紫式部は源氏物語で795首もの歌を自作して自分の物語の中に詠みこんだことがすごい
- KidouOkamoto
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そもそも、紫式部は源氏物語を書いたことがすごいというよりは、勅撰集の約1100首に迫る795首もの歌を自作して自分の物語の中に詠みこんだことがすごいのです。しかも、歌を詠まさない人間には絶対に歌を詠まさない(葵の上のようにね)。これが人間業じゃないんですよ。
2021-11-20 10:13:46源氏物語は、795首の歌に捧げられた「詞書」であり、そういう意味では【歌物語】なのだ、と私は考えています。
2021-11-20 10:16:08巻一「桐壺」冒頭部分は、物語最初の和歌である【限りとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり】にたどりつくまでの壮大な【詞書】だと考えると、その凄さが際立ちます。「生きる道を選びたかったのだ」と死の間際に詠まれたこの歌が、源氏物語という物語全体の行く先を規定するのです。
2021-11-20 20:20:15今年度は復職明けで、かつ受験生の現代文メインでの担当なので、古文に関するツイートが伸びると嬉しい限りです。一応専門は源氏物語をはじめとする王朝物語(特に中世王朝物語)で、「物語の終焉の方法論」「【史】としての文学・国語」を生涯の学問のテーマとしています。
2021-11-20 23:28:47「源氏物語の和歌は全部紫式部の自作かどうかは分からない」というご意見ももっともですが、他の私家集などにもその歌が源氏物語から取られたという詞書なしには載っておらず、かつ同時代の人たちがそのような元歌の存在を何も指摘していないのは、やはり「そういうこと」なのだと思いますよ、私は。
2021-11-20 23:34:30「詠み人しらず」の歌から取ったかもしれない、というのは私も学部生時代・院生時代に考えたことがありますが、やはりそれは無理筋です。なぜ「詠み人しらず」の歌だけを取るのかの整合的な説明がつかないし、そもそもそれならそれでケチがつくのが言葉の世界ですよ。創作をしていればわかることです。
2021-11-20 23:36:28その点で同時代人からも一切のケチがついていない、その事実をまずは大切にすべきなのではないでしょうか。和歌を誰しもが詠めた時代の話ではないのですから。
2021-11-20 23:37:52紫式部自身は歌詠みとしては一流ではない(無論平均の遥か上だけど)と言われているのに、『源氏』には日常の贈答歌や登場人物の感慨を込めた歌が多数出てきて、そのうちの相当数が高い評価されているわけでなぁ……。無論、当時の貴族の常識としての詠歌法は心得ていたとしても。 twitter.com/kotonoha_yakat…
2021-11-20 18:07:02ミュージカルで考えたら一人で大長編の脚本兼演出兼作詞兼作曲兼エトセトラ…と想像するとかなりの離れ業 twitter.com/kotonoha_yakat…
2021-11-20 19:56:22当時の文化人にとっての歌はある程度のレベルで当たり前の教養で、感動や感情の動き、相手との会話・対話の中でぱっと詠むのが日常的な、今よりもずっと身近なものだったので、キャラごとの決め台詞というか必殺技というか漫画で言うなら決めの大ゴマに近いもののような気もしないでもない。
2021-11-20 19:57:10Twitterにいると、私が恐らく一生気が付かない凄さを教えてもらえたりする。しかもそれが大概文字情報な分楽しくて。これだからTwitterはやめられない。 twitter.com/kotonoha_yakat…
2021-11-20 20:05:58しかも歌に典拠があって、分かる人には分かる「あぁ、あの踏襲ね!」となるから、知識量もえげつない。それをアレンジして登場人物の心境に沿う歌にするからもうどうしたものか。 twitter.com/kotonoha_yakat…
2021-11-20 20:12:19源氏が歌詠の必須の教材になったのは、歌を詠む状況が詳しく書かれているからだと学部の時に聞いたことがある。どんな時にどんな歌を詠むのが良いのか勉強できる。 twitter.com/kotonoha_yakat…
2021-11-20 20:15:27歌を詠まないキャラもいるし、全員が風流な歌を詠むわけでもない。 末摘花は古風な歌しか詠まないし、うんざりした源氏の返歌も面白い。 唐衣またからころもからころもかへすがへすもからころもなる どちらかというと後の今様とか狂歌にありそうな歌だけど、それが源氏物語にあるんですよね。 twitter.com/kotonoha_yakat…
2021-11-20 20:28:30あれ絶対スプレッドシートで物語の進行とか登場人物の挙動とか管理してるよね。 twitter.com/kotonoha_yakat…
2021-11-20 20:44:02そんで全部の歌が「この人ならこう詠むよなぁ」って納得しかないのよ。詠まないも含めて。 教養レベルや性格、立場、関係...ありとあらゆる要素が歌に詰まってる... twitter.com/kotonoha_yakat…
2021-11-20 20:52:46こういう見方で読んだ事が無かった。 新しい視点をありがとうございました。 twitter.com/kotonoha_yakat…
2021-11-20 21:11:54@kotonoha_yakata そういえばそもそも日本文芸には「連歌」なる伝統があったのですね。宴席で同一テーマで作詩するとか。
2021-11-20 21:16:53紫式部として詠んだ歌はあんまり上手くないのに、源氏物語の中の歌は和泉式部や定家並みの歌もあってこの人なんなんって思う twitter.com/kotonoha_yakat…
2021-11-20 21:21:01宇治十帖で薫が詠む ありと見て手には取られず見ればまたゆくへも知らず消えし蜻蛉 は定家ばりだって大野晋さん言うてた
2021-11-20 21:23:41さんざん足りない人扱いされてた女三の宮が詠んだ 立ち添ひて消えやしなまし憂きことを思ひ乱るる煙くらべに がどえらい名歌だし、定家がそれを本歌取りして 哀れ嘆きの煙くらべやって痛烈な歌を後鳥羽院に送ってる
2021-11-20 21:31:35