三省堂国語辞典第8版「聾者」の語釈に「手話を言語とする」という記載が。
『三省堂国語辞典 第八版』YouTubeの国語辞典に関する動画の影響で,20年振りに国語辞典を購入した.僕は豆知識として眺めているだけなのだが,アクセントが付いている.そして《聾者》の説明に「手話を言語とする」が追加されている.さすが【時代(いま)を写す辞書】と謳っているだけのことはあるな… pic.twitter.com/WPvYNHAsbT
2021-12-26 18:31:26他の辞典で《聾者》の箇所を調べてみると,どれも「耳が聞こえない・不自由な人/聴覚障害者」と,聴覚障害者と聾者の違いを知りたい人にとってはモヤッとする説明文であった.これまでの国語辞典を隈無く調べたわけではないが「手話を言語〜」と説明されている辞典は今回が初めてではなかろうか?
2021-12-26 19:04:09皆さんのご協力のもと、三省堂国語辞典の各版を引き比べてみる。
本当だ!三国8の「ろうしゃ」の定義、他とは違う! #三省堂国語辞典第8版 #8三国 pic.twitter.com/QjhApCF72R
2021-12-26 22:35:31→上で三国8、明鏡3、JKデジタル大辞泉、JK日国で「ろうしゃ」を引き比べました。それ以外に、手持ちでは「『耳の聞こえない人』の意の漢語的表現」(新明国7)、「耳の聞こえない人」(学研日本国語大)、「耳が聞こえない人」(岩国)。「手話に言及したのは確かに三国8が初めてかも!
2021-12-26 22:43:05→おおお!「ろうしゃ」の件、実は三国7(2013)ですでに「手話を用いる」と書いてあった! いつから書いてあったんだろう。三国コレクターの皆様、教えてくださいまし。 #8三国 pic.twitter.com/Xs7Y3EBzzc
2021-12-26 22:50:45@kaichosanEX @nest1989 手話に言及するのは7版から。そして、語釈から「つんぼ」が消えるのは4版からです。
2021-12-26 22:58:16@nest1989 調べて下さりありがとうございます!三国の第八版だけなのですね.今気づいたのですが,《手話》(p.688)の説明文の最後に「そのための言語」と記載されていますね. あと《聾者》のところは「耳が聞こえない人」で,《手話》は「耳が不自由な人」と異なった書き方で,その使い分けが気になりました.
2021-12-26 22:57:18広辞苑(岩波書店)はどうだろう。
お尋ね:広辞苑6版か7版で「ろうしゃ」の語釈をどなたか見てくださらないでしょうか。わたしの手元ですぐ引けるのが5版で、こちらは「ろう‐しゃ【聾者】耳のきこえない人。」となっています。
2021-12-26 22:56:47@nest1989 広辞苑は6・7版ともに「耳の聞こえない人。特に手話を日常言語として用いる人をいう。」とあって、広辞苑の方が三国より先ですね。
2021-12-26 23:01:09@nest1989 「耳の聞こえない人。特に手話を日常言語として用いる人を言う。」 DAYFILER DF-X10001収録の広辞苑第六版 では上記になっていました。
2021-12-26 23:07:43@nest1989 ありがとうございます.広辞苑が先なのですね,知りませんでした.広辞苑の第六版の出版年を調べてみますと2008年と13年も前なのですね.13年経ってようやく,中型辞典だけでなく,小型辞典にも掲載されたというのは大きな一歩ですね. 《手話》や《聾者》などの単語の監修者も知りたいですね.
2021-12-26 23:12:47実は、大辞林のほうがさらに早かった。
@nest1989 それから、大辞林が第3版(2006年)から「①耳の聞こえない人。②言語獲得以前より重度の聴覚障害があり、音声言語の自然な獲得が困難であった者。特に、手話を母語とする者をさす。」としていて、広辞苑より早く詳しい語釈です。
2021-12-26 23:06:35@kaichosanEX おおおお。ありがとうございます。わたしの大辞林(CD-ROM版。1993)には「耳の聞こえない人。」としかないので、そこから以降に加わったんですね。
2021-12-26 23:17:30ここまでのまとめ(2021年12月現在で確認できたもの):
見出し「ろうしゃ」の語釈で
◎「手話」への言及あり
三省堂 大辞林 第3版(2006)
岩波書店 広辞苑 第6版(2008)、第7版(2018)
三省堂 国語辞典 第7版(2013)、第8版(2021)
◎言及なし
大修館書店 明鏡 第3版
小学館 デジタル大辞泉JK版
小学館 日本国語大辞典 第2版
三省堂 新明解国語辞典 第7版
学研 日本国語大辞典
岩波国語辞典 (CD-ROM版1994)
他の辞書の情報がありましたら、ぜひ教えて下さい。
[追記:2021/12/27] 早速教えてくださった方がありました!
@nest1989 @Deaf_voyage @kaichosanEX @kmgstr @miu7200 twitter.com/okadash1978/st… 先行研究があったようですよ。2018年の学会発表で、「聾者」「聾」の語釈について88点もの国語辞書を対象に調べたexhaustiveなものです。なお、こちらによると、手話に最初に言及したのはやはり大辞林3(2006)です
2021-12-27 23:12:24(お知らせ先が分からないので,引用リツイートへのリプライの形でお知らせいたします。) 以下のリンク先の4頁目の表をご参照ください。 conference.wdc-jp.com/jass/42/conten…
2021-12-27 14:52:29え?と慌てて見に行ってみれば…
「他の辞書の情報がありましたら、ぜひ教えて下さい。」とありますが,どこにお知らせすればよいのでしょう… twitter.com/togetter_jp/st…
2021-12-27 14:50:33「三省堂国語辞典第8版の「ろうしゃ」の語釈…他の国語辞典はどうなってる?」togetter.com/li/1821747 が伸びてるみたい。こっそりあなたに教えちゃう。 作成者:@nest1989
2021-12-27 13:41:04(お知らせ先が分からないので,引用リツイートへのリプライの形でお知らせいたします。) 以下のリンク先の4頁目の表をご参照ください。 conference.wdc-jp.com/jass/42/conten…
2021-12-27 14:52:29上記リンク先の出典は以下の通りです。 岡田祥平・入山満恵子・中井好男(2018) 「国語辞典の意味記述と社会状況の変化-「聾者」とその関連語の場合-」『社会言語科学会第42回研究大会発表論文集』
2021-12-27 14:53:58