【Lancet】COVID-19入院および経時的死亡に対するアストラゼネカワクチン2回投与による保護:スコットランドおよびブラジルでの後ろ向き集団ベースのコホート研究|●ワクチンの重症化阻止効果も経時的に急速に減弱する(2022.1.1作成)
- uchida_kawasaki
- 737
- 3
- 0
- 0
●ワクチンの重症化阻止効果も経時的に急速に減弱する →流行している優勢株の異なるスコットランドとブラジルにおけるアストラゼネカワクチンの重症化阻止効果(入院 or 死亡)の経時的変化を検討しています。 結果は流行株とは無関係に、重症化阻止効果も週単位で急速に減弱するというものでした。
2021-12-31 21:30:11考察内でmRNAワクチンについては重症化阻止効果は6か月までは保たれていると説明されていますが、イスラエルの検討では3か月程度で重症化率が1.7倍になる事も記載されています。
2021-12-31 21:30:11つまりは減弱速度の違いがあるにせよ、重症化阻止効果はmRNAワクチンもAdベクターワクチンも比較的急速に失われることはほぼ確実なのでしょう。 今後の検討での確認が必要ですが、既感染例についても同様の現象が観察されるかもしれません。
2021-12-31 21:30:12以上の結果からは、これからもワクチンによるbooster接種を定期的に継続する以外の選択肢が思いつきません。 可能であれば、インフルエンザワクチンのようなサブユニットワクチンでそれが可能となる事を祈るばかりです。
2021-12-31 21:30:12Two-dose ChAdOx1 nCoV-19 vaccine protection against COVID-19 hospital admissions and deaths over time: a retrospective, population-based cohort study in Scotland and Brazil thelancet.com/journals/lance…
2021-12-31 21:30:12Two-dose ChAdOx1 nCoV-19 vaccine protection against COVID-19 hospital admissions and deaths over time: a retrospective, population-based cohort study in Scotland and Brazil - The Lancet https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)02754-9/fulltext
COVID-19入院および経時的死亡に対する2回投与ChAdOx1nCoV-19ワクチン保護:スコットランドおよびブラジルでの後ろ向き集団ベースのコホート研究
----- ・複数の報告がCOVID-19ワクチンの有効性低下を示唆している。しかし、これがワクチン効果の減弱によるものか、あるいは新規変異株(特にデルタ株)の出現を反映しているのかは明らかではない。
2021-12-31 21:30:13・今回、デルタ株が優勢であるスコットランドにおけるアストラゼネカワクチン2回接種後からの時間経過とCOVID-19重症化との関連について検討し、デルタ株の少ない(uncommon)ブラジルとの比較解析を行った。
2021-12-31 21:30:13両国では優勢株が異なる(ブラジルはガンマ型)ため、ワクチン効果減弱に関連する両者を影響を分離できる可能性がある。また変異株による有効性の違いを調べる事も可能である。
2021-12-31 21:30:14・ブラジルとスコットランドにおけるretrospective, population-based cohort studyを実施した。
2021-12-31 21:30:14スコットランドのEAVE II studyのデータベースと、ブラジルのCOVID-19ワクチンキャンペーンおよび急性呼吸器感染症のデータベースをリンクさせ、ワクチン接種状況、臨床検査、臨床症状および死亡に関するデータを収集した。
2021-12-31 21:30:14・アストラゼネカワクチンを2回接種した18歳以上の成人のコホートを作成し、2回接種終了後から2-3週時点と比較した、2週間の期間のCOVID-19の重症転帰率(入院あるいは死亡)を比較した。
2021-12-31 21:30:15スコットランドコホートは2021年5月19日から、ブラジルコホートは2021年1月18日より開始した。追跡は両コホートとも2021年10月25日まで行った。ポアソン回帰を用い、率比(RR)とワクチン効果を推定した。
2021-12-31 21:30:15(結果) ・スコットランドで1,972,454人、ブラジルで42,558,839人の成人がアストラゼネカワクチンの2回接種を受けた。ワクチン接種開始時期がブラジルよりもスコットランドが早かったため、観察期間も長くなっていた。
2021-12-31 21:30:15・スコットランドにおける重症転帰率比(RR)は、2回接種後10-11週で2.01(1.54- 2.62)、14-15週で3.01(2.26-3.99)、18-19週で5.43(4.00- 7.38)に増加していた。ブラジルでも同様のパターンが観察された。10-11週のRRは2.29(2.01-2.61)、14-15週で3.10(2.63-3.64)、18-19週で4.71(3.83-5.78)だった。
2021-12-31 21:30:16・スコットランドにおけるワクチンの有効性は、2回接種後2-3週で83.7%(79.7-87.0)、14-15週で75.9%(72.9-78.6)、18-19週で63.7%(6\59.6-67.4)と低下していた。ブラジルでは2-3週で86.4%(85.4-87.3)、14-15週で59.7%(54.6-64.2)、18-19週で42.2%(32.4-50.6)に低下していた。
2021-12-31 21:30:16(結論) ・今回、スコットランドとブラジルにおいて、入院および死亡に対するワクチン防御効果の減弱が確認された。これは2回接種後3か月以内という比較的短い期間で明確になっていた。 ・両国における比較から、効果の減弱は変異株出現や感染率の変動によっては説明できないと思われる。
2021-12-31 21:30:17・ファイザーワクチンに関しては、接種後6か月時点でも重症化阻止効果は保たれている事が報告されている。しかし、イスラエルの検討では、65歳以上のワクチン接種完了者の重症化リスクは、2021年1月に実施した人は3月に接種した人に比べて1.7倍(1.0-2.7)高い事が示されている。
2021-12-31 21:30:17・重要な結果はこのグラフでしょう。 ワクチン接種後から2週間に区切った期間の入院 or 死亡の重症化率を、ワクチン効果最大の接種後2-3週と比較した率比(RR)で示しています。
2021-12-31 21:30:18左がデルタ株主流のスコットランド、右がガンマ株主流のブラジルです。 重症化阻止効果で見ても、週単位で効果減弱が見られています。 かつ効果の減弱は直線状ではなく、経時的に急速に消失しているように見えます。
2021-12-31 21:30:18ブラジルのガンマ株に至っては、2-3週後に効果のピークとなった後、接種後4-5週にはすでに有意な防御能の低下が確認されています。 pic.twitter.com/p3umL6bksz
2021-12-31 21:30:19