デフレの原因はサービス残業?

岡田直樹 @ishtarist 氏によるデフレと労働者賃金未払いとの関連に燗する考察 途中で寝落ちしたので罪滅ぼしにまとめました。
45
馬の眼🐴 @ishtarist

覚え書き。サービス残業とデフレのメカニズム。あるいは逆に、労働基準法を各企業に遵守させれば、どのようにしてインフレが起きるのか。

2011-08-28 03:20:27
馬の眼🐴 @ishtarist

各企業が労働基準法をきちんと遵守しているという条件の下では、利益率の低い企業は、できる限り低賃金で労働者を募集せざるをえない。つまり、企業の利益率が表向きの給与体系にそのまま表れる。当然、優秀な人材は給与が高いところに集まることになるだろう。

2011-08-28 03:27:24
馬の眼🐴 @ishtarist

ところが、労働基準法がまともに機能していない現在は、同じ給与であっても、労働時間の長さあるいはサービス残業の有無によって、現実の時給が著しく異なる。どれほど非効率的な企業でも、平均的な・あるいは高めの給与で労働者を釣っておいて、毎日12時間とか働かせれば、赤字にならなくて済む

2011-08-28 03:30:45
馬の眼🐴 @ishtarist

労働者は、会社に入ってみるまで、そこがブラックなのかグレーなのか白いのかさえ、ほとんど知る術がない。つまり、現状では、労働市場を通じた企業の淘汰がまったく行われようがない

2011-08-28 03:32:14
馬の眼🐴 @ishtarist

労働基準法が遵守されていない現状の日本では、実質的な時給をほとんど歯止めなく―すなわち人間の生理的・物理的・精神的限界まで―低下させることが可能である。「最低賃金」にはもはや何の意味もない。

2011-08-28 03:36:59
馬の眼🐴 @ishtarist

それゆえ、サービス残業が蔓延している業界(家電量販店とかホテル業界とか)では、現実的な時給の歯止めなき低下によって、価格をどこまでも下げることができる。そして一社がそのような違法を行えば、価格競争によって、他社も追随せざるをえない。そうして業界全体で価格破壊が起きる。

2011-08-28 03:39:33
馬の眼🐴 @ishtarist

労働基準法さえまともに遵守されていれば、ある一定以上に給与を下げることは事実上不可能になる。それは、一つにはもちろん最低賃金が法定されているからであり、もう一つは、名目上の、公示された時給と事実上の時給が一致するからである。それゆえとめどなき価格破壊、すなわちデフレは起きにくい。

2011-08-28 03:42:53
馬の眼🐴 @ishtarist

ともあれ、このような状況では、各社は正当な価格転嫁を行うことができない。まして、日本の経済全体でサービス残業が蔓延しており、労働者の所得総額が上がらず、それゆえ個人消費総額も拡大しようがない状況において、商品やサービスを値上げすることは、即座に企業の死活問題に繋がる。

2011-08-28 03:46:11
馬の眼🐴 @ishtarist

つまり、サービス残業は、同じ業界内で一社が行うと他社も追随せざるをえないという水平的伝播と、サービス残業による所得総額の抑制による、消費者からの価格競争への圧力という循環的伝搬と、二重の仕方において、日本の経済システム全体を拘束している。

2011-08-28 03:49:08
馬の眼🐴 @ishtarist

ちなみに、サービス残業や派遣労働の蔓延は日本の製造業の国際競争力が失われたことが原因である、と経済学者たちは言っていますが、これはデタラメだろうと僕は考えています。

2011-08-28 03:52:47
馬の眼🐴 @ishtarist

というのは、僕が知っている限りにおいて、日本において不払い労働が蔓延しているのは、製造業よりも、小売り業などのサービス業や運輸業、国際競争など本質的に無関係の業種だからです。それよりむしろ、サービス残業の蔓延こそが日本の製造業における国際競争力を失わせたと言えます。

2011-08-28 03:54:33
馬の眼🐴 @ishtarist

というのは、日本経済がデフレになればなるほど、円の価値は相対的に高まるからです。たとえば、1ドルで売られているハンバーガーが200円から100円になれば、円の価値は二倍になります。そうすると、もともと日本で200円の輸出製品は、海外で1ドルから2ドルになるわけです。

