ロンドン・コーリング #1
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
【ニンジャとは】 ・平安時代をカラテで支配した闇の存在！ ・歴史の表舞台から姿を消した彼らのソウルが今、金閣寺からサイバーパンク世界に降り注ぐ！ ・ニンジャソウルを宿し超人的に強くなった存在、それがニンジャ！ ・修行でニンジャとなった古代リアルニンジャ、それもニンジャ！
2021-12-09 21:22:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
【師走！ニンジャ祭り】 ・当アカウントでは未来ニンジャアクション小説「ニンジャスレイヤー」をTwitter連載しています。 ・今日から連載されるのは、noteマガジン「ニンジャスレイヤーPLUS」に掲載されたエピソード、「ロンドン・コーリング」の再構成版だ。この連載の再まとめはPLUSに掲載予定！
2021-12-09 21:28:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
【登場人物】 ・フジキド・ケンジ：かつてニンジャスレイヤーであった男。現在は国際探偵「サツバツナイト」を名乗る黒橙色のリアルニンジャ。 ・ドラゴン・ユカノ：岡山県の山奥にある神秘の地「ドラゴン・ドージョー」の主であり、神話時代より生き続けるドラゴン・ニンジャその人。
2021-12-09 21:31:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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岡山県、シズカガオカの街より峻厳なる山「ドラゴン・マウンテン」を登った先、霞に覆われた秘境に、ドラゴン・ドージョーはある。平安時代よりもさらに昔、ニンジャが空を飛び、炎を吐き、輝く鎧に身を包んだ軍勢が無数のいさおしをあげた時代。ドラゴン・ニンジャはその地を教えの場所に定めた。 1
2021-12-09 21:36:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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時代は移り変わり、世界はその様相を激変させた。ポールシフトや磁気嵐、月の破砕を経て、人々は電子ネットワークに耽溺し、サイバネティクスを享受し、暗黒メガコーポが秒単位の興亡を繰り返す時代が訪れた。それは力の時代であり……ニンジャの帰還の時代でもあった。 2
2021-12-09 21:41:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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ぬばたまの黒髪と清かな美貌、冷たき知性と荘厳なるカラテで多くのハイクに詠われたドラゴン・ニンジャは、文明社会との共存を志し、己のドージョーに弟子を迎え入れ、穏やかに暮らしていた。力弱く、だがひたむきな弟子達のカラテ鍛錬は、日々、彼女に新鮮な驚きと感動を届けてくれるのだった。 3
2021-12-09 21:46:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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だが、見るがいい。岡山県の外にひとたび目を向ければ、神話時代より帰還した邪悪なるリアルニンジャが、文明を蹂躙し、言うをはばかる悪のカラテの力で版図を広げる混沌の世である。ドラゴン・ニンジャ、またの名をユカノ……彼女もまた、邪悪なるリアルニンジャとの闘争と無縁では居られぬのだ！ 4
2021-12-09 21:50:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「それでは行ってまいります」ドージョーの門を出ると、ユカノは一度振り返り、弟子のタイセンと向かい合った。ユカノは旅姿であった。見送りのタイセンは、センセイを心配させまいと、不敵に笑って握り拳を作った。「留守番、任してください！賊が来ようが霊廟から化け物が出ようが平気です」 5
2021-12-09 21:55:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「まあ」「お二人が帰ってくるまでに、俺、秘密のワザを編み出して、ビックリさせてみせますよ」「頼もしいですね。タイセンよ。実際そなたのカラテ成長は目覚ましい。粛々と師範代としての責務を果たすべし。わかりましたね」「勿論ス。だけど……」タイセンは横に立つ、青い半透明霊体を見た。 6
2021-12-09 21:58:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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半透明霊体がタイセンの肩に馴れ馴れしく肘を乗せると、彼は（コイツ本当に何なんです？）という顔をした。霊体姿の男……シルバーキーはユカノにウインクした。『ま、ここの守りは俺とタイセン＝サンに任せとけ。しっかり観光して来なッて』「そのつもりです」ユカノは微笑んだ。 7
2021-12-09 22:02:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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シルバーキーの本体はアラスカに在る。彼はドージョーのUNIXに接続された銀のデバイスの力で、この地に遠隔干渉している。フジキドが現地を訪れた際に預かり、持ち帰ったデバイスは、養女のゾーイが超自然的に作り出した品である。『オヒガン防備は完璧。IRC-SNSも……』「私が旅先から更新します」 8
