2021年12月25日

カシマさん研究本論

都市伝説「カシマさん」の正体を暴きます。
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青山葵 @aowasabi1972

『カシマさん研究本論』 まずは、ここからはじめましょう。1972年の週刊誌で紹介されたカシマさんの話、最初期の事例です。カシマさんの話といえば類話が多いとか、長く語り継がれているとかの特徴がありますが、まず虚心に読んでみて下さい。なぞの完全解明、カシマさんの正体を暴きます。#カシマさん pic.twitter.com/iWCOUgXcU0

2021-12-25 12:15:13
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青山葵 @aowasabi1972

文中にある通りカシマさんの話とは不幸の手紙が口承文芸化した物です。あくまで話の聞き手・語り手である伝承者レベルでは、それ以上でも以下でもありません。女性型や兵士型、呪文型や問答型などの分類やら数々の謎は観察者レベルの問題です。では元ネタの不幸の手紙とは何か?少しまわり道します。

2021-12-25 12:15:14
青山葵 @aowasabi1972

不幸の手紙とは、手紙が届く・送るという現実的な事柄と、不幸の呪いが呪う・祓うという虚構的な事柄を並べて同時に提示された時に、それらがなんとなく似ていることから、私達の認識がグラついて普段なら信じない虚構的な「呪い」をウッカリ信じそうな気分になる事を利用する構造を持っています。

2021-12-25 12:15:14
青山葵 @aowasabi1972

ウッカリ信じそうな気分を、目の前にある「手紙」の現実感が固定化します。これが呪物です。相似性のある二つの事柄を並列提示される事により混乱した認識を呪物で固定化し虚構を信じさせるのが呪いの構造です。この構造が重要で、手紙の内容はなんでもよく、棒の手紙でも幸福の手紙でもいいのです。

2021-12-25 12:15:14
青山葵 @aowasabi1972

この呪いの構造の要素を、次の代表的なカシマさんの話から探してみて下さい。「聞く・語る」と「呪う・祓う」の同時提示と呪物です。話を聞いたら呪われる「聞く/呪う」要素はありますが、3日以内に5人に話すなどの「語る/祓う」要素がありません。当然、口承なので呪物もない。どういうことでしょう pic.twitter.com/MnXiJwTBXV

2021-12-25 12:15:16
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青山葵 @aowasabi1972

よく見ると、手紙の受け手が手紙を送るように指示されるのと同様な、聞き手が語るように指示される部分があります。そうです、カシマさんに向けて「カシマさんに聞きました」と語る件です。我々観察者は「問答型」「呪文型」などと分類しましたが、両者は共通してカシマさんに「語っていた」のです。

2021-12-25 12:15:17
青山葵 @aowasabi1972

呪物の要素はどうでしょう。ここで呪いの構造が利用したいのは、手紙などの物そのものではなく、物が持つ現実性や具体性です。語られる言葉の中で最も強くある物を指し示し、現実性具体性を感じさせるものは、固有名詞です。この場合、人名つまり、脈絡無く唐突に現れる「カシマさん」という名前です。

2021-12-25 12:15:17
青山葵 @aowasabi1972

これですべての要素が揃い、カシマさんの話の中に、呪いの構造が完成している事が確認できました。つまり「カシマさんの話」とは、口承文芸化する際に最適に改変された「不幸の手紙」であるといえます。この改変は結果として、伝承者レベルでも観察者レベルでも、多くの謎を産む原因となりました。

2021-12-25 12:15:17
青山葵 @aowasabi1972

呪いの構造により発動する呪いとは何でしょう。不幸の手紙の場合、手紙内容のように不幸になることではなく、思わず手紙を送ってしまう事、行動を支配される事です。カシマさんの場合、話内容のように手足を奪われることではなく、カシマさんが来ることを信じ恐怖してしまう事、思考を支配される事です

2021-12-25 12:15:17
青山葵 @aowasabi1972

一つの謎である、なぜカシマさんの話は長く語り継がれるのか?という問いの答えは、その話が怖いからです。なぜ怖いのか?それは、聞き手がカシマさんが来る事を信じるからです。なぜ信じてしまうのか?それは、呪いの構造により思考を支配されてしまうからなのです。

2021-12-25 12:15:18
青山葵 @aowasabi1972

しかしこの呪いの構造が発動している事は、多数の事例を比較検討できる観察者レベルの視点で辛うじて知ることができるのみで、基本的に一つの話型のみを聞き語る伝承者レベルの視点からは気付かれません。つまり伝承者は、カシマさんがなぜ怖いのか、わからないまま、語り継いでいるという事になります

2021-12-25 12:15:18
青山葵 @aowasabi1972

一般に語り手が怖い話に尾ひれを付ける事は、怖さを増すための演出と、怖さを和らげるための解釈が目的と考えられますが、なぜ怖いのかわからないカシマさんの話の場合、目的や正解が分からないまま、無秩序な尾ひれの無限増殖が起こりました。これでカシマさん類話の多様性の謎が解けると思います。