2011-08-28 03:59:15
馬の眼🐴 @ishtarist

もう一度言いますが、デフレの原因は、金融政策的なものではなくて、サービス残業にあります。どれほど銀行や各企業にお金があっても、それが労働者に、すなわち消費者にまわらなければ、商品やサービスの価格は上がらないのです。こんなごくごく当たり前の話を、大部分の経済学者はわかっていません。

2011-08-28 04:04:49
馬の眼🐴 @ishtarist

じっさい、小泉政権時代に、日銀当座預金残高を6倍に増やした、すなわち量的緩和を行いましたが、マネーサプライはまったく増えず、デフレが解消しませんでした。当たり前ですよね。経済システムの根幹である生産-個人消費のサイクルが停滞あるいは縮小している状況では、企業は投資しませんから。

2011-08-28 04:08:56
馬の眼🐴 @ishtarist

つまり、銀行がどれだけお金をもっていても、まっとうな経済成長がみこめない状況では、企業は借りようとしない。そしたら市場にお金がまわらない。

2011-08-28 04:10:24
馬の眼🐴 @ishtarist

また、たとえば外需や財政出動によって企業の売上高が増えても不払い労働によって企業がオペレーションを回すことができるならば日本全体としてみれば、とうぜん個人消費総額は増えようがないわけです。

2011-08-28 04:13:32
馬の眼🐴 @ishtarist

本来は、つまり、まともに労働基準法が遵守されていれば、外的条件により企業が忙しくなれば、残業手当を出したり、あるいは新たに労働者を雇ったりして、給与支払い総額は増えるはずです。そうすれば個人消費が増えて、さらに企業の売り上げが増える、という好循環が生まれます。

2011-08-28 04:14:55
馬の眼🐴 @ishtarist

ところが、サービス残業が蔓延している状況で、企業の売り上げが増えても、その負担は労働者が一方的に担い、その利益は企業が一方的に享受する。そうすると、利益率は増えても、本来あるべき生産ー消費拡大の好循環のサイクルが完全に途切れてしまうわけです。

2011-08-28 04:16:48
馬の眼🐴 @ishtarist

これは、逆に言えば、財政出動の乗数効果が著しく低減してきた、ということを意味しています。わかりやすく言い直せば、どれほど国が公共事業にお金を注ぎ込んでも経済全体が良くならないため、税収が増えないわけです。そうやって借金ばかりが増えていったのが今の日本の現状ではないでしょうか。

2011-08-28 04:18:28
馬の眼🐴 @ishtarist

こうして国の借金が著しく増え、その負担がおそらくは消費税増税として、私たち消費者に帰ってくる。そして個人消費が減り、さらに企業がリストラを行い、さらに個人消費が減り・・・悪夢のような話です。

2011-08-28 04:20:34
馬の眼🐴 @ishtarist

たぶん、年間で40兆円ぐらいが不払い労働の被害額であると私は概算しているわけですが、それがどれほど、マクロ経済的に影響を及ぼしているのか、それをきちんと考察してきた人は、私は寡聞にして知りません。いずれにしても、分析が必要だと思います。

2011-08-28 04:24:28
馬の眼🐴 @ishtarist

少なくとも、GDPの1割近い額の賃金の不払いという違法な状況を改めない限り、財政出動も、金融政策も、まったく効果がないということ、そのことを日本の政治家さんたちには認識してもらう必要がある、と僕は考えています。

2011-08-28 04:26:47
馬の眼🐴 @ishtarist

まだまだサービス残業問題にかんして、他にもマクロ経済的な、あるいは社会システム論的な効果があるわけですが、またおいおい書いていきます。

2011-08-28 04:28:02

発端のつぶやきのまとめは以上。

せっかくなので私個人の考えも書かせていただきます。

勇気 @worthmine

日本の大手製造業は円高を背景に、安易なコストダウンの方法として部品の製造や製品組み立て拠点を海外に移転してきた。そのことによる国内の労働市場の縮小化、単価の低下も国内の個人消費の縮小の一因であろうかと思われる。

2011-08-29 00:14:14