2021-12-09 22:07:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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『あ、そ』「フジキド＝サン。どうかセンセイをお願いしますね」タイセンはシルバーキーの幽体を気にしながら、フジキドに頭を下げた。「無論だ」フジキドは頷き、山岳ラマの手綱を引いた。「心配性ですね」ユカノは笑った。「長い滞在にはならぬ。すぐに戻ります」「では行くか。ユカノ」 9
2021-12-09 22:10:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
彼らに別れを告げ、山道を下るなかで、ユカノとフジキドの表情は張り詰めたものに変わっていた。これは観光目的の旅ではない。旅の目的地は死都ロンドン。邪悪なるリアルニンジャ「ケイムショ」の支配域であった。死者が徘徊しロンドン・アイの呪いが睨みを利かせる地の中心に、大英博物館はあった。10
2021-12-09 22:15:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
二人は岡山県シズカガオカを出発し、キョート、ガイオン空港発のオバンデス空港便、タビビトクラスで空の旅へ。機内食として供された味の薄い茶巾ゴハンを食し、液晶パネルの映画をぼんやりと見ながら、やがてフジキドは目を閉じる。その横でユカノは物思いに沈み、この旅の発端に思いを馳せる……。11
2021-12-09 22:21:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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……ドラゴン・ドージョー裏手の石段の先には神秘的な洞穴が口を開ける。山の内部を深くくり抜いた霊廟、ドラゴン・ダンジョン。それは、平安時代に彼女自身が築いた巨大な迷宮だ。霊廟の目的は強大なる弟子を安全に弔う事……そして、手に余る重大レリックの秘匿と保存であった。 12
2021-12-09 22:28:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
この霊廟が先日、密かに暴かれた。夢枕でそれを報せたのは、朋友ヤマト・ニンジャの幻。（取り返しのつかぬ事態が起ころうとしている）。ユカノは武器を携え、霊廟深部に降りた。そこで遭遇したのは、古代ニンジャ大戦の敵軍の将、ヒスイ・ニンジャであった。いかなる超自然侵入が為されたのか！？ 13
2021-12-09 22:33:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
救援に現れたフジキドと共に辛くもヒスイ・ニンジャを破ったユカノは、ダンジョンの深奥に至った。チャドー瞑想と国際探偵フジキドの推理力によって、ユカノは神秘的祭壇で行われた冒涜的行為の一端を幻視した。ダンジョンに侵入していたのは、シトカでマスラダに滅ぼされる以前の、サツガイだった。14
2021-12-09 22:40:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
サツガイは祭壇に安置された三つの神器、ジュエル、ツルギ、カガミを冒涜した。翡翠のジュエルからヒスイ・ニンジャを生み出し、炎のツルギからスルト・ニンジャを蘇らせた。スルトは黒いトリイをくぐって何処かへ去り、ヒスイはその場に残された。そして鏡の破片から、サツガイは……。 15
2021-12-09 22:44:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
（お前、なにか妙だなあ。ドラゴン・ニンジャとは違うのか。まあいいや。そンならとにかく名前をつけろよ）幻視光景の中で、サツガイは闇そのものの貌に歪んだ笑みを生じ、カガミから創造した邪悪な影に語りかけた。（何でも良いんだ。無いと支障があるだろ。「オイ、きみ！」ッてワケにはいかない）16
2021-12-09 22:47:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
（名前……）（紛らわしい名前もダメ。扱いに困るからな。ドラゴナ・ニンジャとか、そういうのはダメ。そうだなあ、イビルドラゴンとか……どう？ダメか。BWAHAHA！）そして黒髪の女は目を開き、サツガイの手を払い、冷たく答えたのだ。（我が名はティアマト。我に気安く触れるな。ズガタキェー）17
2021-12-09 22:52:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
（MWAHAHAHAHA！ティアマト！？お前、そんなにも自我がハッキリしているのか。なかなか面白そうだ。お前の望みを言いなさい）サツガイが促すと、ティアマトは無言のせせら笑いで応えた。サツガイの狂笑……。（BWAHAHAHAHAHAHA！MWAHAHAHAHAHAHA！ならば、ついて来い！）……「ンアアア……！」 18
2021-12-09 22:54:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「ユカノ……ユカノ」「ンアアアア……あれは……私……違う……私では……しかし……」「ユカノ！」「ンアアア！」「ユカノ！」強く揺さぶられ、ユカノはハッと目を開いた。機内。フジキドが気遣わしげに彼女を見ていた。周囲の乗客が怪訝そうな目をフジキドに向けると、彼はペコペコと頭を下げた。19
2021-12-09 22:57:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
『まもなく当機はバーミンガム空港に到着するドスエ』案内音声は穏やかに告げた。「ユカノ。例の幻視か」「そう……そうです」ユカノは額の汗を拭い、フジキドが差し出したチャを受け取った。「すみません。ブザマな姿を……」「案ずるな。その重大な懸念に対処する為の旅なのだろう」 20
2021-12-09 23:04:06