2021-12-25 12:15:19
青山葵 @aowasabi1972

次の聞き手でなく怪異自体に語る事を求めるカシマさんの話は、語りの内側と外側、虚構と現実をつなげた、クラインの壷のような構造をしており、その器の中にどんなものを入れても構造には影響しません。どんな異物を入れてもカシマさんの話であり続けます。それが別の話である口裂け女やテケテケでも。

2021-12-25 12:15:19
青山葵 @aowasabi1972

なぜカシマなのか?という謎は、いつ誰がこの見事な改変を加えたのか?という謎と共に我々観察者のレベルでは解けない謎でしょう。ただし確実な事は、事例によるとカシマでもキジマでもオカムロでも呪いの構造が発動しています。人名を思わせる固有名詞が呪物としてあれば、カシマでなくてもよいのです

2021-12-25 12:15:19
青山葵 @aowasabi1972

人名は強い印象を伝承者に与えます。口裂け女の本名はカシマレイコであると語る事例では、名前のない口裂け女と、名前しかないカシマさんとに対称性を感じたのでしょう。伝承者レベルからはカシマさん伝承が口裂け女伝承に変化する過程など絶対に知り得ないので、この事例が変化の証拠にはなりません

2021-12-25 12:15:20
青山葵 @aowasabi1972

口裂け女といえば、「わたし、きれい?」のセリフを言うカシマさん事例もありますが、これもカシマさんと口裂け女の影響関係でなく、70年代の小学校の学級文庫に唯一蔵書されていた漫画「はだしのゲン」の大原夏江の話がカシマさんと口裂け女、両者共通の元ネタになっていると考えた方がいいでしょう

2021-12-25 12:15:20
青山葵 @aowasabi1972

カシマさんは器であり、なんでも取り込んでしまうのですが、当然伝承過程で、語り手がよりふさわしいと感じる要素に淘汰されます。語り言葉の中でも固有名詞・人名は、「カシマさん」連呼や「カは仮面のカ〜」等の呪文となる事例から、具体的・即物的な強度を持つと感じられていた事がうかがえます。

2021-12-25 12:15:20
青山葵 @aowasabi1972

「足いるか?」「いる/いらん」等の「問答型」は意味が相手に間違って伝わる「語り」であり、「呪文型」の無意味な言葉が相手に正しく伝わってしまう「語り」と対称をなしています。伝承者は、呪いの構造に思考を支配されて、無意識のうちに「語り」について語らされていると考えられます。

2021-12-25 12:15:21
青山葵 @aowasabi1972

「呪文型・問答型」の語りはともに、「伝わらない語り」を表現していると見るならば、それと対称をなす、カシマさんの話を聞くという現実の体験は、「伝わりすぎる語り」を意味しています。話を聞く事によって伝わりすぎてしまう過剰なモノとは、すなわちカシマさんの呪いであるというわけです。

2021-12-25 12:15:21
青山葵 @aowasabi1972

カシマさんの話を聞いてその来訪を信じた聞き手は、独りで眠れぬ夜を過ごします。怖い話を聞いて眠れない経験はよくある事ですが、カシマさんの場合は、なぜ怖いのかわからないのに眠れない結果だけがあり原因が不明です。そこで結果にふさわしい原因にしようとさらに話に色々尾ひれが付いていきます

2021-12-25 12:15:21
青山葵 @aowasabi1972

人名を思わせる名前だけがあり、特段恐ろしい内容を持たず、しかし密かに呪い構造を持ち、虚構と現実を無理矢理つなげて語られた話は、終末が起源に出会う予言を信じさせ、恐怖した者により、その結果に見合う原因になるよう怖さに磨きをかけようと話の内容を増殖しつつ、さらに語り継がれていきます。

2021-12-25 12:15:21
青山葵 @aowasabi1972

カシマさんの話とは、語りにまつわる、語る事によって発動する、語られる呪物です。だから語りの形でしか伝承は不可能です。それゆえ文字化・活字化は伝承に悪影響を与えかねません。つまり、カシマさんは文字を嫌う。この文章の執筆者はともかく読んだ方々が何者かの逆鱗に触れない事を祈っています。

2021-12-25 12:15:22
青山葵 @aowasabi1972

虚構と現実、起源と末端、原因と結果、構造と内容、目的と手段。カシマさんの話は、それらの領域を越え破って我々の思考に混沌をもたらします。その擬人化された姿は、無数の化身を持ち四肢欠損の聖痕が刻まれた這い寄る秩序擾乱者です。次は伝承者と観察者の領域を越えて我々が狙われるかも知れません

2021-12-25 12:15:22
青山葵 @aowasabi1972

不幸の手紙に意志があるとしたら、その目的は自己保存です。カシマさんの話の場合は?人々に存在を信じさせ恐怖させる事?もしそれが手段だとしたら…何十年にもわたる無数の人々の恐怖の思念が集積し凝固し人型となって…真の目的は「受肉」…いや、語り得ぬ事については沈黙しなければなりますまい。

2021-12-25 12:15:22
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コメント

語るおじさん(おじさん) @ojisan_think_so 2021年12月25日
いい話聞かせてもらいました 妖怪の七人ミサキ、都市伝説のカシマさんて感じかな 呪いと仕事は基幹システムが大事
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