知りません。この船に残る……それが最適だと、エミールは判断したのでしょう」 「……そうなると、残るはアンタってわけだ」 #ギガベース日誌

2021-08-07 01:18:36
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「俺としては、どっちでも構わん。長門とグラーフはアンタのことを気に入っている。グラーフはともかく長門に好かれちまったのは御愁傷様としか言いようが無いが……」 「貴方は、まだ、壊し続けるのでしょう」 #ギガベース日誌

2021-08-07 01:22:10
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「ああ」 「私が貴方に与した時、彼は」 フィオナの視線は、DfJの濁った瞳から、ACの残骸に移る。 「彼を、貴方は、どうするのですか」 #ギガベース日誌

2021-08-07 01:24:09
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「どうも、しない」 DfJは即答する。しゃがみ込み、サラトガとの撃ち合いで拉げた装甲に手を当てる。 「もう、ただのガラクタだ。俺が、誰かが何もしなければ、ずっとガラクタのままだ」 「……それを、許して、くれるのですか」 #ギガベース日誌

2021-08-07 01:27:52
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「アンタから引き出せる情報は全て引き出し、それは俺達の助けになった。空の弾倉を何度振って覗き込んでも空だ」 「……なら、もう少し、少しだけ、考える時間をください」 「構わない。誰も急いでいないからな」 #ギガベース日誌

2021-08-07 01:30:33
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残骸の横を通り、当初の目当てであった最深部の船首側へと向かうDfJ。次の区画への扉を開こうかというその瞬間、彼は首を極端な角度で曲げ、フィオナを直視した。 「最後に一つ、聞きたいんだが」 「何でしょう」 「アンタから見て、そのACは、いや、彼は」 #ギガベース日誌

2021-08-07 01:33:57
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「昔アンタと一緒にいた男だったと、断言できるか?」 #ギガベース日誌

2021-08-07 01:34:34
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「……」 「提督!お主何処で道草を食っておったか?!待たされまくって我輩達はこの有様じゃ!!」 「わかるわかるー♪」 大淀が拘束された区画に足を踏み入れたDfJを迎え入れたのは、呼んだ覚えのない筑摩とデ・ロイテルが繰り広げる残虐遊戯のフィナーレだった。 #ギガベース日誌

2021-08-07 01:51:08
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「何を、している」 「時に提督、艦娘は糞をしないであろう?!我輩今更気になったのでその理由を大宮に聞いてみたが、どうも艦娘特有の消化器官の性能が良すぎるのが原因とか!」 「提督の顔やっばーい!打ち上げられたクジラの死体に群がるフナムシの軍勢を見る人みたーい!」 #ギガベース日誌

2021-08-07 01:59:41
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「そうと聞いて我輩の旺盛な知識欲に火が点いた!もし艦娘の消化器官が処理しきれない量の食物を流し込んだら艦娘も糞を出すのではないかとな!ゲロまでは球磨が立証しておったから、逆止弁を突っ込んだ上で、大淀に廃棄の生ゴミやら余っていたブラウニーを大量にくれてやったわ!」 #ギガベース日誌

2021-08-07 02:06:45
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「そしたらそしたらー?!」 「大淀の腹が破裂しおって、この有様じゃ」 「……2隻纏めてメインジェネレータに突き落としてやろうか。利根、テメーはオーメルの連中の死体処理サボってなんで此処にいる。一緒にいた鹿島はどうしたァ!?」  #ギガベース日誌

2021-08-07 02:10:15
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「連中の死体は鹿島が全部片付けてしまったわ。アイツはその後、加賀の所に行くとか言って消えたぞ」 「鹿島が加賀に何の用があるってんだ。もうちょっとマシな嘘をつけ」 「嘘ではない!何だったかのう……加賀が作ったネクストの模型で○ァミマの店舗を模した箱を破壊する……」 #ギガベース日誌

2021-08-07 02:15:12
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「ジオラマ~?」 「そうじゃ!そのジオラマの共同制作とかで抜けていったわ!それに提督よ、そもそも我輩とロイテルを此処に呼び出したのはお主であろうが!文句を言われる筋合いは無いぞ!」 「わっかるー!呼び出された部屋に裏切り者がいたらしばきたくもなるよねー!」 #ギガベース日誌

2021-08-07 02:18:15
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「俺がぁ?今大淀に近づけたくない艦娘筆頭のお前らを?」 そんなバカな。続けて吐こうとしたその言葉を、DfJは端末の画面を見つめた後に飲み込んだ。 「……今すぐ出ていけ。掃除はしなくていい」 「何じゃ?送信先でも間違えたか?」 「提督最近物忘れ激しいもんねー!」 #ギガベース日誌

2021-08-08 00:49:03
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素直に退いていく2隻に目もくれず、DfJは場が静寂を取り戻すまで、端末の画面を眺め続けていた。 「記憶障害が、かなり進行しているようですね」 「……よく話せるな、その身体で」 #ギガベース日誌

2021-08-08 00:56:16
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利根に注ぎ込まれた腐臭を放つ生ゴミを口蓋から零す大淀。捕虜の虐待を生きがいとする重巡洋艦と、懲罰艦隊に配属される軽巡洋艦から玩具扱いされて尚、発声を維持できるだけの状態は保たれていた。 「まだ物忘れの方がマシだったな」 「……違うのですか?」 #ギガベース日誌

2021-08-08 01:00:35
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己の頭蓋を指差しながら、DfJは大淀に詰め寄る。 「……お前を此処にブチ込んでいるのは、他の艦娘をwお前に近づけさせない為だ。少なくとも今は、間違いなく、この脳は、俺はそう考えている」 「けれど、貴方は利根さんとロイテルさんを此処に呼んだ」 #ギガベース日誌

2021-08-08 01:08:09
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