- toshi3636_1
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ここのところ、「構成」についてよく考える。映画や小説の構成、シナリオができ不出来、傑作かそうでないかを決める。たとえば漱石の『坊っちゃん』は完璧な構成の小説で、これを一高、東京帝大で教えながら忙しい中2週間くらいで書いたとは信じがたい。
2021-11-18 07:26:42「構成」という視点から見ると、たいていの小説は失敗している。困ったことに、言語で書かれているとそれなりの味わいがあるから読んでしまって、意味があると勘違いしてしまうけれども、結局古典として残るのは構成がしっかりしている作品だけである。
2021-11-18 07:27:34その構成というのはなんなのか、ということになると、実に難しい。ハリウッド映画の脚本術のような本はたくさんあるけれども、もう少し複雑で有機的な志向性のダイナミクス、構造にかかわることで、おそらくGPT-3のような自然言語処理のAIにおいても最後まで扱えないものになるのではないか。
2021-11-18 07:28:42昨日、移動しながら仕事をしつつローエングリーンを全曲聴いたけれども、やはり構成がよくできている。エルザが禁じられた問を発することは心理的に必然だし、神々しく美しいヒーローが実は起源が怪しいこととか、信仰は結局無根拠であるとか、実によくできている。
2021-11-18 07:30:02同じワグナーでも、タンホイザーは構成があまり完璧ではなくて、美しい音楽がありつつも最後に受ける感銘が少し劣る嫌いがあるのは構成の欠陥だろう。ワグナー自身もより完全なかたちを希求していたらしい。もっとも、同じ基準を他の作曲家のオペラにあてはめるとたいていのものは欠陥商品である。
2021-11-18 07:31:14映画でも、小説でも、投入する時間はたいへんなものだし、特に前者はかかわる人も多いから、構成をしっかりしていないとみんなが不幸になることになる。プロがつくる作品でもたいていのものは構成的に失敗しているという認識を持つことはより高みを目指す人にとっては不可欠なことだろう。
2021-11-18 07:32:19以上、連続ツイート2626回「プロがつくる作品でもたいていのものは構成的に失敗している」をテーマに6つのツイートをお届けしました。
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