「A and B」は「AとB」とは訳さない、場合もある(D.H.ロレンスとコードウェイナー・スミス)

今日もどうも自信ない…。
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砂手紙 @sandletter1

「fish and chips」は「魚とポテトフライ」。 「beer and coffee」は「コーヒーと酒」。 「pen and pencil」は「ペンと鉛筆」。 じゃあ 「eat and drink」は「飲みと食べ」、じゃなくて「飲食」。つまり「飲み、かつ食べる」です(英語と日本語は順番が逆ですけど)。

2021-12-18 21:27:05
砂手紙 @sandletter1

論理学、法律、プログラム言語などを知ってる人はたいてい、「A and B」は「AかつB」と判断します。つまり、「Aであると同時にBである(もの)」。英語しか知らない人は「AとB」と判断するかもしれない。

2021-12-18 21:27:34
砂手紙 @sandletter1

通常使いの英語としては「○○と××(並立して存在しているふたつのもの)」というケースが多いからでしょうかね。面倒くさいのは、たいてい文脈をみないと「と」なのか「かつ」なのかが通常はわからない、特にタイトルではさっぱりわからないことです。

2021-12-18 21:27:50
砂手紙 @sandletter1

『チャタレイ夫人の恋人』で有名な(というより、たいていの人はそれしか、おまけにタイトルとあらすじでしか知っていない)作家であるD.H.ロレンスには「Sons and Lovers」という長編があります。

2021-12-18 21:28:23
砂手紙 @sandletter1

これは最初の訳者が「息子と恋人」と訳しちゃったため、だいたいの翻訳者はそれに準じた訳をしてますけど、中身を見ればわかるとおり、これは「息子」の物語ではなく「母親」の物語なんですよね。でもって、自分のふたりの息子が恋人でもある、という話。「息子たちで恋人たち」なんですね。

2021-12-18 21:28:41
砂手紙 @sandletter1

似たような例としてはSF作家コードウェイナー・スミスの小説「鼠と竜のゲーム(The Game of Rat and Dragon)」があります。超光速航法が可能になった未来で、ヒトには竜に見えて発狂してしまう存在がいるんだけど、ネコにはそれが鼠にしか見えないから、うまいこと駆らせようじゃないか、という話。

2021-12-18 21:31:16
砂手紙 @sandletter1

別に鼠と竜がゲームするわけではないんですね。この場合の「ゲーム」は「(狩りの)獲物」のほう。つまり、中身を理解した上でタイトルを訳すなら「(ネコには)鼠で(ヒトには)竜である(狩りの)獲物」というのが正しいような気がします。

2021-12-18 21:31:40