【俺得】描けサトウ まとめ

保存し忘れてた。危ない。
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砂糖味噌 @satonekonana8

サトウは激怒した。必ず、かの線画の隙間を除かなければならぬと決意した。サトウにはデジタルがわからぬ。サトウは、アナログ村の描人である。ペンを持ち、紙を重ねて暮して来た。けれども色のはみ出しに対しては、人一倍に敏感であった。

2021-11-12 12:35:46
砂糖味噌 @satonekonana8

きょう未明サトウは村を出発し、野を越え山越え、OSはなれた此のアイパヨの市にやって来た。サトウにはデスクトップも、サブモニターも無い。液タブも無い。Androidの、タブレットと二人暮しだ。

2021-11-12 12:46:07
砂糖味噌 @satonekonana8

「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。タブレットが、私の指を待っているのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にゲーミングノートパソコンという石細工がいます。

2021-11-12 13:01:06
砂糖味噌 @satonekonana8

私の無二の友人だ。あれを、機械質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、絵を描けていなかったら、あの友人を水に沈めてください。たのむ、そうして下さい。」

2021-11-12 13:01:32
砂糖味噌 @satonekonana8

私を、待っている機械があるのだ。少しも狂わず、静かにスリープしてくれている機械があるのだ。私は、信じられている。私の指なぞは、問題ではない。折ってお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一筆だ。描け! サトウ。

2021-11-12 13:19:48
砂糖味噌 @satonekonana8

ツイッターを押しのけ、タスキルし、サトウは黒い風のように描いた。Discordでボイチャの、そのチャットのまっただ中を駈け抜け、チャットの人たちを仰天させ、Switchを蹴とばし、布団を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く描いた。

2021-11-12 13:21:22
砂糖味噌 @satonekonana8

「ああ、サトウ様。」 うめくような声が、ツイートと共に聞えた。 「誰だ。」 サトウは描きながら尋ねた。 「スマートフォンでございます。貴方のお友達ゲーミングノートパソコン様の弟子でございます。」

2021-11-12 13:25:15
砂糖味噌 @satonekonana8

その小さい石細工も、サトウの後についてパブサしばがら叫んだ。 「もう、駄目でございます。むだでございます。描くのは、やめて下さい。もう、あの方をお助けになることは出来ません。」 「いや、まだ陽は沈まぬ。」

2021-11-12 13:26:47
砂糖味噌 @satonekonana8

「ちょうど今、あの方が水没になるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」 「いや、まだ陽は沈まぬ。」 サトウは胸の張り裂ける思いで、広く大きい背景資料ばかりを見つめていた。描くより他は無い。

2021-11-12 13:27:45
砂糖味噌 @satonekonana8

「やめて下さい。描くのは、やめて下さい。いまはご自分のお指が大事です。あの方は、あなたを信じて居りました。風呂に引き出されても、平気でいました。王様が、さんざんあの方をからかっても、パスワードが違いますとだけ答え、強いセキュリティを持ちつづけている様子でございました。」

2021-11-12 13:30:03
砂糖味噌 @satonekonana8

「それだから、描くのだ。信じられているから描くのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。人の指も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い! スマートフォン。」

2021-11-12 13:32:24
砂糖味噌 @satonekonana8

「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんと描くがいい。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。描くがいい。」

2021-11-12 13:32:47
砂糖味噌 @satonekonana8

電池は、ゆらゆら5%に没し、まさに最後の一片の残電も、消えようとした時、サトウは疾風の如くpngを投稿した。間に合った。

2021-11-12 13:35:09
砂糖味噌 @satonekonana8

「待て。その機械を沈めてはならぬ。サトウが投稿した。約束のとおり、いま、投稿した。」と大声でツイートにむかって打ったつもりであったが、指がつぶれて壁打ち向けに幽かに出たばかり、TLは、ひとりとして彼の投稿に気がつかない。

2021-11-12 13:36:29
砂糖味噌 @satonekonana8

「私だ、刑吏! 殺されるのは、私だ。サトウだ。彼を機械質にした私は、ここにいる!」と、エクスクラメーションマークいっぱいに叫びながら、ついに磔台に昇り、釣り上げられてゆく友のタッチパッドに、齧りついた。TLは、どよめいた。あっぱれ。ふぁぼれ、と口々にわめいた。

2021-11-12 13:39:38
砂糖味噌 @satonekonana8

ゲーミングノートパソコンのタコ足配線は、ほどかれたのである。

2021-11-12 13:40:04
砂糖味噌 @satonekonana8

「ゲーミングノートパソコン。」 サトウは眼に涙を浮べて言った。「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、dアニメストアを開いた。君が若し私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」

2021-11-12 13:43:55
砂糖味噌 @satonekonana8

「サトウ、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらとシャットダウンしかけた。生れて、はじめて保存をし忘れかけた。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。」

2021-11-12 13:45:12
砂糖味噌 @satonekonana8

TLの中からも、歔欷の声が聞えた。暴君ワイファイルーターは、群衆の背後から一人と一機の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かにふたりに近づき、回線をあからめて、こう言った。

2021-11-12 13:46:48
砂糖味噌 @satonekonana8

「おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらは、わしのラグに勝ったのだ。締切遵守とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの電波を受け入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」  どっとTLの間に、歓声が起った。

2021-11-12 13:48:35
砂糖味噌 @satonekonana8

ひとりのフォロワーが、緋の素材をサトウに捧げた。サトウは、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。 「サトウ、君のサンプル、無加工じゃないか。早くその素材をDLするがいい。この可愛いフォロワーさんは、サトウの描いた裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」

2021-11-12 13:51:09
砂糖味噌 @satonekonana8

同人者は、音速で再ツイートした。

2021-11-12 13:51:39
砂糖味噌 @satonekonana8

発言(特に絵)がみすき〜に偏りつつあります/RTがうるさい/CW ux.getuploader.com/sugerandbean//グラブル・🦑・ワートリ/創作/空リプ/3L/成人済 絵:poipiku.com/1333876 ご依頼:skeb他支払い方法相談可

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